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【先人の理論】ハーズバーグ二要因理論

今回はハーズバーグの「二要因理論」について投稿します。
マネジメント領域でとても有名な理論なので、既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、お役にたてるといいなと思っています。


どんな理論?

この理論は、1959年にアメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによって提唱されました。

彼の「二要因理論」は人の仕事での満足度やモチベーションが
単一の要因によって生まれるものではなく、
やる気が上がる事象(要因)と不満につながる事象(要因)は別のもので、
「動機付け要因」と「衛生要因」の2つの異なる要因によって構成される、という考え方です。


「衛生要因」とは、それが満たされないと不満を引き起こす要因です。
最近の分かりやすい言葉だと「働きやすさ」になるかもしれません。

典型的な例としては「給料」があります。
給料が低すぎると不満が高まり、「こんな仕事辞める!」となります。
そして、一定の水準を満たされると、満足する。
そして、不満は解消されます。
余談ですが、給料の一定水準には限度があるみたいです。
(数年前まで年収600万円、と言われていましたが、円安の影響で
 今は年収800万円が幸福度の限界点だそうです。
 銀行のWebサイトにも記事が上がってましたので共有しますね。)

話を戻しましょう。
職場環境や人間関係、経営方針、労働時間、経営方針なども
衛生要因に含まれます。
「経営方針」が衛生要因?と、一瞬疑問に思いますが、
経営方針が不明確だと、仕事の方向性が見えず、不安や不満が
生じやすくなる、ということで衛生要因になります。

これらの「衛生要因」を整えると不満は解消されますが、
一定のレベルに到達したら「単なる満足」で終わってしまい、
それが「モチベーション・やる気の向上」といった満足にはつながらない。

想定外の昇給や賞与は「うれしい!」とはなるものの、
割と一時的な満足でしかないのは、皆さんの記憶の中でも
あるのではないでしょうか。
(人って、もらったものには、すぐになじんでしまうんですよね)
「お給料もらってるから、毎日、仕事にやる気がじわじわとでます!」
という人は少ないのではないでしょうか?


そこで「動機付け要因」です。
「動機付け要因」は「モチベーション・やる気度を上げる要因」です。
最近の分かりやすい言葉だと「働きがい」に相当します。

事例としては「達成感」「承認」「昇進」「成長実感」があります。
確かに、これらの感覚を満たすことができれば、衛生要因では味わえない
「じわじわとした持続的なやる気」が出そうです。

ただし、これらの感覚「動機付け要因」効果が発揮されるのは、
「衛生要因」がある程度、整っている状態
(つまりは、不満のマイナスがゼロの状態になっている)で
初めてゼロからプラスに転じることができる感覚です。

衛生要因が整わないままでは、いくら動機付け要因を強化しても、プラスのやる気にはつながりません。

つまり、「衛生要因」と「動機付け要因」をバランスよく整えることが、効果的なモチベーション向上の鍵となります。

私が思うこと

この理論は、20代前半から知っていて、「へぇ~なるほどねぇ」と
頷いたものの、体感的に腹落ちしたのは管理職になってからでした。

部下から「これが整っていないと困ります」と要求される場面に遭遇し
初めて「衛生要因ってこういうことか!」となり、

部下に「やる気出して、もっと頑張って!!」と要求する事態に直面し、
「そっか、そのために承認しなくちゃいけないのね」とか、
「そのために達成感を味わってもらわないとね」と考えるようになり、
「動機付け要因ってこういうことか・・」と腹落ちしました。

つまりは、
衛生要因となる事柄を「明確に要求される」場面と
動機づけ要因となる事柄を「暗黙下で要求されている」場面を経て
この理論がしっくりきた、ということです。

とはいえ、違和感もありました。

環境面を整える衛生要因は、仕組みの問題だったりするので、
ある程度は「要求される(=他責なイメージ)」というシーンは
理解できるものの、

動機づけ要因って、そもそも個々人が自分でモチベーションを維持する
考え方が必要なのに、他者からの承認や達成感に依存するのは、
自分自身のやる気を他責にしてしまうのではないか?と。

ただ、人と人とのつながりで成立する組織では
「誰かからの承認があるから頑張れる」という事実もある。

こんなことを書いている私自身も、
実は、他者からの承認は大好物ですし、
やはり動機づけ要因も完全に自己責任で醸成するのは難しい。
だからこそ、管理職としては意識的に承認する努力が必要なのかなぁと
思います。

そんなことを考えると、この理論に納得する管理職は多いけれど、
「結局は頑張るのは管理職なのか?」となると、「うーん」となる管理職は
多いのではないでしょうか。

また、「どこまで対応すべきか?」という点も難しい問題です。
特に衛生要因については、予算や時代の変化(在宅勤務など)にも影響されますし、個々人の満足する水準も異なります。

動機づけ要因についても、人それぞれ感じ方が異なります。
職位や経験、背景によって、達成感や承認の必要性も異なります。

結局は、組織内での「コミュニケーション」を取らなくては
見当違いのマネジメント施策になっていきそうです。

多様な価値観の人々がひとつの組織で働く世の中になり、
コミュニケーションを取ることの重要性はよく耳にしますが、
1959年(65年前)に提唱されたこの理論から思うことも、
たどり着く先は「対話の重要性」になるなと思いました。

皆さんへの問いかけ

管理職の皆さん、組織内の「衛生要因」と「動機づけ要因」の
バランスは取れていますか?
部下の皆さんとそのバランスについて話してみたことはありますか?

職場で働く皆さん、組織の「衛生要因」「動機づけ要因」は
他者から受け取っているものだと自覚したことはありますか?

もし、これらに「いいえ」と感じる部分があれば、
まずは職場で「対話」を始めてみませんか?


「この理論を使って今の状況を何とかしたい」と思われた方、
私でよろしければ壁打ち相手をさせていただきます。
以下のURLにて、ご相談を承ります。

お問い合わせ | インテグリティ合同会社 (t-integrity.com)

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