#1468 令和の日本型教育と従来の学習規律の矛盾
令和の日本型教育として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実が叫ばれるようになった。
これを教育現場である「教室」で再現してみる。
そうするとどうしても、子どもたちに「任せる」時間が増えていく。
教師が一方的に説明するような一斉指導の時間が、圧倒的に少なくなる。
すると、どうなるか?
子どもたちの「人の話を聞く態度」の質が低下する。
タブレット端末に依存するようになる。
立ち歩きが増える。
これらの現象が必然的に起きるわけである。
そしてこれらの問題は、これまでの教室では抑えられてきた節がある。
なぜなら、教師が一斉指導により、子どもたちをコントロールしていたからだ。
従来までの学習規律を、教師は自然と確立することができていた。
しかし、令和の時代になり、その様相が変化しつつある。
「子どもたちの活動」中心の学び、つまり「個別最適な学びと協働的な学び」をすればするほど、従来までの学習規律が確立しにくくなっているのである。
令和の日本型教育と従来までの学習規律は「相性が悪い」のだ。
では、この矛盾をどう解決すればよいのか?
ポイントを以下2つに整理する。
1 話を聞くときと活動をするときの切り替え
「子どもたちの活動中心の学び」と言っても、授業の冒頭と終末では教師の話がなされる。
「インストラクション」や「語り」と呼ばれるものである。
その際は、今している行動をやめて、耳を傾けるよう指導する。
教師の説明を聞かなければ活動の主旨が分からないし、語りの内容が理解できないからである。
なので、聞くときには真剣に聞くことを徹底させる。
このように、聞くときと活動をするときの切り替え、メリハリを重視していく。
2 他人の迷惑になる行動の禁止
「活動中心の学び」では、子どもたちが教師からコントロールされることなく、「学ぶ自由」を得ることができる。
しかしその自由を、「なんでもあり」の自由とはき違えてはいけない。
立ち歩いて、他人の学習の邪魔をする。
大声で関係のない話をする。
他人にいたずらやちょっかいを出す。
人の話を聞かず、おしゃべりばかりする。
これらの行動は言語道断である。
なぜなら、他人に迷惑をかけるからである。
つまり、「他人の迷惑になる行動」は慎まなければならないのだ。
他人にも「自由に学ぶ権利」があり、それを尊重しなければならない。
これを「自由の相互承認」と呼ぶ。
このように、「自由の相互承認」を意識する態度を育てていく必要がある。
以上、令和の日本型教育に必要な学習規律を2点整理した。
「話を聞くときの態度」「他人に迷惑をかけないこと」。
この2点を意識させることが重要となる。
あとは、子どもたちに「任せる」時間が多くなので、大目に見る寛容な態度が必要になるだろう。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させつつも、守るべき学習規律は守らせる。
そんな両立を目指していきたい。
では。