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#53 自治的集団をつくるための教師の指導行動
前回は「自治的集団とは何か?」「どのようなステップでたどり着くのか?」について述べてきた。
今回は自治的集団をつくるために、教師がするべき指導行動について書いていく。
そもそも、自治的集団は教師のためにつくるものではない。決して「教師が楽をするため」「周りの教員からほめられるため」に自治的集団をつくるのではない。
自治的集団は子どものためにつくるのである。子どもが自分たちだけで学級を運営し、成功体験を重ねることで、自己有用感や自尊感情を高めていくことができる。
また「社会参加の意識」「コミュニケーション能力」を向上させ、「自己実現」を達成するために、自治的集団が必要なのである。
しかし、子どもをただ放っておいたところで、「自治的集団」は完成しない。子どもはそれぞれにやりたいことを勝手にやり始めるだろう。
ここで必要になってくるのが、教師の指導行動である。しかしトップダウン型の指導はよくない。子どもを型にはめることになり、自治的集団とは程遠い集団になってしまう。
ここから意識したい指導行動を述べていく。
指示・命令ではなく、発問・提案をする
教師はトップダウン型の指示や命令をしないように心掛ける。子どもは「教師の言うことだけ聞いていればいい」と学んでしまい、自分で考えなくなってしまうからである。
その代わりに教師は発問や提案をする。コーチングの技術に「質問」があるが、これと似ている。発問をして、子どもに「どうすればいいか」を考えさせることが大切だ。
また教師は提案をするが、指示ではないので、子どもは従わなくてもよい。教師の提案を参考にし、自分たちで考えていくことになる。つまり直接的指導をせずに、間接的指導をするようにすることが大切なのである。
問題解決的な話し合いを子どもたちに経験させていく
子どもたちが生活上の問題に出会ったとき、教師からすぐに「正解」を提示してはいけない。それでは子どもは教師の言う通りにしか動けなくなり、自治的集団など完成しない。
生活上の問題が出てきたら、話し合いで解決をさせるようにしていく。教師はその手順を伝えればいいのである。
①問題の認識,②課題の設定,③解決策の検討,④解決策の遂行,⑤評価からなる自治のサイクルを子ども自身が回していくようにする。
はじめは上手くいかないだろう。しかし教師は常にサポートし続け、成功体験を徐々に積み重ねさせる。そして子どもだけで問題解決ができる状態にしていく。これで自治的集団ができあがっていくのだ。
もちろん途中で、試行錯誤するだろう。そのときは「振り返り」「改善」が欠かせない。「なぜ上手くいかなかったのか」「次はどうすればいいか」を考えさせ、少しずつ成長させていきたい。
私も現場に戻ったら、このような指導行動をし、自治的集団をつくっていきたいと思う。では。