提案
「……でも、当然国境にはもう、帝国兵が見張りに立っていますよね?」
「そりゃまあな」
カディアの疑問はもっともなので、ナローも頷くしかない。
国境どころかそこに到る街道、村や町にもおそらくは兵士が配備されている可能性は高かった。
ふぅむ、とアキツカは己の白髪を掻いた。
「弱ったもんじゃのう。まあ、絶対行かねばならんという事もないが」
「え、急ぎの旅とか、そういうのじゃなくて?」
何が何でも進むとか、そういう事ではないのかとちょっと意外に思うナローであった。
「儂としてはルーファス様の御身が第一じゃて。それ以外にも色々あるが今の一番は、やはり安全が最優先じゃの」
「つまり、安全を確保する為に危険な場所を突破するつもりだったって所っすか」
「うむ」
そこで、スイと手を挙げたのは、話題の中心でありながら無言を貫いていたルーファスであった。
「一つ、提案があるのだがよいだろうか?」
本日はここまで。
おやすみなさい。