建物と風について
建物があると、その周辺の風の流れ(気流)に影響を及ぼします。ビルとビルの間を歩いていると風が強い時などを体験したことがあるかと思います。
この現象は、建物の高さや建物同士の間隔の比率が影響します。もしくはもう少し広い範囲で見た時に、街区面積に対する建物の占める割合でも影響することが知られています。
建物があるとその壁面には風がぶつかります。すると空気は建物を回り込むようにして流れていきます。その時に建物が2棟並んでいると、その建物同士の間(隣棟空間)にそれぞれの回り込んだ空気が流れていきます。
互いの建物の間(隣棟空間)の空気の流れる量は、建物同士の間隔が広くても狭くても同じ空気の量が流れますので、幅が狭いと風速は上がり、狭いと風速は下がります。
図1は建物の高さ(H)と建物同士の間隔(W)が同じ場合(建物間隔比1)を書いてみたものになります。これに対し、建物同士の間隔(W)を広げてみると図2のようになります。
図2は建物の高さ(H)と、建物同士の間隔(W)が2倍の場合(建物間隔比0.5)を書いてみたものになります。このように、建物同士の間隔(W)を広げてみると隣棟空間に流れ込んでくる空気の量が同じなので、建物同士の間隔(W)が広がると、隣棟空間における流れ込んでくる空気の勢いは弱くなります。
一般的にこの建物間隔比(H/W)が0.5以上になると、隣棟空間に吹き込む風は非常に弱くなってきます。
このいわゆるビル風(風害)は、高層建築物が登場してからとりわけ顕著になり、建築設計における検討事項としても取り上げられるようになりました。
対策としては、建設地における風の発生しやすい方向に対して、受風面(見附の面積)を小さくするように計画をします。こうすることで、隣棟空間に流れ込んでくる空気の量を少なくすることができるからです。
また、建物の形状を流線型にすることで、建物周囲の強風域を減らすことができます。その他、建物の中間階などに風穴となる空間を計画するなど、さまざまな工夫が考えられます。
いずれにしても、流れる空気の量を減らし、まとまって空気が流れないように分散させることがポイントと言えます。
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