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chapter17 『野望』

毎日高校ではひたすら寝て、夜な夜なバイトと遊びとバンドとバイトと言う日々が続いた。

バイトしないとスタジオ代払えないし、面倒臭いけど頑張りましたよ。

皆やってたんだけどね。

バンドの方は絶好調。
初めて出たコンテストで勝ち進み、結果的に決勝まで行った。
そりゃあメンバーみんな鼻高々になりました。
はい。

楽器屋へ行けば知らない女の子達から話しかけられたり、バイト先でも同じ様に声を掛けられたり、遠方のライブハウスから出演依頼が来たりして、もう本当にパラダイスな感じで♪

そんな俺達のパラダイスっぷりを、密かな野望を胸に秘めながらまるで自分もバンドメンバーかの様に一緒に付いてまわるハッタリが…。

そう。この時にハッタリは、

『ハッタリパラダイス計画』


を建てていた事が後に判明したんだ。


ハッタリの密かな野望


バンドを組む。

当然、ボーカルを担当する。

するとパラダイスが待っている。

キョンキョン似のあの娘の熱い視線を感じて、2人の距離を縮めたい。

下手したら付き合えるかも…


ま、こんな感じ。




で、しばらくしてからの事。


『俺、バンド組んでやった。』

『ま、ボーカルなんだけどね…。』


いかにも自分はあまり乗り気じゃ無いんだけど、誘われたから本当に仕方なく参加したよと言わんばかりのハッタリっぷり。

だからハッタリって言われるのに。
お前はさ。
ちょっとは学習しなきゃいけないよ…。


『え!?そうなん?メンバーは?』


ハッタリの口から出て来たメンバーを聞いた俺は、正直驚きとかなりの笑いを隠せなかった…


『ん?○○と✖️✖️と☆☆と□□。』


同級生だね。

良く知ってるよ。

ちょっと前に、多分だけど一緒にキャンプとか行ったと思うよ…。

いつもの悪ふざけメンバーじゃん!

お前ら楽器出来ないじゃん!

まともなのはキーボードだけじゃん!

何やるのさ?欽ちゃんバンド?


欽ちゃんバンド知らない方
本当ゴメンなさいね(笑)




あまりのメンバー発表に絶句しつつも、笑いを何とか我慢している俺を見て、


『いや、ほら、皆がやりたいって言うからさ…。うん。』


ほ ん と う か ?


み ん な に き く か ら な。


後で聞いた話によると…。

ハッタリは毎日毎晩の様にメンバーを口説いて回ったらしい…。

いかに今の高校生活がつまらないか。

そしてそれを変えるのはバンドしか無いと。

熱く熱く毎日毎晩語ったらしい。

胸に密かな野望を隠して…。

俺が毎日バンドで忙しくしてたのを知ってた悪ふざけメンバーは、実は内心ちょっと羨ましく思ってたらしく、ハッタリの洗脳勧誘にまんまと引っかかってしまったらしい(笑)

ハッタリの密かな野望を知る由も無い…。


こうしてハッタリは、念願のバンドとボーカルのポジションを手に入れた。

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