耳の話

「ほう、結社か。人数は足りておらんようだが」

 胡座を掻き、顎髭を撫でながら、アキツカはしれっと言う。

「って耳いいっすね、爺さん!?」

 振り向きざまのナローのツッコミに、カッカッカとアキツカは笑った。

「儂も、これでも超人格(ブレイカー・クラス)の階梯者(ランカー)でな。耳が良うなっとるのだよ」

「内緒話も出来ないって事か。まあ、聞かれて困るような内容でもないけどさ」

 ナローはため息をついた。

 単に正面切って話すと、不快にさせる可能性があるから気を遣っただけである。

「うむ。目指す先はお互い、逆方向じゃしの」

 そしてアキツカは、特に不愉快という訳でもなさそうだ。

 ルーファスに、今ナローが話していた内容を、やんわりと説明していた。

「ふぅむ、少々名残惜しいが、私達の事情に巻き込む訳にもいかぬしな」

 ルーファスも同感らしく、残念そうに首を振った。


 本日はここまで。

 おやすみなさい。

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