容疑者
「何だと。帝国の兵かと思ったら賊の類だったか」
ナローの問いかけに、兵隊長は激昂した。
「ふざけるな! 我々はとある任務を帯びて、ある女を追っている。……貴様達の中にいる、そこの二人にその疑いがあると言っているのだ。大人しくしていれば、手荒な真似はしない」
怒りはしていても、理性は残っているらしい。
勝利国であるにも関わらず、無法な振る舞いをしない辺りは、ナローとしては好感が持てた。
だからといって、彼らに利するつもりもないが。
ふむ、とナローは真面目くさった顔で頷いた。
「女」
「そうだ」
「三人、いるが」
ナローは、竜人(ルウ)族のカディア、普人(ヒュム)族のルーファス、菌糸(ムシュラム)族のハンメルを順番に指差した。
「彼女と彼女と彼女だ」
「むしゅ!?」
指差されたハンメルも、ビックリしていた。
本日はここまで。
おやすみなさい。