恋愛とは
恋愛をしなさすぎている。
困った。
少し前まで恋愛は必要ないと本気で思っていた。
実際、恋愛をしないからといって困ることもない。
が、恋愛はプラスアルファだと気づいてから私の考えが一気に崩れた。
周りを見てみた。
みんな付き合ったり別れたりしている。
最近はもう安定している友人もいる。
ここまで来ると世界中の大学生の中でいちばん恋愛をしていないとすら思う。
本当に恋愛が苦手なのだ。
20年近く生きてこんなにも実りがない。
ときめくことはある。
ときめくことはあるけど、人へのときめきと音楽とかへのときめきは多分同じのような気がする。
・・・違うか。
それくらい分からない。
もちろん好きな人がいたことはある。
駆け引き的なことをなんとなくやっていた頃もあったがそれは幸せではなく自惚れだった。
相手に迷惑をかけていた。
あまり言いたくないが蛙化現象の経験も多い。
自信がない人がなるといわれる蛙化現象。
嘘つけ。
自意識過剰の間違いだろう。
私は自他共に認める自意識過剰だ。
自意識過剰とは私のことだ。
↑こういう認識がもう自意識過剰だ。
そういうこととかああいうことが繋がって恋愛が大変に相当に苦手なのだ。
ただよくキュンとする。
アルバイトで沢山のミュージシャンに会うのだがピアニストは容赦ない。
ベーシストやギタリストよりピアニストだ。
男性ジャズピアニスト。
豪快な人はあまりいなくて、余裕のある控えめな人や謙虚すぎるくらいの人が多い。
そういう人に限って演奏で豹変する。
目を瞑って弾くとか人体の構造上おかしいくらい猫背になるとか。
あと手がすごく痩せている。
その太くて青い血管や薄い皮膚や、短い爪と長い指に、うっとりしてしまう。
仕事を放棄して手を眺めていたい。
ずっと見るだけでいいので。
彼らは演奏が終わると謙虚に戻る。
私は謙虚な人の笑顔にやられてしまう。
そういう人にキュンとさせていただいている。
キュンの文字通り胸が高鳴るというよりかは、じわーっと胸が熱くなって「あっやばい」と思う。
どうやらすぐに余裕がなくなるみたいだ。
そして恋愛が苦手なのに、いや苦手だからなのか、キュンの守備範囲はかなり広い。
初めて会う人や数回会った程度の人のほとんどがキュンの対象になる。
そもそも新しい知り合いを作るという行為自体が苦手だから、その緊張がほぐれていく過程の何かによるものでもあるのだろう。
人への最初の期待値が低いから。
結局ウブすぎるのかもしれない。
全てにおいて。
最悪。
最悪だ。
私は単にウブな自意識過剰なのか。
恋愛がしたいとは思う。
ただ「恋愛がしたい」とはなんなのか。
したいと思ってできるものなのか。
自分から掴みに行かなければならないのか。
恋人がいる人は何をもって結ばれたのだろう。
告白というものは、好きという感情を抑えきれなくなってリミッターが外れた瞬間に生まれる行為なのだろうか。
恋人同士になるというのは神秘ではないのか。
何も分からない。
はぁ、困った。