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終わったのか日経平均ラリー?!
7/13トランプ候補が狙撃された後、11月米大統領選挙でのトランプ候補の勝利確率が上がったことで、金融市場では、トランプ大統領誕生を想定したトレードにより、米国株価と日欧株価の明暗が分かれる結果となった。今週、日経平均株価は、先週の42,000円台の史上最高値から急反落している。対中デカップリングを想定した今後の日本経済の成長モデルと日経平均株価の行方を解説する。
1.米国の経済政策の実情
トランプ候補の経済政策のひとつに、貿易赤字国への関税引き上げがある。これは、対中関税を60%引き上げるだけでなく、日欧など同盟国に対しても10%の関税引き上げが含まれる。これは明らかに日系企業の対米輸出にマイナスとなり、企業業績に悪影響を与える。加えて、7/17米中対立の一環として、現政権から対中半導体輸出規制強化方針が打ち出されたことで、中国向け半導体製造装置を輸出する日系企業の対中輸出が困難になるとの見方から、翌7/18日経平均株価が大幅安となった。今後、経済安保の観点からの対中貿易規制がトランプ政権移行後も更に強化されることで、日本企業への悪影響が長期化する可能性がある。
2.中国経済の現状
中国不動産不況の深刻化などから日本の対中輸出は2021年をピークに減少傾向に入り、中国国内の内需低迷により日系自動車メーカーによる中国での自動車販売が大幅減少となるなど、既に中国経済低迷の悪影響を日本企業は受けている。
また、今年に入り施行された反スパイ法強化をめぐる不透明感に加え、現在中国で開かれている三中全会でも、国営企業中心の経済再建方針が打ち出され、中国の経済開放による成長軌道の道筋は描かれていない。
既に米中対立の深刻化から、昨年の海外から中国への直接投資は前年比80%減少するなど、対中デカップリングの動きは世界的な潮流となっている。
3.日本企業の採るべき道筋
中国の生産年齢人口は、2010年代に減少傾向に入っており、今後の急速な少子高齢化と不動産不況の長期化を踏まえると、日本企業が対中ビジネスでこれまでの様に安定的な収益拡大が見込める時期は過ぎたと判断できる。
その一方で、他の新興国に目を向けると、フィリピン、インドネシア、インドなどで人口爆発が続き、内需拡大が期待できるアジア諸国は多数周辺に存在する。
日系企業は、今回の対中デカップリングの潮流を契機に、対外進出の方向性を東南アジアや南アジアに切り替え、新たな成長市場として開拓していくことが今後の成長持続の鍵となる。
4.日経平均株価の今後の行方
足元の日経平均株価は、図表1の通り、40,000円を割り込む水準まで急反落し、予想変動率も大きく上昇している。財務省が円買い介入に踏み切ったとの報道や日本銀行の金融政策決定会合において、国債買い入れ減額が決定されるとの見方も、日経平均株価の重しとなっている。加えて、トランプ候補の優勢が伝えられる11月の米大統領選挙をめぐる不透明感から、当面日経平均株価の上値は限られる可能性がある。
しかし、日系企業のグローバル化の動きは不可逆的なものであり、中期的な円安トレンドに変化はないと考えられることや、脱中国の経済モデルの確立により新たなフロンテイアを開拓することで、日本企業が成長のエンジンを得、今後、企業業績の回復とともに日経平均株価が、史上最高値を更新、45,000円方向に上値を切り上げることは十分可能と考えられる。
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20240719執筆 チーフストラテジスト 林 哲久