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うたうたい渡辺美里アルバムヒストリー~7th. Lucky

【チャプター2~powerシーズン】
7th 1991年7月6日 Lucky

powerシーズン(勝手に命名)のラストは「Lucky」。
7枚目のアルバムにしてもはや貫禄で圧倒する1枚です。
「Queen of うたうたい」の誕生。
当時中学3年生の僕は、初めて発売日に買ったCDです。わくわくしながら近所のレコード屋さんに自転車で走った記憶があります。
時系列を少し振り返りると
【チャプター1~steppin'nowシーズン】
1st 1985年10月2日 eyes
2nd 1986年7月2日 Lovin' you
3rd 1987年7月15日 BREATH
【チャプター2~powerシーズン】
4th 1988年5月28日 ribbon
5th 1989年7月1日 Flower bed
6th 1990年7月7日 tokyo
7th 1991年7月6日 Lucky
ここまでで渡辺美里の第1章が完了と定義づけたい。
(賛否両論ありそうだけど)
1枚目のアルバム「eyes」の「SOMEWHERE」で産声をあげ、
7枚目のアルバム「Lucky」の「Kick Off」で
第一幕終演。
このあと、シングル
「My Revolution-第2章-」
をリリースしていることからも、
新しいチャレンジに向かっていく。
第1章をしめくくる、集大成的な作品です。

1. 「夏が来た!」
作詞/渡辺美里 作曲/大江千里 編曲/大村雅朗
BONJOVIのライブに行って、「こういう歌作ろうよ!」と大江千里と共同作業した楽曲。
キャッチーなシンセのイントロがまたもや1曲目で全部もっていく。
「なつおんな」として定着したイメージを加速させる勢いが感じられます。
当時、FMラジオ「虹をみたかい」での洋楽特集第2弾はBONJOVIでした。コーナータイトル「BONを呼べ!」は
「夏が来た!」レコーディング最中に大江千里が発した一言。
とても楽しそうな雰囲気でお話されていたのが印象的です。
後におこづかいを貯めてBONJOVIの
「Keep the Faith」を買いました。

2. 「ライオン・ドリーム」
作詞/渡辺美里 作曲/伊秩弘将 編曲/大村雅朗
この歌、めちゃめちゃカッコいいと思う。
「HELLO LOVERS 2」ができるなら強く収録希望。洋楽っぽい歌詞構成と鬼神いまみちともたかのギターソロ。
とてつもない強度を持った作品です。
作詞に関しても緻密に計算された完成度。
「リアルな夜を抱きしめ
 リアルな夜にゆれたい」
特別な言葉は使っていないけど
天才か!ジーニアスか!
歌詞内容のまま進行するとちょっと危ない
感じも漂いつつ、
「彼女は僕の。。。!」で気持ちよく終わる。
「ただの冗談さ、忘れてくれ」というボーダー的心意気。
そのまま次曲の大バラード「卒業」へと続くスパイスな位置づけ。

3. 「卒業」
作詞/渡辺美里 作曲/小室哲哉 編曲/小室哲哉
1991年4月18日シングルとしてリリース。
1991年は僕は中学3年生。
なんてタイムリーな、これはもはや運命!
と思春期真っ盛りならでは!感激しました。
3枚目のアルバム「BREATH」の
「風になれたら」で
「ふわり」「ぽろん」という歌詞に続き
「さらさらと」「はらはらと」という
日本語独特の美しい響きが素敵です。
「この歌は男の子に人気あるのよね~、
 でも、卒業できない恋って、いつまでも
 忘れられない恋っていうことではなくて、
 何かの拍子に、あれ?これどこかで感じた
 ことある!
 っていうようなことを表現したかったの。
 でも男の子にとっては違うようなのね~」と
ラジオでお話されていました。
そうは言っても僕には忘れられない恋の歌です。涙

4. 「クリスマスまで待てない」
作詞/渡辺美里 作曲/伊秩弘将 編曲/大村雅朗
これまた豪華なメンバーで作られた作品です。
ウインターソングもお任せあれ、という意気込みが感じられます。
「家族には女友達とうそをついたの」で喧々諤々、「こんな子に育てた覚えはない!」って怒られた、って当時の書籍に書いてあった気がします。
後にシングルカットされました。

5. 「はだかの気持」
作詞/渡辺美里 作曲/岡村靖幸 編曲/岡村靖幸
これまた岡村節を見事に美里節に変換。
レコーディング中に岡村靖幸が
「和太鼓持ってきて!」と
言ってサビのアクセントに
和太鼓を導入するという、
直感的クリエイティブが炸裂してます。
岡村靖幸も歴史的大名盤「家庭教師」を
リリースした直後。
もっとも勢いがあったからこそ、実現できたことかもしれません。

