英文法アレルギー!でも英語はできるようになりたい・・・ さあどうする?
学生時代の苦手意識から、「文法」と聞くだけで拒否反応・・・。
残念ながらそういった方は結構多いのではないでしょうか。
英会話の楽しさに気付き、
「会話の練習だけして英語を習得したい!」
「文法の勉強しなくても何とかなる」
と思っている方もいるでしょう。
文法で英語が嫌いになった方の場合、勧められて嫌々学生時代の参考書を開いたところで、また英語嫌いになってしまう可能性があります。
今回は、英語を学ぶのに文法が大切な理由と、挫折しないで文法を習得するためのヒントをお伝えします。
語学を使いこなすのに必要な要素とは?
英語に限らず、語学を使いこなすには何が必要だと思いますか。
日本のレストランで注文する場合を考えてみましょう。
まずは料理の名前を知っておく必要があります。
例えば「真鯛のポワレ レモンバターソース」とメニューに書いてあったとします。
「ポワレ」を知らなくても、「真鯛」「レモン」「バター」「ソース」を知っていればなんとなく味の想像ができますし、気になるようなら、お店の人にポワレの意味を尋ねることができます。
意味を尋ねるためには、質問の仕方を知っておく必要がありますし、言いたい事を正しく発音する必要もあります。
また、文章として正しくても「ポワレって何なんだよ?」といきなり怒ったように言ったら、相手はびっくりしてしまいます。「こういう言い方をこういうイントネーションで言ったらどういう意味に伝わるか」ということも知っておく必要がありますし、他人に質問するときの言葉遣いも大切です。
つまり、私たちは、意識しないでこんな風に日本語を使いこなしているのです。
単語力 必要な物の名前、動作の名前などを知っていること
発音 それぞれの単語がどう発音されるか知っていて、正しく発音できること
文法力 意味や意図が伝わるよう、ルールに沿って単語を組み立てたり変化させたりする力、またはルールを使って意味や意図を理解する力
構成力 伝わりやすい文や文章を組み立てたり、理解したりする力
スピーキング力 自分の意図を言葉で発信する力
リスニング力 相手の言ったことを正しく聞き取り理解する力
リーディング力 文字や文章を読み取る力
コミュニケーション力 場面に合った話し方を判断しスムーズに意思疎通を行う力
文章構成力、文法力、と聞くと、難しく感じるでしょうか。
つまり、こういうことです。
水を飲みたい時、「私」「水」「欲しい」という3つの単語を知っていたとしたら、単語を並べれば自分の意図を伝えることはできます。
では、「ミズワタシホシイ」と「ワタシミズホシイ」、どちらの方がわかりやすいでしょうか。
「私・水・欲しい」の方が、状況をイメージしやすいですよね。
実はこの単語の並べ方も文法知識があるからこそ。
日本語では、「誰が何をどうした」の語順で文を作るので、それと同じ並べ方になっている、「私(が)・水(を)・欲しい」という順番の方が理解しやすいのです。
では、これが「水が欲しかったからさっき頼んだのに、まだ持ってきてくれていない」という状態だったらどうでしょうか。
メインとなる単語だけを抜き出すと「水・欲しい・頼む・持ってくる・ない」となり、先ほどみたいにすんなりと理解できなくなります。
このように、少し複雑な情報を伝えようとすると、単語を並べただけでは意図が伝わりません。
過去のことは過去形を使う、まだ~していないと言いたいときは、未完了であることを表すための構文を使う、という文法知識を使わないと、伝えたい事があいまいになってしまうのです。
文法とは「言葉のルール」、構成力とは「文の中で単語を正しく並べる力」で、大きく考えると文法力の一つと言えます。
日本語ではそれと気づかず使いこなしている文法知識、なぜ英語になると身構えてしまうのでしょうか。
日本の英語教育の弊害
実は私も高校時代までは英語が得意ではありませんでした。
文法は覚えることがたくさんあり過ぎて、一つ覚えたら一つ忘れる・・・。高校英語の延長線には、自分が英語を話せる姿は到底思い描けなかったものです。
実際に、高校の時の英語の先生には典型的なカタカナ英語の方もいて、「リピートアフターミー」で練習しながら、先生ですら英語が話せないのか、と思っていました。
