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#1902 未来の先生フォーラム2024

9月14日、15日と東京の桜美林大学で行われた「未来の先生フォーラム2024」に初めて参加してきた。

以下に参加したプログラムと学びの一部を整理していく。


子どもたちを「養う」学校へ

14日土曜日の最初は、赤坂真二先生のプログラムに参加した。

有名な大学教授なので、過去に何回も話を聞いたことがあるが、今回も充実した内容だった。

特に印象に残ったのは、「今の学校教育は引き上げる機能を重視しがちで、養う機能が軽視されている」というメッセージである。

学力を上げること、研究を進めることに躍起になり、それが教師の首を絞め、結果的に窮屈な学級経営の引き金になってしまっている。

学校はもっと「養う機能」を重視していくべきであるという赤坂先生の主張に、深く同意した。

教師がもっとユーモアを大切にしていく。

子どもたち一人一人が抱える悩みをみんなで自己開示しながら解決していく。

そのような子どもを「養う学校」を目指していく必要があると強く感じた。

授業で伏線を回収する

2つ目に参加したのは、渡辺道治先生のプログラムである。

初めて生で渡辺先生の講演に参加し、オーラと話術に圧倒された。

その中では、「エビの授業」「大繩跳びの授業」を体験することができた。

どちらも「伏線回収」が素晴らしい授業であった。

授業の導入と終末で同じコンテンツを用意する。

そこで子どもたちの変容が可視化されるように、授業のストーリーを組み立てる。

教師主導ではあるが、このようなレベルの高いコンテンツと、デリバリー力を駆使することができれば、多くの子どもが「変容」する学びにすることができると感じた。

AIで創造性を補完する

3つ目に参加したのは、さる先生こと坂本良晶先生のプログラムである。

AIが飛躍的に進歩を遂げている現在だが、AIは人間の「創造性」を補完するものであるという「AI観」を学ぶことができた。

これ以上飛躍的な進歩が期待できない「カンスト社会」を生きる今の子どもたちには、「独創性」「創造性」という能力が求められる。

その補助的な役割を担ってくれるのが、AIなのである。

AIをうまく活用することで、オリジナリティあふれる考え・成果物を創造していくことができる。

その練習の機会を、学校教育でも徐々に始めていく必要性があると痛感した。

横並び主義、前例踏襲主義を乗り越える

土曜日の最後は、渡辺道治先生と坂本良晶先生の対談プログラムである。

終始、「笑い」が起きるようなラジオ的な対談であった。

圧倒的なコンテンツと話術を武器にした教師主導の授業をする渡辺先生と、ICTを活用した再現性のある授業をする坂本先生という真逆の二人が、参加者を巻き込みながら話を進めていた。

特に印象に残ったのは、「日本の学校教育のレベルは高い。しかし、同調圧力のせいで強みが消されてしまっている。」という主張であった。

日本の学校教育の平均レベルは諸外国と比べ、かなり高いことが分かった。

しかし、同調圧力のせいで、教師それぞれの個性が押しつぶされてしまっている。

もっと自分たちの強みを生かせる文化をつくっていかなければならないと強く感じた。

自分事の学びを支えていく

15日の日曜日は、最初に海老沢先生ほか3名による特別支援のプログラムに参加した。

特に一番考えさせられたのは、「子どもたちが自分事の学びを進めているか」という問いである。

学習指導要領の縛りや時数制限があるので、完全に学習内容を自由にすることはできない。

しかし、その範囲の中でも、学習内容を「自分事」にさせる工夫は無限にあるはずである。

学習内容を子どもが「自分事」として受け止めることができれば、その学び方は子どもそれぞれ異なっていてもよい。

学習環境、学習方法を子ども一人一人に委ねる「パーソナライズされた学び」を教師は支えていくようにしたいと感じた。

勉強ってつまらないものなの?

2つ目に参加したのは、難波駿先生のプログラムである。

自由進度学習で有名な先生であり、私が今、最も注目している方である。

プログラムの中で、「勉強ってつまらないものなの?」「勉強は楽しいという前提であるとすれば、なぜあの子はつまらなそうなの?」という問いが特に印象に残った。

自分を顧みる問いであり、心が揺さぶられた。

そして、この問いを常に考え抜くことが重要であると確信した。

自分の信じた「学習方法」「授業スタイル」を子どもたちに押し付けるのではなく、目の前の子どもたちの様子を見取りながら、「どうすれば勉強を楽しめるか」を考え続けていきたいと思った。

その問いにおける1つの選択肢として「自由進度学習」がある。

自由進度学習を用いることで、学校での学習における「不自然な箇所」を、少しでも「自然な形」にしていく。

子どもの願いや思いが起点となり、学びを見通し・行動し・振り返り続ける学びを日常化していく。(AARサイクル)

そして、自由進度学習が、子どもをサボらせないための「管理タスク化」とならないようにしていきたい。

ICTで深い学びを実現する

3つ目のプログラムは、前田先生と田村先生による対談である。

ICTなどのデジタル機器が進展している学校教育であるが、その活用が目的となってはいけない。

ICTを使うことで、「深い学び」に至ることが肝要となる。

学びが深いものになるためには、「知識と知識のつながり」が重要である。

そのためには、「精緻化」「体制化」という認知的方略が必要であり、ICTはそれを後押ししてくれるのである。

ICTを無目的でただ活用するのではなく、「精緻化」「体制化」を意識して活用させることで、深い学びを実現することができると学ぶことができた。

明確な「ビジョン」と「ストラテジー」を持つ

最後に参加したプログラムは、合田先生と本間先生による対談である。

未来の学校教育の在り方について再考することができた。

特に合田先生は、「改革を躊躇しなくてよい」というメッセージを送っていた。

本間先生も、「社会が変わらないから学校も変わらない」ではなく、「学校を変えていくことで社会を変えていく」という姿勢が重要であると訴えていた。

そのためには、改革を進めていく本人が明確な「ビジョン」と「ストラテジー」を持つことが必須となる。

この「ビジョン」と「ストラテジー」を持ち、自信をもって訴えることができれば、だれもその改革に勝つことはできないと鼓舞してくれた。

ぜひ、来年度からの校内研究の改革にチャレンジしていきたいと強く思った。


以上が、「未来の先生フォーラム2024」に参加して得られた学びの一部である。

ぜひ、来年度のフォーラムにも参加し、学びを深めたいと思う。

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