働く高齢者がより働きやすい社会へ
厚生労働省は、働く高齢者の負担を軽減し、就労意欲を高めるために「在職老齢年金制度」の見直しを進めています。この制度の基準額引き上げや対象の縮小を通じて、年金が減額される仕組みを緩和し、働きながら年金を満額受け取れる高齢者を増やす方針です。これにより、就労を促進し、人手不足の緩和にもつながることが期待されています。
主なポイント
1. 基準額の引き上げ
現在、賃金と年金の合計が一定額を超えると年金が減額されますが、この基準額を引き上げる案が検討されています。例えば、基準額を現行の月28万円から30万円以上に引き上げることで、より多くの高齢者が減額なしで年金を受け取れるようになります。
2. 就労意欲の向上
高齢者の就労を妨げる「働き損」ともいえる状況を解消し、意欲的に働き続けられる環境を整備。これにより、社会全体での人手不足にも対応します。
3. 年金財政の健全化も視野に
年金支給額の増加による財政影響を考慮し、高所得者層の保険料負担を一部増やすことで、財政基盤を維持しつつ高齢者支援を進めます。
背景と期待
総務省の調査によれば、66~68歳の就業率は男女ともに上昇しており、高齢者の約半数が働いています。こうした流れをさらに後押しするための制度改革が、次の通常国会で議論される予定です。
今回の見直しが実現すれば、働く高齢者がより充実した生活を送り、社会の活力向上にも寄与することが期待されます。