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「ひとり旅 帰りたい」で検索したインド初日

南インド・オーロヴィル編-1

○ 南インド・オーロヴィル編 ○(2017年秋)
0 旅のきっかけ
1 「ひとり旅 帰りたい」で検索したインド初日
2 オーロヴィル散策と、新たな宿ヴェリテ 
3 踊るインド人ヨギ、現る。
4 インドの洗礼とマトリマンディル
5 Dreamer’s Cafe の出会い
6 小川のほとりでマイペース万歳。
7 ポンディシェリーの街と違和感の問い
8 深夜の巡礼者たち
9 サラスワティーの夢
10 オーロヴィル旅情報–1&2

2017年のバリ島を経て。後から後悔しないために、やりきれていなかったことを体験するためにも人生に新たな機会を作ることに決めた。

結局、行きたい旅先リストに挙げた国をどういう順番で行こうかと考えたものの、友人と相談したりしているうちに効率よりも直感に従い、もうリストの上から順に行くのがいいのではという話になった。(実際、勢いで書いた旅先リストの通りに行くことがタイミング的にも合っているということが段々と旅を進めて行くにつれ明らかになっていった。今となってはお告げのような旅リスト。)

西日本生活での荷物を神奈川の実家に引きあげ
準備を進めていくうちに、ついにインドに行く日がやってきた。

タイミングが合えば誰かと行きたい気持ちもあったものの、結局ひとりで旅立つことに。長いこと気になっていたインドは、他のアジアの国々と比べると気持ちの上でハードルが高く、なかなか手を出さずにいた初めての場所だった。

ついにやってきたインド。
旅リスト、1ヶ所目「南インド オーロヴィル」への2週間。

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公式HPより

オーロヴィルは元々荒野だった土地に、インド人の思想家かつインテグラルヨーガの創始者であるシュリ・オーロビンドと、パートナーであり後継者のフランス人女性ミラ・アルファサによって1968年に始められた世界最大級のエコヴィレッジであり、インド政府やユネスコから支援を受ける環境実験都市ともいわれ、広大な敷地内に現在は世界の約35ヶ国から集まった2500人程が暮らしている。
https://www.auroville.org

独自の形態や建造物の写真をネットで見て、
いつか行ってみたいとずっと思っていた。有名なバラナシやリシケシュ等に興味はあっても、今回真っ先に行きたかったのはオーロヴィルだった。

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オーロヴィルの創設者オーロビンド&ミラ(通称マザー)氏

最初は旅リストを元に、世界一周のバックパッカーのように一気に回っていこうかと考えたものの日本での外せない予定があり、オーロヴィルは2週間にして一度帰国してから次の場所へ行くことにした。

あくまで南インドはバラナシや北インドに比べれば穏やかだと聞く。とはいえアジアには何回か行っていたものの、初インドへのイメージ的に行くまでにはかなりの勇気が必要だった。(いま振り返ると、1箇所目をインドにしたのはすごく良かった。後々の国がラクに感じられたから。)

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初インドに対して相当びびっていて、経由地のシンガポール空港のトイレでゴシゴシと豪快に歯磨きしているサリー姿の女性にすらワイルド…とすでにびびり、インド人の端正で大きなくりっとした大きな目の子ども達を見ては『全員がインド神話の主人公みたいな顔してるな…。』と慄く有様だった。

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乗り換えのシンガポール・チャンギ空港と機内食。インド系の機内食にはカレーに混ぜる用のミニ牛乳の袋がケチャップみたいな位置づけで付属。なるほど。

大いにびびりまくりながら、オーロヴィルへ行くための最寄り空港があるチェンナイに辿り着いたのだった。

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最寄りのチェンナイ空港から距離がある、
♡マークのオーロヴィル

チェンナイ空港からオーロヴィルまでは車で2時間半程かかる。客引きの可能性といきなりバスやリキシャに挑戦する心のゆとりはなく、すぐに辿り着きたい…!と、日本からオーロヴィルの相乗りタクシー会社にあらかじめ送迎を予約していた。(格安で人も良いのでおすすめ)

ひとまず空港から外に出ると、むっとした蒸し暑さとタクシーの客引きが。でもそんなにしつこくない。歩みを進めると、そこにひろがるのは初めてのインドの街。あまり人がいないので女性ひとりでぽつんと目立ってしまっている…というだけでどきどきしてしまい、ひとまず水を買い辺りを眺めながら、早く予約のタクシーよ来てくれ…空港から早々に出るんじゃなかったとがっくりしていた。(チェンナイ空港は一度出たら入れない)

不安になるも、タクシーは予約時間通りに現れスマイリーな運転手のおっちゃんの笑顔に癒される。インドは予定通りに進まないだとか様々な噂からの不安とや心配でいっぱいで、時間通りでありがたくホッとしたのだった。

タクシーに乗り込むと、おっちゃんは運転しながら相手は友人達だろうか、スマホで電話しつつ「Happy Diwali〜♪」あけおめ〜といった様子で新年の挨拶トークを楽しげに自由にしていた。

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チェンナイ空港に到着した当時2017年10月18日は、インドでは元旦にあたるディワリの日。新しい1年の始まりの日だった。

