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#killerfree2017 @metro_kyoto 2017.02.25

もう半年近くも経つのかと、このクソ暑い季節にこれまたクソ熱くなっているPCの画面に映る、まだクソ寒かった頃に開催された #killerfree2017 の光景を眺めている。仕方ないことに細かな記憶は徐々に薄れていくものの、あの日に五感を奪われた刺激の感触は未だ色褪せない。とにかく大勢の人が来てくれたことは勿論ながら最高に喜ばしかったし、これまでもこれからも決して重なるはずが無かったであろう、多種多様な人々のレイヤーが重なっていく瞬間が目の前で見られたことには、自分が当事者の一人であるということも相まってとても不思議な感覚に襲われた。そして最近はその活発な活動にますます磨きのかかるpayがおさめてくれた写真が、イベントのレポート代わりだと言わんばかりに雄弁に語ってくれる。主催の片割れであるBURNING SIGNは、活動を少し止めることになってしまったが、今は2018の開催に思いを馳せて。


夕方から早くもリハーサル&サウンドチェック。出演者が多いため、週末のMETROをデイイベントの時間帯から貸し切りにさせてもらうということもあり、否が応にも責任感と緊張感が高まる。まぁ規模の大小に関わらず恐らくイベントの主催をやったことのある人間なら、誰もが期待と不安の交錯する苦手な時間帯だろうと思う。

多様な出演者のパフォーマンスやサウンドを、それぞれの個性を尊重しつつも出来るだけ全体の調和をとるために細心の注意を払ってセッティングしていく。



いよいよOPEN。長くも一瞬で終わる夜が始まる。まずはMUKECCHOのDJから。



BONG BROS RECORDSの物販も充実。どれも間違いない。そういえば今コレ書いてる今日7/29はHYBRID BROTHERSの1stアルバムの発売日。先に少しだけ聴きましたが曲の振り幅は広くも鬼DOPEでクソ首振れる内容。めちゃくちゃ良かった。


BALL BUSTERS。欲を言えば沢山の人が集まる時間帯にこそ見てもらいたい実力満点なバンドなのだが、イベントの趣旨まで踏まえて毎度トップバッターを快諾してくれる心優しい兄貴達。初っ端から多様な音楽性をグルーヴィーかつ攻撃的なサウンドで、このイベントはこういうことだよと、ガツンと教えてくれるかのようだった。



そして京都産HIPHOPの若手最右翼、SATIVERS。観ている側に伝わってくるほど緊張は凄かったが曲選択のビート、ワードセンスともに間違いなく、短くもしっかりとした仕事。イベント以降に顔を合わせることも増え、普段から何気なく遊ぶキッカケにもなって良かった。ちなみにこの間には今回のイベント写真を撮ってくれていたPAYも出演。HIPHOP側のトップバッターとして文句無しな、気合いとスキルが同居するアクトだった。写真も何もなくて申し訳ない。



長野から肉切り包丁。killerfreeのスタイルウォーズな意味合いには決して欠かせないアクトの一人。ブースの中に入って一人で全てをこなすスタイルで、京都では久々のライブだったが他にはない無骨で一匹狼な姿は強く印象に残った。



岡山からLAST。国内最高クラスのハードコアパンクCITY、津山を代表するスピード感満点のGIG。ごった煮のイベントを楽しんでくれていたのも嬉しかった。次回はフルメンバーで是非。




京都からLIVING DEAD。まだ浅い夜の時間帯での出演だったものの、一気に深夜の時間帯に引きずり込むようなトライバルでDOPEなリズムとビートで場を支配しながら、最後の方につれて開放的なスケールの音階が徐々に顔をのぞかせていく彼らしいアクト。また長いセットで見てみたい。



大阪のビートメイカー、GeminisAzul。この夜で最もカラフルな音像を残していったのではないだろうかと思わせる、浮遊感と多幸感が入り混じるビートをSP404に文字通り叩きつけていた。ハードコアのバンドマンも多く反応していたのが印象的。



さらに大阪からCHAKRA。京阪で逆向きの電車に乗車し、本番直前まで出番に間に合うかどうか分からないというムダな緊張感をバックルームに与えつつ、無事ギリギリに会場へIN。相変わらず良くまわるベロを武器に、徐々に人も増えてきたフロアを温めてくれた。





