鉄塔 武蔵野線
1997年頃、日本大学医学部付属練馬光が丘病院の眼科でコンタクトレンズの治験の仕事をしていた。毎週金曜日の午後に眼科外来に通っていた。仕事が終わるのは夕方なので会社に戻らず直帰するのが常であった。
ある日、帰りに光が丘の本屋に立ち寄った時、「鉄塔 武蔵野線」という文庫本が目に留まり、購入した。少年二人が武蔵野線という鉄塔を番号順に遡って探訪していく物語で、とても印象的な小説であった。映画化もされたが観ていない。
読んだ後は、近所の鉄塔が何線なのか調べたり、自分も番号順に遡ってみようか、などと考えたが、そのうち記憶のかなたに埋もれていった。
先週、Twitterを眺めていたら、印象的な鉄塔の写真がアップされていた。印象的であった理由は、超広角レンズで撮影されたカッコいいモノクロ写真であることに加え、電線が撤去されていたからであった。写真家の加藤秀さん(note(https://note.com/longing),)(Twitter(@harvest__rain))がアップしたもので、そのうちの1枚をみて、それが鉄塔武蔵野線であることがわかった。加藤秀さんとは面識はないものの、最近買ったカメラホリックという雑誌にライカで撮影した写真が掲載されていて、気になってTwitterでフォローさせて頂いていた。不躾ながらコメントさせて頂いたところ返信を頂き、この鉄塔がもうすぐ撤去されてしまうことを教えてくれた。
新座市中央公民館近辺ということを教えていただいたので、とにかく撤去される前に見ておきたくて行ってみた。新座は自転車でも何度か行ったことがあったので、久しぶりにクロスバイクで行こうかと思ったが、天気も不安定だし、フィルムライカも持って行きたかったので車で行くことにした。ナビに新座市中央公民館を入力すると、三鷹市の自宅からはわずか11kmだった。
新座市中央公民館に着くとすぐ隣に鉄塔があったが電線がつながっているので見てみると武蔵野線ではなく片山線という鉄塔であった。はて、武蔵野線はどこかと見渡してみると、電線の撤去された鉄塔が見えたので、車で移動した。
近くに来てみると、どうやらこれが加藤さんが撮影した鉄塔のようであったが、すでに解体が進んでいて、「武蔵野線」の看板も取り外されていてなく、鉄塔の先端もすでに解体されてなくなっていた。がっかりしたが一応写真を撮影して遠くを改めて見てみると、電線の外された鉄塔が見えたので、車で探索を始めた。
まずは近くに見えた小さめの鉄塔に行ってみた。すぐ目の前に車を停めることができた。
今度は先端は解体されておらず、形状は保たれていたが解体工事は始まっていて、「武蔵野線」の看板は取り外されていてなかった。んー、がっかり…。気を取り直して遠くに見えた方の鉄塔に行ってみることにした。
こちらはでかくてカッコいい。解体は始まっているが、「武蔵野線」の看板はまだ取り外されておらず、撮影できた、んー満足…。
それにしても、鉄塔を撮影するのは結構難しい。今日は20-35mmのズームを持参したが、17-40mmの方がよかったかも知れない。23年振りに「鉄塔 武蔵野線」を読んでみるのも一興かな…。
撮影:EOS R, New FD 20-35mm F3.5L, New FD 80-200mm F4L
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