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お互いのエゴをぶつけ合って、傷つきながら生きていく。一歩を踏み出して幸せな"明日"を迎えるために、私達が考えるべきこと【傷だらけの手で、私達は】
荊棘の道が閉ざされた衝撃のイベントからひと月半。
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待ち望んでいたような、でも答えを知るのが怖いような。
そんな複雑な思いの中、絵名視点で瑞希に向き合うイベントがやってきた。
というわけで、ニーゴ1推しでもないくせに1番ニーゴのストーリーを楽しみに待っている私が、前回に引き続き本イベントストーリーの感想や考察、提言を乱雑に書き記していく。所々至らない点はあるかと思うがご容赦いただきたい。
※この記事にはイベント「傷だらけの手で、私達は」のネタバレを含みます。まだストーリーを読んでいないという方は是非とも自分の目で確かめてほしい。
本編の前に
今回のイベントは前回のニーゴ箱瑞希バナーイベント「荊棘の道は何処へ」の続編になっており、そのストーリーを把握していることを前提として話を進めていく。
万が一内容を忘れてしまったという方のために私の感想記事を貼っておくので、もしもの場合はご覧いただけるとありがたい。
本編
苦悩する絵名、それでも諦めきれない想い
文化祭の後夜祭での「事件」から暫く経ち……
あれからニーゴの活動に顔を出すこともなく、学校もサボり続けて文字通り音信不通になってしまった瑞希。
あの時に何も声を掛けることができず、どうすることもできない絵名は自分を責めていた。
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それでも瑞希のことを諦められない絵名は、セカイのMEIKOに困窮とした思いを吐露する。
もしあの時、瑞希からちゃんと話を聞くことができて受け入れることができたとしても、些細な言動でも瑞希のことを傷つけていないか……
人間は感情を持つ生き物、どうしてもどこかで意識してしまうもの。
秘密を知った今でも絵名の中では答えは決まっている。でも、それを願うことすら瑞希を苦しませることに繋がってしまうのでは……と思考は泥沼にハマっていく。
そんな絵名を見て、MEIKOは淡々と、だが言葉は優しく、もう1度瑞希と話してほしいと告げた。
背中を押された絵名は、「瑞希と友達でいたい」という願いを叶えるため、瑞希と会って想いをぶつけることを決心するのだった。
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こうして決心したのはいいものの、連絡手段を絶たれている今、瑞希と会う手立てがないという大きな問題は残ったままだった。
打つ手が分からず上の空になっている絵名を見かねた彰人は、瑞希と親しくしている友達ーーー杏との橋渡し役を名乗り出る。
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肝心の杏は瑞希の現状について詳しいことは聞かされていなかったが、最低限の連絡は取り合っているようだった。
瑞希から絵名へ連絡するように言おうかという提案を受けかけるも、自身の名前を出すことで、数少ない親しい友人すら瑞希が拒絶してしまうことを恐れた絵名はこの申し出を保留することに。それでも、もしもの時の最終手段を得ることはできた。
と同時に、自分に対する連絡を遮断しているということはすなわち、瑞希が絵名を拒絶していることの証明でありーーー。
そんな絵名を見かけて声を掛けたのは……
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孤独の理解者を救った者との共通点
事が始まった大切な場所である屋上で話すことにした絵名と類。
このまま瑞希と連絡が取れないままだとどこからもいなくなってしまうような気がするから、そうなる前に話したいと願う絵名に対して、
今回の件に関しては傍観者でいることしかできない類は、「僕自身の話」だと前置きした上で、自身と瑞希の過去を話し始めた。
かつては類も、周りと馴染めずに孤独だった時期があった。
幼い頃から奇異な目で見られたり、趣味嗜好や格好を普通じゃないという言葉で蔑まれてきた瑞希もまた、心を閉ざして誰とも関わろうとしなかった。
中学時代に出会った2人は、ぎこちない会話を重ねていくにつれて次第にシンパシーを感じ、お互いの孤独を理解する奇妙な関係を築いていった。
(詳しくは「KAMIKOU FESTIVAL!」や「そしていま、リボンを結んで」にて事の顛末が語られている)
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そんな類を孤独から解き放ったのは、ご存じ「ワンダーランズ×ショウタイム」。
