谷中修吾『最強の縄文型ビジネス イノベーションを生み出す4つの原則』(日本経済新聞出版、2019年)を読みました。

BBT大学教授、クリエイティブディレクター、声優、DJ、外資系コンサル、松下政経塾、そして月と火星に土地を持つという谷中さんは私の敬愛する方です。地域創生プラットフォームINSPIREは地域を変えるイノベータを集めたプラットフォームで「変態」を集めることで「変態」をつくるという素晴らしい場となっています。本書ではオペレーション型の弥生型ではなく創造的な縄文型になり新しい価値を生み出す方法論と考え方が丁寧に書かれています。これはある意味、causationとeffectuationの関係性なのですが視点が起業家・イノベーター目線ではなく全体的な目線であるのが特徴的です。エフェクチュエーションの話と同じく両者のバランスが重要というのがポイントです。唯一無二オリジナリティの塊である谷中さんのフィロソフィーもわかる素晴らしい一冊です。

本書より…

ここでは、ビジネスの現場で協調的なオープンイノベーションを実践できるように、3つの心得として解説しましょう。そのエッセンスは、「①ワクワクドリブンで取り組む」「②お互いの持ち味を尊重する」「③偶発性を楽しむ」に集約されます。
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多くの場合、オープンイノベーションで想定外のことに直面すると、プロジェクトに潜んでいた弥生型ビジネスパーソンたちが、これ以上はできないことを説明するロジックづくりに全力を注ぎ始めます。それを最初から見越して、そもそも「オープンイノベーションでは想定外が起こる」ということを周知しておいた上で、「いかにして想定外という偶発性をプロジェクトのビジョンに紐づけるか」ということに全力を注ぐマインドセットにしておくのです。
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イノベーターの特徴は、コンサルタントのような問題解決型の思考回路ではなく、0から1を生み出す価値創造的な思考回路を持つことです。「やりたいからやる」という、シンプルかつパワフルな行動が、多くの人々を巻き込んでいきます。
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「笑顔を生む筋肉」という価値を定義したことで、次々と新しい筋肉メニューも生まれています。そして、筋肉が目の前の人を笑顔にし、その人が笑顔になることで周囲の人も笑顔になり、また筋肉を求めるようになるという構造は、PEAK SMILEが見いだした「筋肉による笑顔無限ループ」として注目されています。
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ビジネスシーンにおいて、「期待」は活動のモチベーションになるものの、相応のリターンが得られないと落胆に変わり、相応のリターンが得られるとさらなるリターンを期待するようになります。一方、「感謝」は目の前の一つひとつの出会いに向き合うことで、今ここに生きるようになり、着実にビジネスが広がっていきます。
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人間としての成熟度が高まると、思考の純度が高まります。思考の純度が高まると、思い描いたことが現実として結晶化するスピードが途轍もなく速くなります。

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