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10年後の姿

概要

10年後の姿とは、かつて動画投稿サイト「YouTube」にて公開されていた動画の名称である。投稿チャンネルは「サンカク」であり、総再生時間は約1分15秒、最終的な再生回数は15000回ほどであったことがウェブアーカイブ上の情報から明らかになっている。

投稿日は2012年8月19日であり、動画概要欄には「夢が叶いました」という文言が記載されている。なお、この動画および投稿チャンネル「サンカク」は2015年9月10日現在では削除されており、現時点でインターネット上に存在している10年後の姿はアーカイブされた動画の無断転載か、もしくは有志による再現映像となっている。また、投稿チャンネル「サンカク」と結び付けられたウェブサイトやSNSアカウントは存在しておらず、アカウント保有者の現在の様子は明らかになっていない。これについて一部では「アカウント保有者は死亡しているのではないか」といった死亡説が囁かれているが、依然として真偽は不明である。

動画のコメント欄には考察を目的としたメッセージが多数投稿されていたが、その多くは無理矢理内容と結びつけたようなもの(いわゆるこじつけ)であった。しかしながら、中にはいくつか興味深い考察も存在していたため、当記事の後半にて紹介する。

内容

10年後の姿は、複数の静止画によって構成されている。この静止画にはテキストが挿入されている。テキストのフォントは游明朝体であり、それ自体におかしな点は確認されていない。また、静止画の出処も明らかになっておらず、一部では「出処不明の動画」という通称で呼ばれることもある。

動画が再生されると同時に、1枚目の静止画が映る。静止画の内容は家族写真のようなものであり、その中に存在する女児に焦点が当てられている。女児は笑っており、その左右に存在する人物(恐らくは父母)と手を繋いでいる。静止画内に存在している人物は一様に着物および和服を着用しており、女児は手に細長い袋を持っている。袋の表面に「千歳飴」と書かれていることから、当該静止画は七五三およびそれに準ずる行事の際に撮影されたものではないかと推測されている。

1枚目の静止画には「将来の夢はお嫁さんになることです」というテキストが挿入されている。テキストカラーは黒色であり、表示から26秒が経過した時点で静止画の遷移を待たずにフェードアウトすることが確認されている。このテキストの意図は明らかになっていないが、静止画内の状況から被写体である女児の願望などであると考えられている。

再生開始から30秒が経つと2枚目の静止画が表示される。2枚目の静止画の内容は和室に置かれた死体袋を映したものであり、その中には人の死体と思しき物体が入っていることがわかる。床には長く黒色の毛髪が散乱している。また、和室の中は著しく荒らされている。和室の壁には若年の男性を映したとされる遺影らしきものがある。しかしながら、その男性と死体袋の中にいる人の関係性は明らかになっていない。

2枚目の静止画には「10年後、夢が叶いました」というテキストが挿入されている。テキストカラーは1枚目の静止画に挿入されたテキストと同様に黒色であり、表示されてから27秒が経過した時点で静止画の遷移を待たずにフェードアウトする。

再生開始から60秒(即ち1分)が経過すると同時に、3枚目の静止画が表示される。3枚目の静止画は暗所を映したとされるものであり、静止画内に被写体や特筆すべき構造物は確認されていない。表示されるテキストは「いっしょ」というものであり、テキストカラーは白色となっている。

また、動画内にて用いられている静止画は4枚であり、そのうちの1枚はサブリミナル的に表示されている。4枚目の静止画は無縁仏を映したとされるものであり、そこには「遥香と紳人のため」という文字が表示されている。なお、4枚目の画像には特異性があり、視認者に対して身体的損害をもたらすことが確認されている。特異性については次の項目で解説を行うとする。

特異性

10年後の姿にて表示される特定の画像(4枚目の静止画)を視認した人物は倦怠感と吐き気を訴えることが確認されている。これを回避する手段は今のところ「4枚目の静止画を視認しない」というものだけとされている。なお、この症状を訴えた人物は精神的な衰弱を示すこともあるという。具体的には「希死念慮の増大」や「被害妄想の悪化」などがある。

これらの症状は4枚目の静止画を視認してから1ヶ月ほどで消えるとされている。しかしながら、これらの症状は時間経過で悪化していき、1ヶ月が経過する以前に視認者は精神異常をもたらすか、もしくは苦痛などを原因として死亡・自殺することが大半である。この性質などから、怪談の集いをはじめとしたオカルトコミュニティでは「見たら死ぬ動画」とも呼ばれているという。

この特異性がどうやって発生したのかは明らかになっていない。一説では「偶発的に発生したものである」と言われているが、中には「製作者の怨念が呪いとして発現した」と考える人もいる。

考察

以下は10年後の姿のコメント欄に存在していた考察メッセージのうち、特筆に値すると判断されたものの転載である。

“これ、もしかしなくても冥婚的なやつだったりするのか?
死後に結婚するみたいな習慣は割とあるし、有り得なくはないと思うんだけどな。
だとしたら、撮影者=投稿者(サンカク)は映ってる女の子の親で、
なんとかしてその願いを叶えてあげたってことなのかな。”

“3つ目の画像の「いっしょ」ってあれなのかな。
死んでもずっと一緒にいれるよ!みたいな感じの意味合いだったりして。”

“これ、冥婚……というよりは、
死者同士を結婚させてるのかなって思うな。
で、そのためには生気が必要になっていて、生気を使い切った投稿者(サンカク)
が死んで、儀式的なものが中断されたからアカウントも動画も消えたとか。
そう考えると4枚目の画像を見た時の諸症状も納得できるんだよな。
生命力を俺たちから奪おうとしてるんだろうな。”

新規情報を入手次第、当記事に追記していく。

(記・Triangle)


照守皐月 / teruteru_5
「10年後の姿」 2024
CC BY-SA 3.0

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