特に司の存在は類にとって非常に大きく、かつては別離を決意したものの強引に手を差し伸べられたことで今の自分がある、と語る。
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中学時代までの瑞希であれば、想いをぶつけられたところできっと聞く耳すら持たなかっただろう。
でも、今の瑞希はニーゴを始めとした大切な仲間達と出会ったことで、諦めたように笑うのではなく、心の底から屈託なく笑うことができるようになった。いつしかニーゴを自分の居場所だと思えるようになった。
瑞希も、あの頃とは変わった。
であるならば……瑞希はきっとーーー
荊棘の道を閉ざしてしまったことを、悔いているはずなのである。
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類から自身が受けた経験と瑞希の過去を伝えられた絵名は、このまま終わりになんてしたくないと、抱えた想いを一層膨らませるのであった。
集う仲間達
瑞希が参加せずとも活動を続けていたニーゴ。
新作のデモをセカイのミク達に聴かせるという、1人欠けていることを除けば普段と変わらない日常を送っていた。
しかし、絵名だけは普段と違っていた。その欠けたメンバーの行方を捜すことに気を取られるあまり、上の空になりがちだった様子を見ていたまふゆに、絵名と瑞希との間に何かがあったことを看破される。
その事実は認めつつも、詳しくは話せない……と口ごもる絵名を見た仲間達は……
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絵名の力になりたい、と手を差し伸べた。
仲間達の手を借りて、失踪した瑞希を見つけるため瑞希が訪れそうな場所をしらみつぶしに探すことに。
各自で思い当たる場所を捜索する中、別行動を取っていたMEIKOは遂に、あの日以降ずっと自宅に引き籠っている瑞希と会うことに成功するのだった……
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一方、まふゆも瑞希のクラスメイトの冬弥から情報を得ることができた。
学校を休み続けているせいで出席日数が足りないため、近々補習を受けることになっている、と。
この期に及んでも尚、皆に心配をかけたくない気持ちが残っている瑞希なら補習には来るのではないか……
そんな可能性を信じて、補習当日に神高で張り込みを行うことに。
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対面の時
そうして迎えた補習当日。
奏と、瑞希を捜す事の方が大切だからという理由で学校を休んだまふゆと共に、補習を受けにやってくる瑞希を待ち構える。
しかし絵名は、どこか腑に落ちていない様子。
補習に来る瑞希を待ち受ける。果たして本当にこれでよかったのか……
そんな時に響き渡る通知音ーーー。
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一方、瑞希は補習を受けるため外に出てはいたものの、絵名と出くわすかもしれない後ろめたさから足が遠のいていき……
おぼつかない足取りで向かった先でーーー
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瑞希の「大好きなもの」を信じた絵名は、遂に瑞希を見つけた。
しかし、心の準備などまるでできていなかった瑞希はあの時と同じように逃げ出してしまう。
関係が変わることで優しさを感じてしまうのが怖い。
だから絵名とはもう、会えない。
逃げ続ける瑞希に、MEIKOが現れて釘を刺す。
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絵名と話すのも、絵名から逃げるのもどっちも嫌だーーー
それはきっと、果てしなく傲慢な願い。
それでも逃げる足を止めたことで、遂に2人は顔を合わせて対面を果たす。
ひとつの終着点
こうして絵名は、あの時に伝えたかったことを話し始めた。
あの時どうすればよかったのか、正しいことは何もわからなくて、そもそもこんなことを考えていること自体きっと瑞希を苦しめているのだろう。
それでもーーー後悔しても、傷ついても、瑞希と友達でいたいから。
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でも瑞希は、これ以上傷つく思いはしたくない。
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だから、優しくしてくれる絵名を受け入れられない。
その優しさを感じてしまうことで自己嫌悪してしまうから。
一緒にいなかったらそんな風に思わなくても済む。
そうすれば、絵名も自分のためにいちいち色々考えなくて済む。
