
200318そして誰も冒険しなくなった
「そして誰も冒険しなくなった」
今週発売のビッグコミックスピリッツの新連載「結婚するって、本当ですか?」の冒頭の言葉だ。
スピリッツの新連載の「結婚するって、本当ですか」の冒頭がけっこう好き。
— テリー@もうすぐ40歳 (@teryafro) March 16, 2020
「人々は自分のために城を築き、その中で安全第一に暮らしています。そして誰も冒険しなくなった」#ビッグコミックスピリッツ pic.twitter.com/IQ2noryK9g
人との交際はリスクか?
1話目のネタばれですが…このマンガは、旅行代理店に勤める主人公の男が、ツンデレ風の先輩女子社員がイルクーツクにできる支店に異動させられないためにという理由で「結婚しませんか?」と言われる話である。
ちなみに「イルクーツク」とは、ロシアのシベリア地方の町のことだ。この記事の本論とは全く関係ないので、できれば忘れてほしい。「拡大地図を表示」をクリックしなくてもよい。
話はさらに脱線するが…Googleで「結婚するって本当ですか」と検索すると下の1990年発表の歌が出てくるので注意してほしい。別れた恋人が結婚するという風の噂を聞いた女が未練たらたらに歌う歌で、上のマンガとはなんの関係もない。なのでこの動画も再生しなくてよい。
さて話を戻しますが…
冒頭の「そして誰も冒険をしなくなった」に次の言葉が続きます
かつては憧れだった「恋愛」や「結婚」ですらも、今や「リスクの塊」として考えられるようになってしまいました。
このマンガのテーマは、「人との交際すらリスク」となった現代において、なぜ結婚しなくちゃらんのじゃ?ということだと思う。
「人との交際はリスク」
たしかに人から傷つけられないために…なるべく人と関わりたくないという気持ちは私持って持っている。
人との交わりを避ける、できるならば人と関わりたくないというのが人間の本質なのか?
少なくとも下の写真のように手を合わせる「交わり行為」は、新型コロナウィルスが終息するまで待つべきだろう。
接客という人との交わりを描いた2つのnote
そんなことを考えていたら…2つの興味深いnoteを偶然読んだ。いずれもお店での接客にまつわるお話だ。
一つは「対面は最高の体験だろうか?」これは、人との交わりを避ける接客が新しい時代の「おもてなし」だ!という主張。「消極性研究会」という名前はちょっと吹いた後に、共感した。300円払う価値はある記事だ。
もう一つは「100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか」である。こちらは、あのオモコロ杯2020で最優秀賞を受賞した作品。100日間2つのコンビニでビスコを買い続けるという奇行を繰り返し自分にあだ名をつけられるか?を実験した実録記事。
つまり、接客において「店員との交流」の様子を記したもの。実にほっこりする話なのだ。この「人との交流」にほっこりするというのが本論においてポイントである。
それぞれを詳しく見ていきたい。
我々は買い物体験で多くの傷を負っている
「対面は最高の接客だろうか?」の記事では、まずコンビニの「セルフレジ」や、マクドナルドやスターバックスの「モバイルオーダー」、「宅配ボックス」が社会に浸透してきた事実をつきつける。
そして筆者の原体験を綴る…
私の場合、まず「ポイントカードはお持ちでしょうか」と聞かれたり人とやりとりするのが少し億劫なことがあります。さらに接客する店員がもし態度が悪い場合、私が不愉快な気持ちになる可能性があり、そのリスクを回避したいという意識が働きます。
(中略)
セルフレジは、人に比べれば、毎回同じ挙動をしますし、何を買ったかはシステムは知りえてもだれが何を買ったのか情報は店員は直接体験しません。
この感覚…正直私も共感しかない。私の住んでいる地域は、コンビニのセルフレジ化はまだほとんど進んでいないが、スーパーやTSUTAYAはセルフレジが設置してある。
そして私は、優先順位としてはまずセルフレジへ行く。まれに子どもがお買い物ごっこのごとく「ピピっ」をやっていたり、やたら買い込んでいるにも関わらずセルフを選んでしまったばかりに大変なことになっているおばちゃんがいるので…その際は有人レジへ向かう。
正直コンビニももっとセルフレジになってほしい。なぜなら、私はなんでかわからないが「買ったものについて、店員にどう思われるのか?」をやたら気にしてしまうたちだ。
例えば、夕方お腹が空いたら、セブンイレブンで「ゆでたまご」1つだけ買いたいのだが…ゆでたまごだけレジに持っていって75円払う勇気が持てず、特に欲しくもないペットボトルのジュースを買ってしまったりする。
また、TSUTAYAでマニアックな(思い込み…)マンガ一冊買うのを気にして、ワンピースも一緒にレジに持って行ってしまう。これは、やっていること中高校生時代の「エロ本サンドイッチ買い(注1)」となんら変わらないのである。
(注1)エロ本サンドイッチ買い
