#1508 現在進行形共有と並列つなぎ
GIGAスクール構想の本質は「一人一台端末」ではない。
その本質は「クラウド環境」にある。
クラウド環境により、子どもたちの多様な「つながり」を実現することができるようになった。
これが「本質」だ。
ICTを使えば、自分のアウトプットを互いに参照し合うことができる。
しかし、それは「アウトプットの結果」を見せ合うことだけではない。
「アウトプットの結果」を見せ合うだけであれば、ワークシートに書いて、全員にそれらを黒板に貼らせても構造は変わらない。
そこが「本質」ではない。
重要なのは、「アウトプットの過程」つまり「思考のプロセス」を相互参照することができる点である。
これは「現在進行形共有」と呼ばれる。
自分がアウトプットに悩んでいるときに、友達の途中経過を端末で見ることができる。
これにより、ヒントを得て、自分のアウトプットに役立てる。
このような「現在進行形共有」を活用することで、プロセスを充実させ、アウトプットの質を高めさせることができるのだ。
また、「現在進行形共有」を活用すれば、相互参照だけではなく、相互交流もすることができる。
友達の考えで気になった箇所があれば、近くに行き相談することができる。
また、近くに行かなくても、チャット機能やコメント機能で交流することができる。
一斉授業では、教師の意図的指名や子ども同士の相互指名によって「直列つなぎ」しか実現することができない。
しかし、「現在進行形共有」を可能にすれば、子ども同士の自由な交流が生まれ、「並列つなぎ」を実現することができるのだ。
こうして「つながり」を多様に生むことで、相互作用が多様に生起することになる。
この多様な相互作用が、子どもの学びを深めたり、広げたりすることになる。
それが資質・能力の育成につながるのである。
そうして、「全体で取り上げる価値のある交流」を教師が見取ったら、それを全体に紹介する。
そうすれば、全員にその価値を伝染させることもできる。
このように、「現在進行形共有」を使った「並列つなぎ」と、教師の見取り・意図的指名による「直列つなぎ」を使い分けることも重要なのである。
これからの時代の授業は、ますます「現在進行形共有」が重視されていくだろう。
そのような活用を意識して、学習デザインをしていきたい。
では。