マネーミュールを憎むなかれ…真の悪は詐欺師だ
マネーミュールとは、お金の運び屋という意味です。ミュールとはラバという馬とロバを掛け合わせた動物で、忍耐強く荷物を運ぶのに適していると言われています。しかしラバは自分が運んでいる荷物が何なのかを知りません。同様にマネーミュールとは犯罪に使われたお金をそれとは知らずに転送し、犯罪者の資金洗浄、マネーロンダリングに一役かってしまいます。
近年、日本在住者をターゲットにした海外に拠点を置く犯罪者による国際ロマンス詐欺や投資詐欺などのオンライン詐欺犯罪で、日本国内の銀行口座が使用されることがよくあります。そのような国内口座の振込先からお金を取り戻せないかと考える被害者の方々も少なくありません。そうすることは被害者の方々の自由ですが、マネーミュールに関して正しい知識を持ち、マネーミュール、つまり振込先の口座名義人への憎しみを増大させないようにするべきです。なぜなら真の悪はマネーミュールではなく詐欺犯罪組織だからです。
私たちNPO法人CHARMSの無料相談にも、マネーミュールにされた方のご相談をいただくことがあります。とはいえ「マネーミュールにされました」と言って相談に来られる方はおられません。相談員がお話をうかがっている中で、「マネーミュール」にされていたことが明らかになるというケースが殆どです。
投資詐欺の最初の投資の少額の段階では、振込先の使い回しのような形でマネーミュール化が行なわれており、この段階は詐欺師とマネーミュールの間で特別な関係は形成されていないでしょう。しかし、他の被害者から大金を受け取るマネーミュールの場合、すでに何年も詐欺師との関係が続いており、信頼関係が構築され、そしてアメとムチで精神的に酷く痛めつけられているケースも少なくありません。マネーミュールにされた被害者の方々も精神的に酷く傷つけられています。詐欺被害者だった方々がいかにしてマネーミュールにされるのか、そして本当に憎むべき悪は誰なのかということをぜひ知っていただきたいと思います。
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