だが、絵名もそんな独りよがりの想いを今更受け入れられない。
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「どんな瑞希であっても友達でいたい」絵名。
「繊細ですぐに傷ついてしまう自分を許せないから、せめて自分の元から遠ざけたい」瑞希。
絵名の想いも、瑞希の想いも自分の気持ちだけのエゴである。
それを受け取る相手の気持ちなんて考えていない。
どれだけ気持ちをぶつけようと、瑞希は正面から受け止められないので絵名からすればただ屁理屈を述べているように見えても仕方ないだろう。
そんな、どこまでも自罰的な瑞希の言葉を聞いた絵名がヒートアップするのも必然だったように思う。
(個人的には、寧ろここで絵名が怒ってくれて良かったと思っている。今回の騒動は瑞希の考え方や行動が原因になっていることは確かだし、仮にただひたすらに優しい言葉をかけたとしても、瑞希はそれを欲していないから)
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この日のために瑞希のことをたくさん考えたのも、今まで知りえなかったことを知ったのも、瑞希のことを大切に思っているから。
その想いは初めから何も変わっていない。
秘密を知ったところで、簡単に離散してしまうような脆い想いではない。
絵名はずっと、変わっていない。
変わってしまったのは瑞希。
自分が苦しみに耐えられないから、何も聞き入れずにひとりで逃げ続ける。
それはきっと、自分を守るための逃走本能。
でも、このまま逃げ続けることもきっとできやしない。
瑞希にとって、ニーゴは大切な居場所だから。
初めて居心地が良いと思えて、ありのままの自分でいることができて、
それ故に、関係性が崩れるのを恐れて仲間達に自分の秘密を伝えるのを躊躇してしまうくらい……瑞希の中では既に、ニーゴという存在はあまりにも大きいものになっていた。
絵名が強引に壁を破ったことで、徐々に瑞希の本音が露わになっていく。
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それでも……
どうすればうまくやっていけるのか、何が正解かなんて分からない。
きっとこれからも、些細な事が気になって悩んだり辛くなったりすることを繰り返していくのだろう。
それでも……傍に居ていいって思いたい。
一緒にいても後ろめたくない、友達でいたい。
迷惑かけても嫌になっても、一緒に居たい、とーーー。
ようやく瑞希は意地を張ることをやめ、前を向くことができたのである。
瑞希の心からの本心を聞いた絵名は優しく微笑み、瑞希を受け入れた。
これから先、幾多の困難が降りかかって傷だらけになったとしても……
彼女達はきっと、荊棘の道をどこまでも歩んでいくのだろう。
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「おかえり、瑞希」
っ……うん……ごめんね、心配かけちゃって……
「もう、大丈夫なの?」
おかげさまでね……本当に、ありがとう。
それで……その……みんなに、話したいことがあるんだ。
ずっと、言わなきゃって思ってたこと……言いたいことーーー
(ガイドラインの禁止事項に接触する可能性があるため詳細は割愛させていただくが、今回の報酬の星3奏、星2まふゆのサイドストーリー後編にて、イベントストーリー8話後の後日談が描かれているのでそちらも必見。)
所感
これぞ東雲絵名、あまりにも眩しすぎる。
幾多の障壁が立ちはだかっていようとも決して諦めることなく、自分の気持ちのままに真正面から立ち向かうことができる。
一見すると確かに乱暴なやり方かもしれないし、我儘に見えるけど……
それだけでは決してなく、相手の気持ちを慮ることができるからその時に欲しい言葉を伝えられる。
自分が大切にしたいからというエゴを振りまいて、救いが必要な手を無理矢理にでも掴んで引っ張り上げることができる。
東雲絵名という人間の魅力がこれでもかというほど表現されていたのではないだろうか。
正直に言うと、承認欲求の塊で不都合な事に直面するとヒステリーになって度々荒れていた初期の絵名に私は苦手意識を感じていた。
天才であるまふゆに劣等感を感じて、自分には才能がないと意地を張り続け、最後の最後までまふゆのことを邪険に扱っていた……メインストーリーの頃の絵名は正直見ててキツイなとすら思っていた。
でも絵名は、この4年間(プロセカ時空では1年と少し?)で見違えるほど成長した。
諦めの悪さはそのままに、心の余裕が持てるようになった結果悩みを持つ人に対して一歩踏み込んで手を差し伸べられる優しい人間になった。
そんな絵名の寄り添いの姿勢が多くの人の力になっていたのは、これまでのストーリーを見れば一目瞭然だろう。
今の絵名なら、心の闇から瑞希を解放することができる。
私には、絵名ならそれがどれだけ困難であろうが最後にはやり遂げるだろうという確信があった。
