chapter20天神バンド初LIVE‼︎
そんなこんなで月日が流れて。
楽器屋主催のライブイベントが行われる事に。
俺らも必死にチケットを友達や知り合い、はたまた学校の違う学年のクラスまで押し売りに歩き回り、何とか盛り上がる為に必死。
チケット売り上げに対してバックマージンがあったんで、貧乏学生の俺らには死活問題。
そりゃあ必死になって売りましたよ。はい。
いよいよ出演バンドも決まったと聞いて、帰りに楽器屋に寄ってみようと思ってね。
バンドメンバーもいつも通りに集まって、皆で出演バンドを確認する事に。
カッコよく出来たポスターを眺めながら、出演バンドの欄でフリーズした俺。
『天神バンド』
え?
出るの?出ちゃうの?
本気?ねぇ本気なの?大丈夫なの?
『悪い。ちょっと先に帰るわ!』
言い残して楽器屋を後にしてサルの家に。
いつもの様に勝手にサルが住んでるアパートの2階に駆け上がって、サルの部屋の窓を開けるとサルとまーちゃんが。
『ちょ、ちょっと見たんだけど!ライブ、ライブ出るの?マジ?』
「そうなんだよー…」
「まだ早くね?って言ったんだけどさー」
「ハッタリが勝手に申し込みやがった(怒)」
マジですか(笑)
それは『俺のバンド』だからですか?(笑)
『だ、大丈夫なん?マジで?』
「レパートリーあんま無いけど何とかなる…かなぁ…」
「うん…まぁ…ね…」
大丈夫?ねぇ本当に大丈夫?
って言うか、ハッタリ凄くね?(汗)
いくら『俺のバンド』でもレパートリー無いじゃんよ…。
何だか可哀想になった。
部屋に入り直して、3人でタバコに火をつけて顔を見合わせて無口になった。
ライブが心配。
だけど冷たいけど俺には関係ない話。
でもさ、やっぱり友達じゃん。
何て言っていいか…。
やっぱり何も言えなくてタバコの吸い殻だけが増えていく。
ちょっとしんみりしている時に、急に窓が勢いよく開いた。
「よっ!」
ハッタリ参上
「よっ!」じゃねぇだろ(苦笑)
お前ちゃんとメンバーに説明しろよ。マジで。
『おい、お前マジでライブ出るの?』
「もちろん!やるしかないっしょ!
メンバーみんなやる気だしね!」
『はぁーーーーーーーー?』
サルとまーちゃんが同時に大声を出した。
『お前がどうしても出たい出たいって言ってて、しかも知らないうちに決めてきたんだろうがよ!』
引きつるハッタリ。
挙動不審なニワトリの様になった。
「ん?んーんと、あれ?あ、えーっと…ね。
そう…だった…かな?ん…。」
引きつったハッタリが何とか動揺を誤魔化そうと、テーブルの上にあったコーラのボトルのキャップを開けてラッパ飲みした。
『ブオフォッフォッッッ‼︎‼︎‼︎』
おい、サル。
何故に今、ボトルに麺つゆを仕込んである訳だい?
毎回毎回仕込むのはヤメろとあれほど(苦笑)
『ひゃっひゃっひゃっひゃっ♪』
心配してしんみりした俺が馬鹿だったよ…。
口と鼻から麺つゆを噴射したハッタリは、場が和んだのを勝機と感じたのかつゆまみれの顔を少し笑顔にして、
『まぁ何とかなるっしょ!』
あぁそうですか…。
はい。そうですね。
楽しみにしております。