撮影こぼれ話。(氷瀑 後編)
このノートは「撮影こぼれ話。(氷瀑前編)」の続きです。
⚫気付けば夏
⚫新しい出会い
⚫夢は何かと聞かれたら
気付けば夏
撮影が終わり、監督も私も多忙な時期に突入し、
「完成は夏ぐらいでいいよ」
という言葉に甘えていた。
写真展、映画予告編コンペ、ワークショップ、イベント企画。。。
特に優れた能力があるわけではないのに、やり始めたら止まらない。
相変わらず迷惑極まりない人間である。
気付いたら夏。心身共に疲れ果てていた。
写真展が終わり、しばらくしてから友人の何気ない言葉に深く傷付き、目がなくなるのではないかと思うくらい泣いた。
そんな時はいつも制作に没頭する。
しかし、パソコンを起動する気にもなれなかった。
ただひたすら、自分の色んな記憶を消すのに必死だった。そんな夏だった。
新しい出会い
しばらくして監督から連絡が来た。
「多分予定空いてないと思うけど、映画に使う音楽のレコーディングするから来ない?名古屋だけど。」
私は行くと即答した。
友人のカフェで監督と、歌い手のはるちゃんと待ち合わせ。明太子の冷製クリームパスタが絶品。
はるちゃんは初対面だからか、口数少ない。化粧もせず、仕事が終わってそのまま来ていた。何て素朴なんだろう。
ギターの師匠の家に寄り、そこから1時間くらいかけてセレブリティな住宅街の中のスタジオに到着。
デモ音源は素晴らしかったけど、生歌はさらに良かった。涙が出そうだった。
何回かギターや歌を重ね、レコーディングは終了した。おじさま達が編曲に夢中になってる間、はるちゃんとリビングで過ごした。
スタジオ近くには大学があり、スポーツの応援団の声が遠くに聞こえる。
エアコンはつけず、自然の風だけで気分が良かった。
「いい風だね。」
会話もなくひたすらぼーっとしていた。
「私は社交的に見られるけど、なんか上手くいかなくてね。伝えるのが下手でさ。。。」
というと
「私も人と話すのが苦手です!」
急に私に興味を持ちはじめてくれた。それから映像始めた経緯や、今取り組んでる事を話したら目をキラキラとさせていた。
「完成したよ~」
音源は完成し、全員笑顔がこぼれた。
岐阜に舞い戻る。
さらにはるちゃんは高山まで帰るため、一旦解散。
お疲れ様でした~と言い、帰ろうとした時
「まきさん!!!」
はるちゃんの、精一杯な声に驚いた。
「あの・・・またよろしくお願いいたします!」
私は大きくうなずき、帰宅した。
はるちゃんの歌を聞いて元気を取り戻し、短編映画は完成した。長い長い旅でした。
映画には3曲、はるちゃんの歌が流れます😊
沢山の方に聞いてもらえますように。
夢は何かと聞かれたら
夢は何かと聞かれたら、あなたは何と答えますか。