ディワリのことを知らずに来たものの、インドの元旦に初インドにやってくるとは縁起が良い気がして、これは幸先いいぞと勇気づけられる。 

Happy Diwaliなおっちゃんのタクシーは道路の中央線など関係なく、街で正月祝いの爆竹が鳴り響くなかで、右行ったり左行ったり慣れたS字走行をしながら速度を上げてがんがん進んで行った。

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チェンナイの街

新年トーク運転、中央線はナチュラル越え…それがインドなのだろう。極々、極々マイルドな方の。わたしがハードなインドの街に行ったらすぐ滅入るだろうな…そう思いながら、おっちゃんとインドやオーロヴィルは初めてなんだと雑談していると

おっちゃん「 ちょっと先で休憩してもいい?オーロヴィルまでは長いからね。チャイは飲む?チャイ飲めるし、トイレもあるよ♪」スマイリーに声をかけてきた。

チャイ休憩か…すこし驚きつつ、まあそれもインドか。オーロヴィルまでは空港から3時間近くかかる。そりゃ人間的には休憩したいよね。そう思いながら慣れていないのもあって、このおっちゃん大丈夫かな…と気になりつつ同意し、おずおずと休憩スポットに入っていった。

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インドでの初チャイ…!!チャイ好きとして密かに感動しながら、このまま変な所に連れて行かれたりしないか緊張しながら辺りの気配を伺ってみるも、おっちゃんはマイペースに一服して寛いでいるだけだった。

美味しいチャイを飲み干すと再度車は出発し、
無事オーロヴィルへと辿り着いた。

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オーロヴィルの宿事情がよく分からなかったので初日からの2日間は、予めAirbnbで『Sharnga guesthouse』というゲストハウスを予約していた。広大なオーロヴィル南西部にあるそのゲストハウスの宿主で、オーロヴィルで育ったというクリパという女性は温かく迎え入れ部屋に案内してくれた。

クリパ、素敵な女性でよかった…と思うのもつかの間。『あれ…この部屋、ネットで見るより陽当たりわるくて薄暗いな?……。』

こ、この部屋は…と思っていると、夕闇の中で雨が降り出し始め、ジャングルのような植生の中にあるその部屋は一層湿気を増し蚊が飛交い、シーツに触るとかなりのじっとり具合だった。

わたしは狭かったりするのはまあ大丈夫なのだけど、薄暗く窓が小さい閉塞感のあるところが苦手で、宿選びには慎重なタイプ。

さらに面積20平方キロ(東京ドーム約450個分)ある広大なオーロヴィルの敷地内で今どの辺りにいるのか来たばかりでさっぱり分からず、得体の知れなさが夕暮れの雨と相まって不安をさらに煽っていた。うんうん、アジアの宿ってこういうものだよねーと言い聞かせるも夕闇の中でテンションは下がり続けた。

予定としては、オーロヴィルの情報が少なくよく分からなかったのでひとまず検討の上、2泊はこの宿にして後は現地を歩き回って決めることにしていた。

『……うーん、ちょっと自分には合ってない部屋だな…敷地が広すぎて実態がよく分からないし。部屋の件を交渉するにも時間も遅いし致し方ない。あああ、なんでこんな些細なこと?に、いちいちげんなりしてしまうんだろう。ひとり旅は何回もしているはずなのに…!!』

そうウジウジしながら、気づけばスマホで「ひとり旅 帰りたい」で検索していたのだった(弱)

こんな初日で、しかも客観的に見たらタクシーも時間通りでスムーズに進んでるのに部屋が好みじゃないからってこんなにげんなりしてしまうだなんてヤバい奴になってるやん…一体どういうこと??!あれこれ考えながら、めそめそしてしまった。

『一体この10年以上、今まで何回ひとり旅してるの?!アジアだって初めてじゃない。そりゃインドは他よりハードでサバイバルかもしれないけど…。』

自らを問い詰めてみたものの、よくよく思い返してみると。ここ数年は、例えアジアや海外に行っても現地に友人や助けてくれる人があらかじめ居たり、リゾートホテルのような宿にも泊まったりと小綺麗でマイルドな女子旅☆みたいな要素が強かったことに気づいた。(そもそも、元々サバイバルなバックパッカーではない)

『そうか…誰も知ってる人がいないアジアに1人で来るの、随分と久しぶりなんだ…すっかり助けてもらったり、綺麗な部屋に泊まっているようなことに慣れていたんだな……。』

今さらでしかない。思った以上にマイルド化していることに、というか元々サバイバルな人間でも何でもない、今になって思い知るなんてアホーー!と突っ込み、

今までの旅先で助けてくれた人々…当時の恋愛や恋人、優しく温かい、時に甘い旅の記憶と、ただひとりで見知らぬインドの広大な土地にいる現実とのギャップ。それらが移動による疲れと一緒にじわじわ染み込みながら

『薄暗い部屋でわたしは一体…。とはいえ宿があるだけ、旅ができるだけありがたいと思え…』そう何度も言い聞かせながら、心細くてさめざめとしてしまったのだった。

オーロヴィル編-2『オーロヴィル散策と、あらたな宿ヴェリテ』へ続く。

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夜のSharnga guesthouse

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