中村 俊郎『コンビニのない町の義肢メーカーに届く感謝の手紙』(日本文芸社、2011年)を読みました。
ご存知中村ブレイス創業社長による著書です。石見銀山近くの人口500人の大森町で日本中そして世界から体の不自由な人へ義肢や装具を届ける日本が誇るソーシャル・エンタープライズです。社員さんを写した写真を見ると人のために仕事ができている幸せや誇りがよく伝わってきます。中村さん自身は大学には行けなかったのですが就職後アメリカの義肢メーカーで働く機会を得ました。その後故郷で起業し今に至ります。乳がんで乳房を切除した人々の苦しみと中村ブレイスが(赤字を出しながら)つくる人工乳房を使うことで得られる喜びの様子が印象的でした。企業の存在意義を根底から問う中村ブレイスのことがわかる良書でした。
本書より…
このようなお手紙をいただくと、「この仕事をやっていて、本当によかった」と思います。スタッフの誰もが同じ気持ちです。
ものづくりの喜びと言いますか、「仕事」という面だけでは計り知れない、続けていてよかったと思える瞬間です。こうしたお手紙をいただいたときは、社員のみんなで読ませていただいて、歓びを分かち合っています。お手紙をいただいたときに、製品を作った担当者に見せてあげると、顔の表情はイキイキとしてきます。なかには、涙を流す担当者もいます。