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鬼太郎に見る「本質は変えず背景を変える」編集②情報の「地と図」
昨日の続きなんですが…
昨日は鬼太郎が新鮮なまま50周年むかえたのってスゲーなという話をしました。
そこには「本質を変えずに背景を変えるという編集」があったのだという分析を載せたわけですが…
それをもっと的確にわかりやすく書いている本ありました。松岡正剛さんの「知の編集術」という本です。
松岡氏は情報の編集の技法として「情報の地と図をつくる」ということがあると、説明しています。
どういうことか?ちょっと引用で紹介します。
編集の基本的な技法のひとつに「情報の地と図をつくる」ということがある。「地」というのは情報の地模様のことで、「図」というのは情報の図柄のことをいう。
なんか情報にレイヤーがあるとイメージするとわかりがいいかもしれません。
そういう意味では分母と分子という言い方の方がわかりやすいかもしれません。別の言い方でいえば、情報には「分母としてあらわされる情報の特徴」と「分子としてあらわされる情報の特徴」とがあるということだ。
たとえば「寒い日だね」という分子の情報があるとして、分母に「冬」をもってくるか「夏」をもってくるかで、ずいぶん分子の情報誌にたいする見方が変わってくる。同じ「寒い日だね」という情報も冬の一日て寒いのなら温度はかなり低いはずだし、これが夏ならば二十三度でもけっこう寒いことになる。
私が何を言いたいのかなんとなくわかりましたよね。
鬼太郎が時代に合わせて変化させていたのは「地」であり「分母」の部分です。
そして鬼太郎の変わらない本質や物語の特徴は、その上のレイヤーに載る「図」であり「分子」なのです。
鬼太郎はこのような編集技法によって50年新鮮なまま生きてきたと言えるでしょう。
このように一つのテーマでも、「地」を変えたり、「図」を変えたりで、様々な新しい知見や物語を作ることができるのです。