おざなりか、なおざりか。
みなさま、こんにちは。
創作系寺嫁のゆかでございます。
さて、みなさま、小説はお好きでしょうか。
最近の私はもっぱら新書を好んでおりますが、自分で書くのは小説です。
かたかた字を打っておりますと、「あれ、これってこの言い方で合ってるんだったっけな?」と思うことがあります。
いつまでたっても「え、これでいいよね?」と不安になるのが、「破顔」。
これを「はがん」と読むところから疑わしくてなりません。
なんでmother は「モザー」じゃないの?みたいな感覚です。
「はらただしい」のか、「はらだたしい」のか
こういう、似ている音をひっくり返して読んでしまう事象が、国文学的に音位転換と申します。
舌鼓、秋葉原、新しい……これらの言葉がそうですね。
もともと正しい音が、言いにくいので、自然と人間はひっくり返して言いやすくしてしまう現象だそうです。
トトロのめいちゃんの「おじゃまたくし」や「とうもころし」もそのたぐいだそうで、
うちの娘も卵を「たごも」、お薬を「おすくり」と言っていました。
しかしながら、それを上回る言葉があるのです。
「おざなり」と「なおざり」です。
もはや読むときにすら目が空目して「おなざり」になったりする日本語。
どちらが正しいか、ご存じですか?
正解は、どちらも正しい日本語、なのです。
おざなり、は「お座成り」と書きます。
なおざり、は「等閑」と書きます。
後者、もはやどうしてそう読むようになったのか不明ですね。
意味はどちらも、「いい加減」です。
より厳密にいえば、
おざなり、は「いい加減であること、その場のがれのこと、間に合わせ」
なおざり、は「深く心にとめないこと、本気でないこと、いい加減、かりそめ」ですが、基本的なイメージが全く同じなので、余計に分かりづらいのです。
しかも、使っている平仮名が全く同じとか!!!
そういうのが苦手な日本人には鬼門ですよーーー!!!
と嘆かずにはいられない言葉なのです。
音位転換だと思っていたら、そうではなく、それぞれ別の言葉でたまたま似た音だった、なんて、誰が思うでしょうか。
さて、この記事を書いた今でも、「おざなり」と「なおざり」をうまく使いこなす自信がこれっぽっちもありません。
みなさまはいかがでしょうか?