さらに場内が良い賑わいを見せてきた中で、イベント前半戦の大きな山場ともなった大阪SMDcrewの総大将、EX-C。ハードコア門外漢のMETROスタッフをも唸らせた、バンドの状態も目下絶好調のパフォーマンスはフロアの体感温度を一気に急上昇させ、この日のダンスフロアは誰でも何でもアリ、の空気を完全に作っていった。






この夜の転換中はGAJIROHがニヤニヤと笑みを浮かべながら普段のDJではかけることがないようなキラーチューンを試し試しに連発し、交代で最近は今をときめくKID FRESINOやC.O.S.AとのタッグでもバックDJを務めるなど、多方面でメキメキと存在感を発揮しているCH.0が会場内の空気をコントロール。友人知人との会話を楽しみつつ、いつ耳を傾けてもスピーカーからは良い音が鳴っているという、ちょうど良い塩梅。難しいポジションであることは分かっていただけに、主催側としても非常に感謝だった。



さらに大阪勢が続きPSYCHO PATCH。この後に出番を控えるENDRUNをバックDJに従えつつ、段々と身動きが辛くなってきたフロアに不穏なビートとブラックユーモアたっぷりの言葉を突き刺していく。楽屋ではトシ新町やTHE TWINSの御一行とも邂逅したようで、それも楽しんでくれていた。




そしてバンド側では今回メインのゲストであった、1回目のkillerfree以来となる三重のFACECARZ。キャッチーなリフとリズムは勿論バンドマン以外のハートもガッチリと掴みながら、ついにダンスフロアも満開に。ちなみにこの頃、後に出番を控えるトシ新町さんたち御一行がMETROに到着、10代~20代の元気なヘッズたちがフロアで縦横無尽に動き回る中、その激しいモッシュの輪に引きずりこまれそうになっているシーンは個人的にこの夜のハイライトの一つだった。



この流れで登場となったTHE TWINS。この後のトシ新町さんを含め、どうしても当人たちを囲むスタイルで観てみたいというイベント主催側の理想形があり、METROに無理を言ってフロアの真ん中に即席ステージを作ってもらった。結果としてメチャクチャ良かったと思う。フロアに流れ漂う、ある種の戸惑いや好奇の目、それを兄弟ならではの軽妙なトークで和らげつつも力強く覆いつくしていく、百戦錬磨の高いスキルに裏付けされた説得力のある歌声とブルージーなギターの音色。例えようのない高揚感が場に充満していった。




そしてこの夜の大きなキーポイントであったトシ新町。隣には熟練されつくしたギターの腕をもつ相棒の反町氏。THE TWINSの時も同じくだったが、最初は様子見だった若い客層を自分たちの世界に一気に取り込んでいく。時に見事なブルースハープを披露しながら、しゃがれた野太い声で人生の憂いを歌に乗せる新町氏。二人の圧倒的な存在感と、その音にただただ身を任せるフロア。大きな拍手と喝采の中、予想以上のリアクションで当初よりも多くの曲を演奏してくれた。上記2組を呼ぶキッカケもなった、今回のイベントで中心となって企画を動かしたB-COSMOとも、良い意味で言葉を失い、かたい握手を交わした。






大きな大きなブラックミュージックの源流と文脈を感じつつ、ここでメインのゲストであるSHUREN THE FIRE。全てを語ることは出来ないが、この夜に辿り着くまで沢山の出来事があった。多くの挑戦や葛藤があったであろう中で出演してくれたことには大きな意味があったはずで、目撃することが出来た人はとても幸運だったし、貴重だったとも思う。2017年2月25日、あの日あの夜あの瞬間、世代も時間もネームも意味を持たずして、シュレンはそこでただただ音を響かせた。その事実に大いなる感謝と一抹の後悔を。




再び今の空気感にグッと引き戻されるように、90'sマターでありながらしっかりと2017のフレッシュな匂いを身と音に纏い、大阪からENDRUNがフロアを沸かせる。ブースの中にはまだライブを終えたばかりのPSYCHO P。気ままにマイクを握りながら、ひたすらにこの夜の純度・濃度を高めていく。途中、フリースタイルをさせろとブース内に謎の珍獣が侵入してくるも、PPやBONG勢が見事駆除。K-FLASH aka ILLNANDESの「あれ麻酔銃で撃たなアカン」はこの日のパワーワード1位。



