行く末
「いや、ひめ、ではなくルーファス様。死の間際に重要な情報を語ってくれて、感謝するべきでしょう。まあ、行く手は多難でしょうがな」
もはやルーファスの身分を隠す気があるのかどうか怪しい、アキツカであった。
そして、言われたルーファスは深々とため息をつき、頭を振った。
そこでふと、ナローは疑問を口にした。
「そういや、行くアテってあるんすか?」
「うむ、西の小国ハルベスに向かおうかと思っておる。あそことは交流もあるのでな。何より、帝国もおいそれと手が出せんじゃろ」
なるほど、余所の国か、とナローは納得した。
そこまで逃げれば、さすがに大丈夫だろう。
いくら帝国が強いと言っても、大きな一戦をやり終えたすぐ後で、他国に侵攻……というのは厳しいだろう。
などと考えていると、カディアがナローの裾を引っ張っていた。
「ナローさん、ハルベスってどういう国なんですか?」
「アスラシカとは、西の大河を挟んだ所にある国だよ。小さいけど兵士は精強、帝国兵が数ならハルベスは質って感じだな。それに、長である虎の獣人ガトーってのがまた強いらしい」
本日はここまで。
おやすみなさい。