ヤマハ発動機の挑戦
ヤマハ発動機が「自然資本との共生」に注力し始めた背景には、グローバルなニーズの変化があります。従来、二輪車などの製品は「生活必需品」として位置づけられてきましたが、先進国では次第に「趣味財」としての役割が強まっています。青田氏は「便利だから買って」の時代が終わったとし、自然資本を活用した新しい事業の開発を目指す理由を説明しています。特に、世界的に進む「ネイチャーポジティブ経済」の潮流に適応し、サステナビリティや生物多様性に配慮した事業が求められています。
ヤマハ発動機の製品はアウトドアを舞台にしたモビリティが多く、社員も自社製品で自然を楽しむ文化が根付いています。そのため、「自然との共生」は同社にとって親和性が高く、自然資本領域での新事業創出が必然的な動きとして捉えられています。また、横浜みなとみらいにオープンする共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」(リジェラボ)を通じて、社外のパートナーと共創し、新しい価値を創造する場を提供することで、関係資本の構築を目指しています。
ヤマハ発動機が重視するのは、ただの事業創出だけでなく、社会的に有益なプロジェクトを持続可能にする仕組みづくりです。新たな共創パートナーには、同社のスケールを超える「大きな魚」を視野に入れた議論や取り組みを求めており、持続可能な未来を共に描いていく意欲が求められています。