#1650 学級担任の持ち上がりについて
3月に入った。
そろそろ、次年度の担当学年や校務分掌が決まってくる時期である。
そこで今回は、学級担任の持ち上がりについて、そのメリット・デメリットを書いていく。
前提として、学級崩壊していない場合の持ち上がりを想定していただければと思う。
※そもそも、学級崩壊させてしまったら、持ち上がりにはならないだろう。
メリット
・子どもたちの児童理解がある程度進んでいる状態で、新年度がスタートできる。
・子どもたちは担任の「人となり」を理解しているので、思いや意志がスムーズに伝わりやすい。
・「この先生はどんな人なんだろう?」「どこまでは許されるのだろう?」という「値踏み」の期間がない。
・前年度の反省点を把握しているので、改善案としての手立てを講じていくことができる。
以上が、主なメリットである。
子どもと担任が双方で「互いを理解している状態」で新年度を迎えることができる。
それにより、スムーズに学習・活動に取り組んでいくことができる。
また、1年間での反省点を明確にもっていれば、改善策としてのアプローチを講じることができるところが大きい。
デメリット
・担任と相性がよくなかった子どもがいる場合、再度担任になることで、溝が深まる恐れがある。
・様々な教師に出会う可能性が奪われ、同じ担任の「色」に染まってしまう。
・コンフォートゾーンに浸かってしまう。
以上が、主なデメリットである。
私は「学級担任の持ち上がり」について、「コンフォートゾーンに浸かる」というデメリットを一番危惧している。
1年間同じ教室のもとで過ごしてきた担任と子どもたちは、いわば「ぬるま湯」状態に陥っていると言える。
担任は子どもの不適切行動を見つけても、「まあいいか」とスルーしてきたこともあるだろう。
子ども側も、担任から叱られないので「これくらいいいか」と心がルーズになりやすい。
このように、コンフォートゾーン状態の担任と子どもがそのまま同じ学級となる場合、「コンフォートゾーンに浸かったまま」になる可能性がとても大きくなるのだ。
コンフォートゾーン状態は、「心理的安全性」が高い。
居心地がいい。
しかし、そこに成長や学びは生まれない。
なぜなら、緊張感がなくなり、学習へのハードルが下がっているからだ。
学習へのハードルを高く保ちつつ、心理的安全性も保証する。
これを実現することで、成長・学びが生まれるのである。
だとすれば、私は「コンフォートゾーンに浸かったまま」になりやすい「担任の持ち上がり」に反対である。
もし、持ち上がったとしても、「コンフォートゾーンに浸かったまま」ではなく、前年度の反省点・改善点をもち、子どもたちに対してアプローチしていかなければならない。
目指すべきハードルを一段高めなければならない。
ときには
「去年はそんなこと言ってなかった」
「去年と全然違う」
と子どもから反感を買うこともあるだろう。
しかし、「コンフォートゾーンに浸かったまま」では成長・学びは生まれない。
このことを自覚し、子どもたちにも伝え、アプローチし続けることが必要となるのだ。