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#586 教室マルトリートメント
「教室マルトリートメント」という造語がある。
これは「教育現場で繰り広げられる不適切なかかわりや避けるべきかかわり」のことを指す。
児童虐待には4種類あるが、それぞれに対応するマルトリートメントが存在する。
①身体的虐待
学校現場に置き換えると、これはまさに「体罰」である。
体罰は、いかなる理由があってもしてはならない。
②性的虐待
教師から子どもへの「わいせつ行為」に当たる。
これも、あってはならない行為だ。
③ネグレクト
するべき教育を怠ることである。
「励まし・賞賛をしない」「指名を避ける」「合理的配慮をしない」「授業準備を怠る」「学級の課題を放置する」「支援員に丸投げする」「見捨てる言葉をかける」などが、これに当たる。
④心理的虐待
子どもを心理的に追い詰める行為である。
「威圧的・高圧的な指導」「強い叱責」「人格を尊重しない言動」「主体的行動を妨げる指導」などが、これに当たる。
教師が犯しがちな「教室マルトリートメント」の大部分がこれになる。
また、心理的虐待の一種として、「毒語」が挙げられる。
これは「子どもの発達を阻害するネガティブ要素をもった言葉」である。
①質問形式で問い詰めるような言葉 ※「なんでできないの」
②裏を読ませるような言葉 ※「勝手にすれば」
③脅しで動かそうとするような言葉 ※「もしできなかったら…」
④虎の威を借るような言葉 ※「お母さんに言うよ」
⑤下学年と比較するような言葉 ※「1年生の方がえらいよ」
⑥教師に責任がないことを強調するような言葉 ※「ダメって言ったよね」
⑦見捨てるような言葉 ※「もう、知らない」
上記のような言葉が「毒語」である。
以上が、「教室マルトリートメント」である。
このようなマルトリートメントをしてしまうのは、教師側に心の余裕がないからである。
多忙に追われ、プレッシャーを感じることで、マルトリートメントを犯してしまう。
これにより、子どもの健全な成長・発達を阻害する。
まずは教師の「子ども観」「指導観」を改める必要がある。
そして、同僚と良好なコミュニケーションをとり、人間関係を良くし、ストレスをためないようにする。
やはり「相手を変えよう」とするのではなく、「自分自身を変える」ことが最も重要なことである。
自身のもつ「観」「習慣」が変われば、心に余裕ができ、マルトリートメントをすることはないだろう。
教師は常に、自分の「人間性」「観」をアップデートすることが求められるのである。
常に学び続けていきたい。
では。