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#1981 自由進度学習と自習の違い
「自由進度学習」に反対する人は、よく「これは自習と同じだ」と揶揄する。
確かに、「自由進度学習」における子供たちの様子を見ると、一見「自習」だと勘違いするだろう。
それは、黒板の前に教師が立たず、子供たちが好きなように学習をしているからだ。
しかし、「自由進度学習」と「自習」は根本的に異なる学習である。
それをよく理解もせず、「自習だ」と反対するのはよくない。
そこで、今回は、「自由進度学習」と「自習」の違いを整理していくことにする。
1 学習内容について
「自由進度学習」では、進度表が配付され、子供たちは自分に合ったペースで学習を進める。
そのため、理解の早い子供とゆっくりな子供では、学習内容が異なる場合がある。
また、発展的な学習や知識を活用する学習では、学習内容を子供自身が選択・決定する場合もある。
つまり、「めあて」は個によって異なる。
一方、「自習」では、教師からあらかじめ「決められた課題」が与えられるので、学習内容は全員一律となる。
よって、「めあて」も全員一律となる。
2 学びの深さについて
「自由進度学習」では、「進度」だけでなく、「深度」も重視させる。
ただ先に進めるだけではなく、学びを深めることが「自由進度学習」では重要だ。
一方、「自習」では、学びの深さは重視されない。
「ただ課題をこなす」「課題を終わらせる」ことに主眼が置かれる。
3 学習方法について
「自由進度学習」では、学習方法を子供たちが自己選択する。
タブレットを使ってもよし、教科書を使ってもよし、一人で進めてもよし、友達と協働してもよし等、学び方を子供が選択できる。
一方、「自習」では、学習方法を教師から指定される。
学び方の選択権が許されていないことが多い。
4 協働相手について
「自由進度学習」では、困ったときに友達と協働することができる。
一方、「自習」では、友達と協働することができず、一人で黙々と学習を進めなければならない。
5 教師の役割について
「自由進度学習」では、教師が子供たちの学びの様子を見取り、フィードバックをするという役割がある。
一方、「自習」では、教師は課題を用意し、作業指示を事前にするという役割がある。
しかし、子供たちの学びの様子を見取ったり、フィードバックしたりすることはない。
6 振り返りについて
「自由進度学習」では、1単位時間や単元の終末に、振り返りをする。
その振り返りの記述を、次の学習に生かすようにする。
一方、「自習」では、課題の「やりっぱなし」になるので、振り返りをすることはない。
7 単元構成について
「自由進度学習」は、単元の中のいくつかの時間において行われる。
そのため、「単元」をベースにした学習が前提となる。
一方、「自習」は、単発の学習になるため、「単元」という前提は存在しない。
以上、「自由進度学習」と「自習」の違いを、7つの視点について整理した。
両者は、教室の様子を一見すると「同じ学習」に見える。
しかし、その本質は根本的に異なる。
これから、他人に「自由進度学習」を批判されたときは、上記の7つの視点について説明するようにしていきたい。