エロ本を買うのが恥ずかしい、もしくは年齢的にとがめられる可能性がある際に、普通の雑誌や本を2冊買い、エロ本を間に挟んでレジに持っていく技。エロ本を買うという事実は店員には知られるが、買う本人が心理的に買いやすくなるというオ〇ニー的な技である。そして家に帰ってオ〇ニーするのである。
このように書いていて嫌になるほどに、我々はお店での買い物体験で傷を負っているのである。そう考えれば、セルフレジはなんと気楽にモノが買える、まさに「オ・モ・テ・ナ・シ」なのである。東京オリンピックが無事開催されることを祈るのである。
われわれは店員さんという温度を感じたい
次に「100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか」を詳しく見ていく。
先ほども書いたが、「2つのコンビニで」「毎日」「ビスコを買う」という奇行文です。その結果、あだ名をつけらるか?を実験した記事である。つまり先ほどの記事とは違い別に論評とかではない。
しかし、この実験記事が非常にほっこりすると、コメント欄も絶賛の嵐である。
たしかにこの実験記事は、物語として本当におもしろい。私も一気に読んでしまった。
自分があだ名をつけられる前に、筆者が店員たちを「気だるげな女性」とか「ギバちゃん」とか読んでいるのがまずおもしろい。「お前はあだ名つけられる側だろ!」とつっこみたくなる。いやまさにその通り、「店員に観察される(そしてあだ名付けられる)」という実験にも関わらず、「店員を観察する」記事になっているわけです。
その中で、筆者と店員さんの距離が縮まっていき、直接的な様々なやりとりがされる様子が見えます。まさにほっこりポイントなわけです。例えば…
ビスコを探しるけど見つからなかった44日目のシーンでは
陳列がかなり変わっていたのでビスコがなかなか見つからなかった。レジは『副店長』さんだったが、となりのレジから「ごめんね〜、ビスコ見つけづらかったでしょ」と『お姐さん』が顔を出した。「ビスコ無くなったかと思いました」と私が言うと「お兄さんが毎日2箱買うなら無くなりませんよ笑」と返してくれた。それを聞いた『副店長』が「はっw」と鼻で笑った。
なぜかここにきてからあげクンを進められた93日目のシーンでは、筆者自身も定員とのやりとりにほっこりしています。
再びしゃんとした接客でおなじみの『副店長』。「2点で226円になります。」といういつものセリフを言ったあと、なぜか今日はいきなり「ご一緒にからあげクンはいかがですか!?」と元気に足してきた。それがあまりに予想外な問いかけだったので、私はつい笑ってしまった。彼女も笑っていた。いままでビスコしか買ってこなかった客が急に『からあげクン』を買うとも思えないが、なんで今日になって突然そんなことを尋ねてきたのだろうか。いつもの流れで言ってしまったのか、彼女なりの小ボケだったのか。なんにせよほっこりした時間だった。
この物語読んでると…私はちょっとエロい気分にもなってきた(笑)ギャル系だけどしゃんとした接客をする「副店長」とか俺も友達になりたいけどって思ってしまった。
↓これは、この記事の最後のまとめ部分。
最初は当然ひとりの客と店員という間柄だったはずなのに、昨日もお店に行って当たり前のように会話をしました。始める前と終わった今では色々なことが変わりました。いまでは他のお店でもポイントカードを出します。
途中でまさかの別れがあったり、スーパーから私のためにビスコを買ってきてくれたり、いろいろな驚きがありました。疲れた日もコンビニにいけば明るい気持ちになりました。ほんとうに行くのが億劫な時もありましたが、なんとか最後までできてよかったです。
これからは時々そんな日々を思い出しながら、家にある溢れんばかりのビスコを少しずつ消費していきたいと思っています。
ありがとうございました。
結局…あだ名はつけられていなかったというリアルなオチだったわけですが、筆者と「当たり前のように会話する間柄」になっていたということだった。
いやーはっきり言って、俺もなんかこういう実験して、ギャル系のしゃんとした副店長とお近づきになりたいわと思った。それ、さっきも書いた。2度目である。それほど「うらやましー」となったわけなので勘弁してほしい。
まとめ
この後者の記事を書いているテンション…ゆでたまご1つをレジに持っていけない男と同一人物とは思えないわけで…
これ、どう理解したらいいのでしょう?
結論しょうもないので覚悟してほしいのですが…
「日常と非日常」かなと。日常は、億劫なのでそんなに人との交際は望まない。でも非日常的な時空間の中で人との交際はしてみたいと思うわけだ。
コンビニに100日通ってビスコ買うとか非日常以外の何物でもないわけで…
そう考えると…この記事の冒頭の「結婚するって、本当ですか?」はどうなっていくのでしょうか?結婚こそ、日常中の日常なわけで。
ということで2話以降に期待です!(あれなんか結果的に新連載マンガ紹介する記事みたいになった…謎)
おわり。