床屋さんで「ハライチ岩井みたいにして下さい」と言ったはなし
僕は髪を1か月に1回切っている。年末年始に髪を切りたかったのだが、いつも行っている実家のマンション入口から徒歩10秒の床屋さんが年末年始が予約で一杯だった。
普段よりも半月分髪が長いので、耳に少しだけかかり、前髪が長い。前髪を降ろした方が良いのか、上げた方が良いのか最後まで分からず、ただ長い髪をうざく思い半月を過ごしていた。
先日、年末年始はピース又吉のYouTubeチャンネルにハマっていたことを書いた。
YouTubeで又吉は、「これ話すと気持ち悪がられるんやけど、好きな人が出来るとその人自体になりたいという願望が出てくることがあんねん」「だから好きなバンドの格好を真似する人の気持ちが分かるんよ」みたいなことを言っていた。
床屋さんに行く2日前、ふとこの又吉の発言を思い出し「新年一発目の散髪だから、今までと変えてハライチ岩井みたいにしてもらうか」と思った。
とりあえず「ハライチ岩井」で画像検索をし、すぐに「これだ」と理想の岩井勇気が見つかった。それがこちら、2018年のハライチ岩井だ。
僕がハライチ岩井にハマったのは2019年12月からなので、この2018年のハライチ岩井は知らない。しかし、この写真のハライチ岩井はとてもイケている。
この写真を見ながら「まゆ毛が全然違うな」と思った。早速、洗面所に行き、カミソリ、小さなハサミ、くしを探しだし、YouTubeで「まゆ毛 整え方」と検索。そして、学生振りに一生懸命まゆ毛を整えてみたのだが、僕はまゆ毛が濃く、ハライチ岩井ほど薄く細い眉にする勇気がなかった。
そもそも僕の左眉は5針縫った跡があるので斜めにラインが入っている。このラインを分かりにくいままで整える技術がなかったのも大いにあるのだが。
あとハライチ岩井になる為にはもう少しほっそりする為、ダイエットもした方が良いと思った。ちなみにハライチ岩井は過去「脳を洗脳ダイエット」という独特のダイエット方法で、全く太っていないのに1か月で6.5キロ痩せたというトークが面白かったのを思い出す。
年末年始の暴飲暴食により僕の体重は63キロ台。この1週間いつも通り毎日お酒は飲んでいるが、夜飯以外のカロリーを極端に減らすことにより、今朝60.9キロまで落ちている。目標は2月1日の朝、数年振りに60キロを切ることだ。
そして散髪当日「こんな髪型にしたいんですけど」と言う為にiPadも持って行くことにした。スマホでない理由は、僕の7年物のiPhone6Sは画面がバキバキに割れており、このバキバキ画面を見せるのは猛烈に恥ずかしい為だ。
床屋さんへ行き「こんにちはー」と言いながらコートをハンガーにかける。コートの下は2018年ハライチ岩井同様、白のロンTだ。「今日はどうしましょうか?」と床屋さんのおっちゃんに言われる前に「こんな髪型にしたいんですけど」とiPadの画面を見せる。
先程のサイトに6枚のハライチ岩井写真があるのだが、おっちゃんは「はいはいはい、長めにしたいんですね」とざっと見ただけだった。「ちゃんと伝わっているのかな」と思いつつ、その日は和やかに会話をしながら髪を切ってもらった。
普段はバリカンで刈り上げてもらうのだが、全てハサミで切っていた。「もうちょい切ってもらいたいな」を思っているも、この後短めにするかもしれないので、いつ伝えていいのか分からない。
結局ある程度切り終わる前に我慢できず「もみあげが伸びるともじゃもじゃしてくるので、もう少し短めでお願いします」と要望を伝え、もみあげをバリカンで短めに刈ってもらった。
その後、髪を洗ってもらい、顔そり、マッサージしてもらい、最後髪を乾かしてもらう段階で「セットどうします?」と言われ、普段は乾かしてもらうだけなのだが、その日はセットをお願いすることにした。
するとおっちゃんは「私はワックスもジェルも使わずにスプレーだけでやっているんですよ」と自分のセット方法を教えてくれた。僕は純粋に「え?スプレーだけなんですか?」と驚いた。ちゃんとセットされていたし、そもそもスプレーだけでセットしている人を初めて知ったのだが。
おっちゃんに勧められスプレーだけでセットしてもらうことにした。そこからがすごかった。おっちゃんは半分以上乾いている僕の髪を優しい温風で乾かしてくれる。いつもと違うのが3種類のくしを使いながら、ドライヤーだけで髪の流れを完璧に作りセットしてくれたのだ。
そのくし使いに見とれながら、最後はスプレーでセットしてくれて終了。3,000円を支払い、いつも通りミルクの飴をもらい帰宅した。
洗面所に立ち自分の顔を見る。「んーハライチ岩井ではないな」と思い、ジェルを取り出し自分でセットし直した。
おっちゃんのドライヤー使いは素晴らしかったのだが、やはり、散髪あるある「一回も納得できるセットされたことない」を覆すことが出来なかったのだ。
翌日から毎日おっちゃんを真似して、くしを使いながらドライヤーで髪をセットするようにしている。しかし、いまだにハライチ岩井になれたことがない。