Ⅰ-#8 シートの活用方法(2)
シートの活用方法(2)
前回解説したようにシートを作成することで、分析対象としたカリキュラムがどのようなところで「形骸化」や「なし崩し化」が進行しているかといった点について洞察を深めることできます。
また、他者の分析結果と比較してみることで、同じカリキュラムでもどの程度見方が違うのかという点についても考えることができます。
今回は前回と同じシートを活用して、カリキュラムの組織的改善に繋げる方法について解説します。
分析を改善につなげる
第3回の解説では、知識経営の考え方を活用して、学校のカリキュラムを改善する際に、皆がなんとなく感じていること(暗黙知)を表出化して、相互交流させて新たな組み合わせを創る連結化がその鍵となることを説明しました。
このシートを作成することで表出化が行われ、今回解説する連結化のプロセスを具体的に実現していくことができます。
グループワークの進め方
標準的なグループワークの進め方を紹介いたします。(グループワークのメニューは時間やメンバー、求める成果の質に応じて修正することができます。)
①相互に報告し合い、それぞれの参加者は他者の分析から、自分とは異なる実践解釈や欠けていたモノの見方に気づくことができます。
②次にシートの下の方にある記載をより上に移し、組織の暗黙知をカタチに表すことができないか話し合ってみます。たとえば、「将来希望する職業を見つける進学への動機づけにする」ということがグループで共通に指摘されていたとしたら、これを「地域の仕事の実態から職業観を培い、進路選択へ繋げる」と目的を修正することができます。また生徒の書いた感想文が同じようなものになっていると感じたら、これをテキストマイングを用いて分析してみたり、記述を内容によってカテゴライズして経年変化を見てみることもできます。
③また、系列間の比較をしてみることも可能です。例えば成果や問題点の系列では、「これからは職業構造自体が変わっていくのに、今まで仕事の仕方を学ぶだけで本当にいいのか?」といった課題が出ていました。
こうした、課題意識を反映して、職場体験をした受け入れ先に、事業の改善提案をするといった授業内容を付け加え、それに伴って「地域の仕事の実態から、未来の仕事像に関する想像力を高め、進路選択へ繋げる」といったように目的も再定義してみることもできます。
このようにして、複数の教員が集まって活用してみることで、学校カリキュラムを実際に改善するためのプロセスを回していくことができるのがカリキュラム分析シートの特徴です。