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インドの洗礼と、マトリマンディル

南インド・オーロヴィル編-4

オーロヴィルでの滞在は2週間と決めていて、Véritéのゲストハウスに移動して数日経つ頃になるとインドの洗礼という名の腹痛がやってきた。

微熱にうなされ宿の部屋の中でベッドをうろちょろし続ける蟻んこ達と格闘しながら、トイレと部屋を往復し続ける。噂通り、日本から持ってきた薬は効かなかった…。

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見ためはかわいい思い出の腹痛部屋
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部屋の中のオーロヴィル創設者達の写真。創始者オーロビンドのパートナー・フランス人女性ミラ・アルファサは第一次大戦時代の1916年に来日、東京と京都で計3年間暮らしたとか。彼女達の波乱の人生もまた面白い。

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洗礼(腹痛+下痢)に至る理由について。

思うに、オーロヴィルの敷地内には各ポイントに浄水器が設置されていて、ペットボトルやゴミが増えないような取り組みをしている。Véritéでは朝晩のベジタリアンのインド食ビュッフェが付いていて、辛すぎずマイルドな味つけで美味しい。毎日出ていたインド式おかゆとハーブティーの味が特に記憶に残っている。日々の食事の要不要は名簿表に記入する仕組みで便利だった。

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しかし、問題はやはり水なのだろう。いくら浄水器があろうと、皿や野菜を洗う水など通常の水の性質は推して知るべし…。インド慣れしていないわたしの胃腸とマインドに腹痛の洗礼はあっさりやってきたのだった。

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浄水器コーナーのうちのひとつ。

(インドの洗礼には色々説があるようで、本当に水や食べ物が原因ならばインドに着き食事をした途端に現象は起こり、そうでない数日後等に起こる場合は精神面やエネルギー(や、カルマ)に関係あるのではという話も教えてもらったことがある。)

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ターリーやドーサなど、
洗礼に貢献してくれた美味しい食事達。

2日間程は熱と共に部屋に篭りつつ、やや回復すると腹痛の波の合間にまたオーロヴィルを散策したのだった。

と。インドの洗礼について語ったところで続いては、オーロヴィルを散策していると必ず出会う中心部に存在する金ぴかの怪しすぎる建物・マトリマンディルについて書いておきたい。

⌘ 以下、内部についての考察や画像があるので、ネタバレ情報を見たくない方はご注意下さい。

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↑なんて怪しい建物なんでしょうか。個人的には遊園地のアトラクションみたいで面白くて好き。実際に行くとかなり巨大な金のゴルフボール。

マトリマンディルとは、オーロヴィルの住人とゲストハウス滞在者が無料で入れる巨大な瞑想ホールのこと。(住人はオープン中はいつでも、旅行者は朝9時半からのみ。)

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建築デザインは完全に宇宙系で、内部は映画スターウォーズにでも出てきそうなファンタジーな構造をしていて完全な無音、私語は一切禁止。

清浄を保つため靴下も配られる白いものに履き替えることになり、建物の要所要所に無言で立っているスタッフ達がみんな宇宙人に見えてくる。

中心部にはinner chamberと呼ばれる真っ白な部屋の中に世界最大級の大きな球体の水晶があり、その周囲で人々は15分間瞑想できる。15分経つと天井部のライトがぴかぴか光るので、それが瞑想終了のサインとなる。

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ビジターセンターにあるinner chamber内部の写真パネル

中央部の水晶には天井の採光窓から入る太陽光が差し込まれ、太陽光は水晶を通過した後、さらに下のエリアにある別の水晶へと届くようになっている。採光窓はどの季節でも太陽の光をキャッチできるように角度調節可能なのだとか。

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つまり、太陽光のエネルギーを水晶に集め拡散することで周囲で瞑想する人々の意識に影響を与え、それらのバイブレーションを建物外側の金によってさらに拡散する…という仕組みなのだろうと思っているのだけど、よくこの時代の地球にこんなもの創っちゃったなというか、そのデザインといい巨大さといい尋常じゃない建造物。

さらに、金色の球体部分の外側には花びらを意味するPetalと呼ばれる12の異なった色とテーマがある部屋があり、マトリマンディルを訪れる2回目以降、希望すれば1回の来訪につき1つのペタルの部屋に入って瞑想ができる。(瞑想ができる、と普通に書いたけど瞑想に関心がない人からしたらほんとうに意味不明な建物でしかない…笑)

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↑ペタルの部屋についての一部。マトリマンディルを始めて訪れる際は、ビジターセンターで予約した後に説明ガイドツアーに参加する必要がある。2回目以降は電話やマトリマンディル現地の受付で直接予約可能。

白いinner chamberも、カラフルなペタルの部屋も両方好きだったのでinner chamberだけでなくペタルの部屋にも行ってみることをおすすめしたい。ペタルの部屋に入るためには、マトリマンディルの入口受付の脇にあるペタルに入るためのカードを受け取っている必要があるので行きたい人は注意。

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受付横でもらえるペタルの部屋に行くためのカード

青いペタルの部屋なら、ただただ青一色の部屋とライトで過ごす体験はとても面白かった。青一色に輝いた部屋の中で、空調なのだろうが静かにブーーン…という音がするため、その音がまるで宇宙船の一室にいるかのような気持ちにさせる。ペタルの部屋の正面には上記の写真にあるように不思議な記号が書いてあって、それらはまるで何らかの意識につながるためのスイッチになっているのではと思うような、不思議なイラスト・記号だった。

「あれは別の星のテクノロジーなんですよ♡」そう言われたら、でしょうね…と納得するだろう。というか、それ以外だったら逆に何なのかと問いたくなる別の惑星感。あの記号はどうも神社の御神体と似たような作用をしているように当時は感じたものの、もう色々と謎。

オーロヴィルの都市デザイン自体がどこか別の惑星の都市形態を移築したかのようで、あの完全に地球外センスの建物の存在が許され、それが広いインドの極一部でしかなく世界中から多くの人々が訪れているだけでもインド恐るべし。

尋常じゃない建物なはずなのに、インドのカオス度は「マトリマンディル?あー、なんかあるよね巨大な建物がさ。」くらいに包容してしまう。(日本は日本で、クリスマスからお正月まで何でもあり状態でカオスといえばそう。)

ちなみにYouTubeにはマトリマンディル内部を映した動画もあり最近それを知る。もし動画を先に観ていたらびびって逆に行けなかったかもしれない…。動画を見るとこれ地球上の建物なの…?よく行ったなー…と実際に行ったにも関わらずびっくりしてなんだか笑ってしまいました、はい。

個人的には動画を見ないまま行った方が楽しめるかと。また最近はNetflixの「世界のバズる情報局」という番組のパート3に「インドが生んだ理想郷」というオーロヴィルについての15分程のドキュメンタリーがあってそれも面白い。

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そんなわけで、洗礼(腹痛)の様子をみながら滞在中に、数回マトリマンディルでの体験を楽しんだ。マトリマンディルでは、敷地内で出会ったドイツ人のSさんとごはん友達みたいになり美味しいレストランを教えてもらったりといった出会いもあった。

最後に、そうしたオーロヴィル内で出会った人のなかで最も印象的だった人のことを書いておきたい。

オーロヴィル編-5『Dreamer’s cafeの出会い』へ続く。

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