FUMITAKE TAMURA(BUN)氏。この夜で最も先鋭的で異常な色気を放っていた、繊細かつ強靭なノイズとビート、そしてその隙間を紡ぎ、オーディエンスの聴覚を奪っていく。ボーっとしていたら意識まで奪われそうになった。自分はアートに決して明るいわけではないが、まるでその場でかたどられていく彫刻作品を見ているような感覚に襲われた。



ここで深夜のMASS-HOLE。とにかく強かった。PBBのシャツに身を包み、さながらハードコアバンドのボーカルでも充分サマになるであろう出で立ち。ポリシーとルール、そして発声の強さ、全てが彼の存在と説得力をブーストさせる。トゲのある言葉選びはさらに強度を増し、見えざる相手とバチバチに殴り合っているかのようだった。後半には盟友YUKSTA-ILLもステージに上がり、まだまだ帰る気など微塵もないような深夜のナイスな酔客たちに叩きつけたAuthentic City。心底シビれた。そして前日も前乗りし京都の街でフラフラになるまで遊んでいたMASS氏に最高のリスペクトを。





そしていよいよ朝が忍び寄ってきたような時間帯のNTBLS。流石に重たくなってきた身体の疲れや夜更けのクラブの淀んだ空気、そこに生音のバンドでしか出せない音圧、全てがトリップ感を加速させる。まだまだ思い描く理想像には辿り着けてないんだろう、というこちらの予想や彼ら自身の葛藤も感じつつ、その実験の様子を見せてくれているようなパフォーマンス。実はMETRO似合うんだよなぁ。いつも無理を聞いてくれて感謝。



HIPHOP側のライブアクト、トリは主催のBONG BROS。ステージ狭しと襲い掛かってくるようなCREW感の溢れるパフォーマンスは久々に観た気も。グループ内での各小隊も、個性やクオリティの高さは折り紙つきだが、全体でのハチャメチャ感は中毒性があって良い。自分はBURNINGのセッティングをしながらMMOSのTシャツの背中プリントでターキーにずっと「SHOW BIZ SUCKS」ってメッセージを送っていたが、ずっと反応してくれるのが面白かったし嬉しかった。その後ディグってTシャツ買ってたし。そゆことだなーと。






少し二転三転もあって、結局バンド側でもライブアクト的にもトリになってしまったBURNING SIGN。さらには機材トラブルもあってしんどい時間帯に重たい空気。それでも見渡せばまだまだお客さんが結構残ってくれていた。もう4:30とかやのに。本当に感謝。何とかフラフラでやり切った。付き合ってくれたメンバーにも感謝。






締めのDJはYOSHIMARL。無茶苦茶な内容だったパーティーの全てを理解してくれているかのように、安らかな鎮魂歌のごとく朝方に映える甘い選曲。ハードコアのバンドや音にもよく理解がある彼だからこそ安心して任せられた最後の時間帯。共通認識ってのは重要だなと、心地よい時間とBGMをバックに残ったお客さんや出演者、METROスタッフたちと何度目か分からない祝杯や握手を交わした。



イベント初っ端からずっとスピーカーの真ん前で書いてくれた4649や~まんず。実はPUNKやHARDCOREも好きだったそうで、途中ずっとモッシュピットに入りたい気持ちをおさえながら書いてくれていたらしい。お見事。


そして今でも信じられない、KAZUHIRO IMAI氏によるライブペイント。快くOKしてくれたが、本当に素晴らしい日に力添えしてもらったなと、この絵を見るとあらためて。イベント後も称賛の声が止まなかったこちら、次回はウェルカムボードとして使うかも。


2017の開催にも、もはや数え切れないくらいのミーティングを重ねた。そして早くも来年のkillerfreeに向けて、B-COSMOと面白可笑しく酒と言葉を交わしている。また2018をお楽しみに。老若男女、皆さん有り難うございました。








all photo by Pay a.k.a Wildpit¢h

twitter:@pay619

works:http://wildpitch-works.com/

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