#1772 「叱る」を手放す
今回は、めがね旦那氏の著書『クラスに「叱る」は必要ない』からの学びを整理していく。
・「力と力のぶつかり合い」は敗者を生む。
・叱らないためのポイント
➀子どもはすぐには変わらない(積極的あきらめ)
②教室は毎日通うところ(通いやすい雰囲気)
③働きかけは子どもよりも環境(苛烈指導にゴールはない)
・叱り方のパターン
(1)直接表現
①行為の制止 ②行為の実行要求
(2)間接表現
③行為の指摘 ④想起 ⑤理由説明 ⑥罰の予告 ⑦行為の逆説的指定
⑧人格への評価 ⑨突き放し ⑩問いただし ⑪不快感の表明
⑫悪態、ののしり ⑬世間体意識
・「叱る」をめぐる神話
➀「怒る」と「叱る」は違う→銃に入っている弾は相手に見えない
②なめられてはいけないから叱る→力でねじ伏せることになる
③「叱れば子どもはすぐに変わる」という期待→負のスパイラルに陥る
④愛情があるから叱るのは当たり前→子どもを追い詰めてしまう
⑤基準を超えたら叱るべき→子どもは「無知」なだけで教えればよい
⑥叱られることへの耐性をつける→心の傷になって残る
・叱ることの副作用
➀「叱るの連鎖」への入り口(特定の行為へのマーキングとなる)
②子どもの復讐心を正当化してしまう(他者を先生に叱ってもらう)
③「何もしない」無力さを学ぶ(失敗から学ぶ権利がなくなる)
・「先生は怒ると怖い」などと宣言する必要はない。
→「君たちは自由だ」と伝える。
→「自由とは何か」を一緒に考えていく。
・忘れ物指導をしなくてよいシステム
➀毎日使う学用品は持ち帰らせない
②家庭への配付物はランドセルに一緒に入れる
③家庭から持ってくるものは事前に連絡する
・授業中に叱らなくなる方法
➀課題は定量制ではなく、定時制にする
②集中していない子どもを叱る必要はない
③授業中のトイレは自由にする
・子ども同士のトラブルが少なくなる方法
➀距離をとることを教える(ヤマアラシのジレンマ)
②加害児童とまずはつながる(受ける、聞く)
③当番活動のサボりには人員の余裕で対応する
・子どもとは無理な約束をしない。
→約束が破られたら、叱ることになってしまう。
・周りの子どもの自由を損なうこと以外は、「しつけ」として指導する必要はない。
・普段からイライラしないことが重要。
→機嫌が悪いと、普段叱らないことも叱ってしまうことになる。
・「叱る」のではなく「諭す」
➀出来事を受け止める(丁寧な事実確認)
②感情を込めずに淡々と伝える
③時間は短くする
④改善策を提示する(教材に昇華する)
⑤Iメッセージで伝える
⑥教師側は気持ちを切り替える
⑦人格ではなく、行為に対して指導する
⑧子どもの言い分も聞く「余白」をもつ
・トラブルを「学ぶことができる教材」に昇華させる
➀次も同じようにならないためには?
②相手はどのように感じていたのか?
③周りの人はどのように感じていたのか?
④別の解決方法はなかったのか?
⑤今回の話に似た寓話はないか?
⑥今回でわかったことは何か?
・叱ると、子どもとの信頼関係が崩れる。
叱ると、他の子どもも教師の言動をマネする。
・保護者や校長先生などの「権威」に頼らず、一人の人間として思いを伝える。
・叱る→「しないでおこう」となる
諭す→「自らの行為を省みる」ことになる
・叱る→一方的で思考停止になる
諭す→対話的なやり取りになり、思考が伴う
・叱る先生→改善の必要性がなくなる→やさしい
叱らない先生→困るので改善の必要性を感じる→いじわる
以上が、書籍からの学びである。
「叱る」を手放し、「諭す」指導を心がけていきたいものである。