だから今回の予告を見た瞬間、そんな結末を期待した。
その期待通り、絵名は瑞希のことを救ってみせたのである。
メタ的な視点で見れば、いつまでも瑞希が離脱したままの状態は続けられるはずがないので、瑞希がニーゴに復帰するというシナリオは結局のところ予定調和に過ぎないのだろう。
それでも、その過程を……絵名の心情を丁寧に描写してくれたカラパレに、最大級の賛辞を。演出もめっちゃ凝ってて凄かった。
「伝える」ことの難しさ
絵名が瑞希のことを見つけて、遂に正面から対面を果たした時の会話。
最初はお互いの主張が重なり合うことはなく、ずっと平行線だった。
絵名は「どんな瑞希でも一緒にいたい、友達でいたい」という想いを真っ直ぐぶつけた。
だが瑞希は、「一緒にいてもいいことない、自分のせいで絵名達に気を遣わせてしまうのがいたたまれない、その優しさを感じるのが怖くて素直に受け止められない、だからその度に苦しくなってしまう」と、絵名の好意を正面から受け止めることができなかった。
絵名は瑞希が何者であろうが受け入れるつもりでいたし、大切な友達を無下にできないという「優しさ」だったが、
瑞希もまた、辛いことから絵名達を遠ざけて自分だけが報いを受ければ良いという「優しさ」があった。
文字にしてしまえば同じ「優しさ」だけど、両者の性質は正反対で、絵名は「私が」寄り添いたいからという優しさなのに対し、瑞希は「絵名に」手間をかけさせたくないという優しさで、優しさの意味が全く違う。
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私はここに、コミュニケーションを取ることの難しさを感じた。
人は話せばわかるなんて綺麗事がまかり通っているが、それだけで解決するなら世の中で争いは起こってこなかったはずで……
人によって価値観は全然違うし、譲れないものや妥協できないラインがあるから、対話しても全然分かり合えない事なんて腐るほどある。
残念ながら、それが現実。
ではどうすればよいかというと、それでも対話をするしかないと思う。
何度も対話を重ねることで、相手の価値観や考え方が少しずつ分かってくるから、お互いが納得できる着地点を見つけることができる。対話を拒めば力で無理矢理屈服させるか、それもできなければ瑞希のように逃げて離れるしかなくなる。
幼少期に受けたぞんざいな扱いや差別から、他人に期待することをやめて他者理解を放棄した瑞希にとっては、絵名との対話はさぞ苦しかっただろう。今まで面と向かって互いの意見を交わした経験なんてほとんどなかったのではないかと思う。
それでも今回、絵名の熱意やMEIKOの献身の甲斐あって真の意味で絵名のことを理解する機会を得ることができた。ずっと避け続けていた他者との対話に向き合うことができた。
逃げの選択肢を取り続けてきた瑞希にとって、これは大きな成長になったのではなかろうか。
正直、瑞希の言い分には腑に落ちない点もある。
過去にどんなに酷い扱いを受けてきたからといって、現在の絵名の好意を無下にするのは絵名に失礼だし、瑞希が思うほど世間はひとりひとりに目を向けてはいない。
でも、そうやって不安になる気持ちは私にも痛いほどよく分かるので、一概に瑞希のことを全否定することはできない。
少なくとも絵名と向き合うことはできたし、ニーゴや親しい友人から離れるという逃げの選択肢は放棄できた。今は、それで良いのではないだろうか。
今まで目を背け続けていた分、これから色々な人や出来事に向き合わなければならなくなる時が来ると思うし、その度にまた逃げたくなるかもしれないけど……絵名が、ニーゴが瑞希の味方でいる限り、すべてを失うような事態には陥らないだろう。
ニーゴのサポートを受けながら、瑞希が少しずつ現実と向き合えるようになれれば良いなと思う。
決して絵名や瑞希だけの物語ではない
ここまで見ている人の中には、こう思った方もいるだろう。
「結局絵名が瑞希を救ったのだから、このストーリー、ふたり以外はいらなかったのでは?」
「瑞希の問題が主軸になっているんだから瑞希バナーだけで完結させればよかったのでは?」
断じて言おう、決してそんなことはない。
前回の瑞希バナーの時からもそうだが、今回の絵名バナーでもニーゴの箱イベントなのにも関わらず、他ユニットのキャラクターが多数登場する。
杏、彰人、冬弥、類……皆、それぞれの考えから瑞希のことを自分なりに理解している、瑞希の友人である。
そして勿論、ニーゴのメンバーである奏やまふゆも密接にストーリーに関わっている。
今回のストーリーの中心にいたのは紛れもなく絵名だった。
ただし、題材となったのは瑞希の悩みだった。
その弊害で、一部では瑞希がバナーを乗っ取っただの、瑞希の声優に対して理不尽な怒りの矛先が向けられたりだの、まぁ色々と騒ぎが起こったのだが、はっきり言ってお門違いだ。
今回のストーリー、本当に絵名と瑞希だけで本当に全て事が片付いただろうか?
