マガジン限定記事「脱成長ブームをつくったのはなにか?」
先日見かけた興味深いポストについて。
発端となっていたのはウェブ系コンサルタントでインフルエンサーの永江一石氏による、かつて新宿周辺で行われた「反富裕デモ」の写真を引用したポストである。
いちおう付言しておくと、永江氏のポストだけを見てしまうと「反富裕デモ」があたかも最近行われたものであるかのような印象を持ってしまうかもしれないが、これが実際に行われたのは2014年~2015年であり、いまからおよそ10年前の出来事になる。国内の貧困問題についての執筆が多いライターの雨宮処凛氏が呼びかけ人となって行われたものだ。
しかしながら、よくある貧困対策を求めるデモではなく「反富裕」を冠したデモであるのは興味深い。貧困や格差をなくすのではなく、富裕層をなくすことにフォーカスされているという点で、他の貧困問題にまつわる社会運動とは一線を画している。
あるいは、近年ではいわゆる「脱成長論」にも大きな注目が集まっていて、斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』がベストセラーにもなった。
「脱成長」を唱える人が、富裕層が一定数生まれるような社会のダイナミズムが否定される脱成長した社会を本当に迎えられる覚悟があるかというと、個人的には正直かなり疑問に思っている部分もあるが、まあそれはそれとして。
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「反富裕」とか「脱成長」というのは、いわゆる共産主義的なムーブでありブームであるとして世の中一般には評価されているのだろうが、個人的には必ずしもそうは思わない。
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