6. 「恋する人魚」
作詞/渡辺美里 作曲/佐橋佳幸 編曲/佐橋佳幸
ドラムに小田原豊御大を迎えての、とてもとても元気な作品。
いい意味でのノリと勢いが強く感じられます。
「ホットパンツと~」
「ホットドッグと~」
の「ホッ」が今思うと、とてもても可愛らしい、
ロックなうたです。

7. 「めまい」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/大村雅朗
官能的な歌詞とギターソロ。逢いたいという思いを強烈に荒々しく、甘美に表現しています。
2作目のアルバム「君はクロール」の続編的
位置づけ(と推測)
「いまみちともたか君のギターソロが最高に曲にぴったり」とお話されていました。

8. 「タイムトンネル天国」
作詞/渡辺美里 作曲/奈良部匠平/Joe Mardin 編曲/Joe Mardin/奈良部匠平
当時流行していたNew Jack Swing的な楽曲。
「化石みたい 生涯プラトニックラブ アンモナイト」
天才か!超人か!
作曲と編曲、シンセ他にジョー・マーディン御大が参加。
アレサ・フランクリン、ベット・ミドラー、チャカ・カーンなどを手掛けた大御所です。
(父親アリフ・マーディンもかなりやばい)
「マーディン」の英語発音について本人からレクチャーを受けたとのこと。
優しい人です。

9. 「さよならバレンタイン」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/奈良部匠平・Joe Mardin
切ない歌詞です。叙事的な事柄を並べて淡々と進むけどそれが悲しみを増幅させる、
ショートストーリー。
まるで短編作家のよう。
「あざやかなブルーのパーカーを結んで」という良い意味で酷です。
淡々と酷です。
それに加えて乾いた、湿度の低い音源が切なさを加速させます。歌詞とメロディーが先にあって、編曲を加えていった
そんな流れを感じられる作品。

10. 「大冒険」
作詞/渡辺美里 作曲/奈良部匠平 編曲/奈良部匠平
おもちゃ箱をひっくり返したような楽曲!
前作「tokyo」の「恋するパンクス」と姉妹曲(だと思う)
「結婚をする前に一度は同棲しなくっちゃ!」
はもしかしたら
「カレーライス!オムライス!」
になっていたかも、
というくらいお茶目っぷりもまた素敵。
「冷蔵庫あけたら リンゴと欲望 こぼれたよ」
本作は今まで以上にジーニアスな言葉遊びが楽しめる作品が多いです。
ロックテイストなギターはリードが佐橋、ソロがいまみち、という豪華な顔ぶれ。同時期にリリースされた小田和正の「ラブストーリーは突然に」というメガヒット曲があります。日本国民のハートをわしづかみにした曲頭のギター「チャララ~ン」が実は佐橋によるもの。
最強にして最高のスタジオミュージシャン佐橋。神。

11. 「画用紙」
作詞/渡辺美里 作曲/伊秩弘将 編曲/清水信之
前作「tokyo」の「Boys kiss Girls」で歌謡曲をキレイに昇華させた伊秩弘将と清水信之の2人が、再度結成。
青空に突き抜けるような渡辺美里の歌声と相まって最高のこれまた歌謡曲に。
技術的なことはわからないけれど
「ザ・邦楽」と呼ぶにふさわしいハレバレ感があります。

12. 「JUMP」
作詞/渡辺美里 作曲/小室哲哉 編曲/小室哲哉
本アルバムにおいてとてもとても大事な曲。
湾岸戦争に影響も受けて、
「これは歌にしなければいけない」
という使命感がある、と当時ラジオで語っていました。
「Doing our best」です。「my」ではなく
「our」です。
広大かつ絶対的、地球規模、人類史上という感覚。
小室哲哉&久保こーじ(のちにエイベックスで帝国を築く)が
細かいところまで詰めに詰めた完成度の高さを感じます。
小室哲哉のピアノソロも秀逸。
まさしく聴きごたえのある硬度の高い作品です。

13. 「Kick Off」
作詞/渡辺美里 作曲/木根尚登 編曲/清水信之
当時FMラジオで放送していた「虹をみたかい」という番組。
僕は毎週リクエストのハガキを書いていました。
「次の曲、北海道札幌市の〇〇君は
 16歳の男の子。リクエスト
 どうもありがとう。渡辺美里でKick off」
なんと!なんとです!
僕の名前が読まれたのです!
リアルにラジカセにしがみついた記憶。
記念のカセットテープは未だに保管してます。
アルバムアーティストには不可欠な木根バラ。
「一番好きな あなたのために 何ができるのでしょう」
勇気のうたです。

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