絵名も最初は、行き先を見失ってただ自分を責めることしかできなかった。
それでも諦めきれないという想いが勝って行動を起こした結果、
MEIKOに背中を押され、彰人が橋渡し役になり、杏という最終手段を手に入れ、類から過去を聞き出すことができ、奏とまふゆ、セカイのミク達に手を差し伸べられ、冬弥から情報を得て、最後には絵名自身の気持ちを信じることで、ようやく瑞希を連れ戻すことができたのである。
ひとりで悩んで解決策を練って立ち向かって解決するなんて人間にはできない。
完璧でないからこそ、他の人を頼って足りない穴を埋めるのだ。
バナーひとりだけで起承転結が完結するキャラは、プロセカにおいては誰ひとりとして存在しない。
境遇も信条も異なるキャラが複雑に関わり合うからこそ、物語に味が出るというものだ。
「○○はこんなに優遇されているのにそれに対して○○は扱いが雑だ!」なんて、そう思う気持ちは分からなくはないが、近頃はSNSが当たり前になったことで、少しでも不満を感じた時は何でもかんでも叩けばいいという風潮が広がっているように思う。
そんな、誰がどう受け取るか分からない過激な言葉を発信する前にふと我に返って、本当にその言葉によって誰かが不利益を被ってしまわないか確かめてほしいと切に願う。
悪気もなく何でもないように振りまいたその言葉が、いつか誰かを傷つけてしまうことがないように。他でもない瑞希が、そのような言葉で傷つき、尊厳を踏みにじられた被害者なのだから。
まとめ
言いたいことが次から次へと湧いてきて、長々とした文章になってしまった。
もうひとつだけ言っておくと、今回の物語は決して、暁山瑞希という性的マイノリティにまつわる問題という話ではない。
あくまでも瑞希という人間を構成する要素のひとつでしかなく、瑞希が男だったからといって都合よくジェンダーの話と解釈するのはあまりにもお粗末であると、私は思う。
なぜなら、この物語ではそれが本質ではないから。
事実、本人の性自認がどちらなのか……といった話は一切言及がなかったし、本人の口から自分は男だとカミングアウトを行ったわけでもない。
人間、生きていれば誰しもが他人に言いたくない秘密だったり悩みを抱えるものである。
それでも、いずれ向き合わなければならない時が来る。
他人に自分のことを理解してもらいたいなら、他人のことをもっと理解したいのなら……お互いが納得できるまで、対話を重ねて本音をぶつけ合うのが最善なのではないだろうか。
それが最も近道だとは限らない。
心の内をさらけ出すのだから、話しているうちに傷だらけになってしまうことだってあるだろう。
それでも、その茨だらけの道を乗り越えた先に、本当の意味での信頼が生まれてくるのではないだろうか。それこそが「親愛」であると、私は思う。
最後に
瑞希の問題がひと段落したので、次回からはいよいよニーゴ最大の、未だに一切進展のないあの問題が動き出すことになるかもしれませんね。。。
その時を楽しみに(?)待ちながら、今後もプロセカの行く末を見守っていきたいと思います。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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本イベントの書き下ろし楽曲「余花にみとれて」はこちらから。
ハンカチの準備をしておくことをお勧めします。