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正しいワインの始め方3
キャリア20年のソムリエが、友達に話していた、自然にワインに親しめる5つの話 その2
ワインの味についてのお話です。美味しいワインとは、自分が好きなバランスの味のワインです。
飲みなれていない人と、よく飲む人とは味の判断基準が違います。美味しいワインとはその人が美味しいと思った物。基準は違っても美味しいと思ったらそれが美味しい。では基準の違いは何か、今回はその辺りを解説します。
あまりワインを飲みなれていない人がワインを飲んだ時、そしてそれがまぁ美味しかった時、皆さんお決まりで言うフレーズがあります。
「あーっ このワイン美味しい! 飲みやすくて!」
この「飲みやすくて」は初心者共通のキーワードです。飲みなれていない人の味の判断基準は、飲みやすいかどうか、ということになります。味というより、感覚での判断です。別な言い方をすると、味がよく分からない。飲みなれてなければそうなります。でも何かのきっかけで素晴らしい味に気付くことでワインにはまっていくのです。
そんなきっかけを模索するために、まずは味覚について確認してみましょう。
味とは味覚のことですが、その他に視覚、聴覚、嗅覚、触覚、痛覚、温覚、冷覚と人が感じる機能があります。
味覚として感じられるのが、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つ。
一般的に味の表現でよく使われる 渋味と辛味は味覚ではありません。
渋みは触覚、辛味は痛覚です。
ワインの味で分析されるのが、甘味、酸味、苦味、旨味、まれに塩味。 そして味覚ではないですが、渋味です。
甘口、辛口などと分類しますが、辛い(辛味のある)ワインというのは、実際にはほとんどありません。甘辛の分類は、ワインに含まれる糖分量で分けているだけです。
初心者のキーワード
「あーっ このワイン美味しい! 飲みやすくて!」
ここでいう飲みやすいワインというのは、酸味、渋み、苦みが控えめで甘味を強く感じられるワインです。そしてアルコール分が低め、若しくは低く感じられるワイン、すなわちジュース寄りのワインということになります。普段 ワインを飲み慣れていなければ当然そうなります。間違っていませんし、正しい分析だと思います。グラフにするとこんな感じではないでしょうか。
しかし、このグラフを見て想像してみてください。この「飲みやすい」を別な言い方にすると「特徴がない」ともいえると言えるのではないでしょうか。
そして先ほどのフレーズです。
「あーっ このワイン美味しい! 飲みやすくて!」
を言い換えると、
「あーっ このワイン美味しい! 特徴がなくて!」
どうですか? これ?
生産者の前では言いにくいコメントですよね。また、人前で味の不理解を露骨に自白しているみたいじゃありませんか? 悪い言い方ではないですが、良い言い方でもないですね。では、どのように言うのが良いでしょうか?
「あーっ このワイン美味しい! バランスがいいですね!」
これがベストだと思います。
じゃぁ、バランスって何?という話ですが、これは味のバランスの事です。生産者の方々は、このバランスを取りながら、試行錯誤してワインの特徴を作っているのです。味に特徴を付けるということは、上のグラフの丸い形を崩していくという事。バランスを取るということと相反することです。そのような努力の結果 生み出されたワインを頂くのですから、味が分かることは素晴らしいことですし、分かろうとすることは貴重なことです。
実際に自分好みの美味しいワインにたどり着くためには、優しい味わいでアルコール度数が高くないワインからがいいと思います。無理して個性的なワインを飲んでみても、なかなか好きになっていくのは難しいかもしれません。
酸味は最も重要な味の要素
ワインの味の骨格を作るのが酸味です。味のバランスを取るためにとても重要です。安いワインは酸っぱいというイメージがあります。しかし酸味はとても重要な要素なのですが、それが前面に出てしまうと、酸っぱい になってしまいます。そこで、必要なのが甘味(果実味) です。酸っぱさをうまく抑えてくれます。これがバランスです。ワインを飲みなれた人たちが美味しいと感じる判断基準の一つとして、しっかりした酸味(あることが絶対条件)が、どれだけ上手にバランスしているかという判断基準です。最終的には渋み、苦みもバランスの要素に入ってきますが、まずは酸味と甘みがどれだけうまくバランスしているか、これだけでも気にして飲むと、ワインを見る目が変わるはずです。
入口としてはドイツの白ワインがお勧めです。ドイツワインはしっかりした酸味が特徴的です。ソムリエの表現としては、「きれいな酸」とか「滑らかな酸味」とか言います。しかし甘味(果実味)と酸味がうまくバランスしており、アルコール度数も低めのものが多い。ワイン入門の際にはいろいろなバランスを体験して、自分の好みを探してみてください。