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監査スタッフから、こう相談してもらえるとありがたい【監査ガチ勢向け】
できるスタッフは、上司への相談の仕方も違います。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。
監査は、チーム内で報告や相談をしあって進めます。報告・相談のやり方を間違うと伝えたいことが伝わらず、誤った判断につながりかねません。また、効率が悪くなり、お互いストレスを感じ、相談者の評価にも影響します。
では、どんなことに気をつけて相談をすればよいのでしょうか?
まずは「困った相談」を例に挙げ、改善点を考えて行きしょう。
😣こんな相談は困る❶ 相談の伝え方
何を相談したいのか分からない
相談者の心境
「正しく理解いただくために、まず前提をしっかり説明しないと」
相談を受けた上司の反応
「話しはじめて5分経つけど、いつになったら本題にたどり着くんだろう…」
会話がはじまって時間が経ったり、メールを読み進めたりしても、なかなかどんな相談か分からないと、上司はだんだんイライラしてきます。
会話やメールの最初の方で、報告なのか相談なのか、何の件なのか、を伝えてもらえれば、まずは安心できます。
長すぎる
相談者の心境
「忙しい方なので、一度で判断いただくために、必要になりそうなことは全部書いておこう」
相談を受けた上司の反応
「こんな大作を読まないといけないのか……あと回しにしよう」
メールで来た相談が、何回もスクロールしないといけないほど長いと、読むのにまとまった時間も必要ですし、集中力も必要。
会話での相談が長い場合も同様で、時間と集中力が求められます。
そこで、できるだけコンパクトに伝えるように心がけましょう。
どうしても情報量が多くなるときは「本文」と「補足情報」に分けて、後者は必要に応じて読んでもらうようにするのがよいでしょう。
😣こんな相談は困る❷ タイミング
どの程度の急ぎか分からない
相談者の心境
「明日中に返事がほしいけど、忙しい人に言うのは失礼だろうな」
相談を受けた上司の反応
「今週はどうにも時間が取れないが、返事は来週でもよいのか、ほかの予定を調整してでもすぐに必要なのか、どっちだろう」
直ちに対応が必要なのか、もっと余裕があるのか、によって取るべきアクションが変わります。
上の人に向かって期限を指定しづらいのは分かりますが、理由を明確にした上で「できれば」などと添えれば気分を害する人はあまりいないと思います。
例えば、「10日の往査時に必要になりますので、できれば9日中にご回答をいただけると幸いです」という具合です。
相談に来るのが遅い
相談者の心境
「相談したいけど、予定表を見ると今日は夜遅くまで予定がぎっしり、明日も明後日も。うーん、来週のこの時間にしよう」
相談を受けた上司の反応
「これって先週にクライアントから受けた質問? 今まで動いてないの? どうして!?」
相談が遅れると、とれるアクションが少なくなり、緊急対応が必要になることも。
😣こんな相談は困る❸ 相談の内容
情報が不十分
相談者の心境
「この前、早く相談に来いと言われたので、すぐに連絡しよう!」
相談を受けた上司の反応
「『クライアントの部長が怒っているそうです』って、どの件について? 誰に対して? 我々に非はあるの?」
タイミングが重要、と言っても、あまりに情報が少ない時点で相談に来られても、「もう少し詳しいことが分かってから、もう一回来て」としか言えないことがあります。
通常は時間が経つほど情報が集まるため、どこで見切って相談するかは難しい問題。
まだよく分からない段階でも重要なので伝えておきたいこともあります。そんなときは「取り急ぎお知らせしますが、詳しいことが分かった段階でご相談します」などと添えてもらえると安心です。
事実と意見が区別できない
相談者の心境
「適切に判断いただくために、あいまいなものを含めて、できるだけたくさん情報を提供しよう」
相談を受けた上司の反応
「『と思います』『のようです』などとたくさん書いてあるが、どれが事実で、どれが想像して書いたものなんだろう」
確度の高い情報に基づく方が正確な判断ができます。
このため、伝えている情報が確度の高い「事実」なのか、相談者の想像や価値判断の入った「意見」なのか、どちらか分からないと判断を誤るかもしれません。
相談者の意見を伝えるな、ということではありません。
確度の高い情報だけでは不十分であれば、確度の低い情報で補う必要があります。その場合、上司は「確度が低いため、事実とは異なるかもしれない」というリスクを頭に入れて判断することが重要になります。
このため、意見については、意見だと分かるように書く必要があります。
😊まとめ:相談はこうしてほしい
上記のまとめとして、チェックリストにしてみました。
相談の伝え方
▢ 何を相談したいのか、会話やメールのはじめの方で明確に伝える
▢ 相談はコンパクトにまとめる
タイミング
▢ 回答がほしい期限とその理由を明示する
▢ できるだけ早いタイミングで相談する
相談の内容
▢ 情報が不十分であれば「一報」として伝え、情報が入った段階で改めて相談する
▢ 事実か意見か分かるように伝える
おわりに
監査スタッフから上司への相談という前提で書いてきましたが、マネジャーからパートナーでも、若手パートナーからシニアパートナーでも基本は変わりません。
相談が上手にできるようになると、お互いのストレスは減り、信頼されるようになり、仕事がうまく回りはじめます。この記事がそのためのヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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