国立天文台の桜(2006/4)
最近、PCのフォルダに保存されている過去写真を少し眺めている。2006年4月のフォルダを見ると、国立天文台三鷹キャンパスで撮影した桜の写真があった。
国立天文台の中に入るには、正門から正式に手続きを経て見学するのが常であるが、当時の国立天文台には裏門があって、ここは常に開けっ放しで誰でもキャンパス内に侵入することができた(数年前に工事され、門には鍵がかけられ、現在は侵入できない)。
三鷹に住み始めたのは1996年3月からであるが、初めて国立天文台の裏口から入って桜を観たのは2000年の春であった。この頃は、ライカM3にポジフィルムを詰めて撮影していた。それから毎年、春になると天文台に家族と桜を観に行くのが恒例となっていた。モグラの穴が所々にあり、土筆を大量に収穫することもできた。
何しろ国立天文台の内部なので、ほとんど桜を観に来ている人はおらず、敷地が広いため外部の音もほとんど聞こえず、聞こえるのは風の音だけ…。そんな中で豪華絢爛な桜が咲き乱れている中、ライカの静かなシャッター音が「チャッ」と聞こえるだけ。自分の中では、国立天文台と国際基督教大学のキャンパスが「自転車で行ける」桜の名所なのである。
ただ桜の見どころは見学コースから外れたところにあり、裏門から入っていることもあり、少しだけ後ろめたい気持ちはあった。
ところが毎年訪れる度に、「裏門」から侵入して桜を観る人が増えてきた。まだ「穴場」感はあったものの、桜並木の下で敷物を広げ、大人数でビールを飲みながら弁当を食べる人が増えてきた。
毎年毎年人は増えていき、桜の写真も撮影しにくくなり、何だか普通の花見をする場所とあまり変わらない感じになっていった。
そして数年前、天文台の裏側は工事され、頑丈な裏門に鍵がかけられ、ここから入ることは出来なくなった。
また最近は、天文台の施設も拡張されているようで、中まで入って見ていないのでわからないのだが、桜が少しずつ伐採されていないかどうか心配である。
とは言え、来年もまた観に行ってしまうのだろう。正門から入って、見学コースを外れてふらふら写真を撮影しているかも…。
撮影:2006年4月1日、EOS 20D, EF17-40mm F4L, EF70-200mm F2.8L