#580 「その子ども」「その問題」を無視する
学級には「問題児」がいる。
学級には「トラブル」がある。
教師は「その子ども」「その問題」を、直接どうにかしようとする。
しかし、一向に改善されない。
なぜか?
それは、アプローチするべき対象が違うからである。
アプローチするべきは「その子ども」「その問題」ではない。
「学級集団」にアプローチするのである。
「個」に注目するのではなく、「集団」に注目するのだ。
集団を変えれば、「個」も変容するのである。
集団の原理に「2:6:2」の法則というものがある。
上位の2割は教師を支持してくれる層、中間の6割はどっちつかずの層、下位の2割が問題児の層である。
この法則をうまく利用する。
この場合、集団全体に働きかけることを優先する。
教師の価値観を子どもたちに語る。
すると、教師を支持する上位2割の子どもたちが変容を見せる。
そして、この2割の子どもたちが、6割の中間層を引き上げる。
そうすると、下位の2割の子どもたちは孤立してしまうことになる。
この2割の子どもたちにとっては、教師からの叱責よりも、学級集団から浮いてしまうことが何より苦痛となる。
問題児にとって、教師の言葉よりも、同じ集団の子どもからの言葉や態度の方がより響くのである。
だから、集団が変わることで、下位の2割の子どもたちも変わるのである。
集団が変わることで、トラブルがなくなるのである。
なので、アプローチすべきは「特定の子ども」「特定の問題」ではないのだ。
アプローチすべきは、「学級集団」なのである。
この考え方を忘れないようにしたい。
では。