受験科目として英語を勉強していた時代です。
その頃と比べると、日本の英語教育に対する考え方は大きく変化しています。
受験のために英語を「科目」として勉強し、正解を教え、読み書きを徹底して鍛えるという学問的英語から、英語を使ってグローバルに活躍できる人材を育成するための教育を目指し、学習指導要領も改訂されています。
実際、私が以前勤務していた英会話スクールのキッズレッスンも、「単語を覚え、定型文を練習し、正しいパターンを覚える」レッスンから、「自分の意見を発信する」ことを重視する方向へシフトしています。
自分の意見を伝える方法は一つではありません。
水が欲しい時に、「水をいただけませんか」と頼むのもよし、「喉乾いたなぁ」と伝えるのもよし。
「水ください」でも、「水ちょうだい」でも「水くれ」でも、メッセージは伝わります。
ただし、何も言わなければ水を手にすることはできません。
子どもの頃、母親に「水!」と言ったら「水ください、でしょ」と言われた、なんて人はいないでしょうか。発信することで、欲しかった水を手に入れ、そして、より適切な言い方も学んだ、という一例です。
まずはメッセージを発信すること。そして、少しずつ、伝え方のバリエーションを増やし、正確性をあげることで、より複雑なメッセージでも誤解なく伝えられるようになります。
英語を「コミュニケーションツール」としてとらえ、意思疎通をより簡単に行うために少しずつ自分のレベルを上げる、そう思ったら、多少気持ちが変わるのではないでしょうか。
ちなみに間違えることは、英語上達には必要なこと。
正しく使えるまで待っていると、いつまでたっても何が出来て何が出来ないかわからないままです。
間違えるからこそ、自分が補強すべき部分を見つけ、着実にステップアップしていけるのです。
英語を学ぶなら文法を学んだ方がお得なわけ
日本語を話せるようになる過程では、子どもの頃からたくさん正しい日本語を聞き、真似して使う上で通じない経験もたくさんして、正しい言葉を覚えていきます。
そして学校の国語の授業では文章で使う表現を学んだり、「この文はどういう意図で書かれたでしょう」のような作者の意図を読み取る練習を積んだりして、会話だけでなく読み書きの力も磨いてきているのです。
英語を同じスタイルで学ぶためには、私たちが日本語を学んだのと同じような環境と時間が必要。
ゼロから始めてそこそこの会話が楽しめる幼稚園レベルまで何年もかかると思ったら気が遠くなりませんか?
大人だからこその上達の近道、時間も労力もお金も全部まとめて節約する方法があると言ったら、試してみたくありませんか?
まさに、それこそが文法なのです。
大人だからこそ、一つルールがわかると、それに当てはめて応用するのが簡単にできるのです。
1から10までの例文をひとつひとつ覚える代わりに、1つの例文と1つのルールを学んで、2~10までは自分の力で作れるのだとしたら、あっという間にたくさんの文章が作れるようになると思いませんか?
文法と言っても、「空欄には何が入るでしょう」とか、「並び替えをしましょう」とかいう、問題に正解するプレッシャーは一旦忘れてください。
テスト問題は、私たちが英語を理解しているか、正しい文章を作れるかなどを確認するため、やむを得ずああいう形になっていただけです。
文法の大切な要素は、私たちの頭の中に浮かんだアイディアを正確に相手に伝えることと、相手が意図したことを正確にくみ取ること、です。
先ほどお伝えしたように、単語を並べただけでは、正確に意図を伝えあうことはできません。
例えば、日本語には、どこかへ向かっていくときは「~へ / ~に」を使い、どこかから来るときは「~から」を使う、というルールがあります。
「私は東京へ行きます。」と言えば、問題なく相手の意図がわかりますよね。
一方で、「私は東京から行きます。」と言われたらどうでしょうか。
「へ」と「から」、この短い言葉を間違えるだけで、途端にコミュニケーションに支障をきたしてしまうのです。
単語に意味を持たせるためのルール全てが文法です。
日本語でも、「行く」という単語でさえ、「行か(ない)」「行き(ます)」など、意味によって形が変わります。私たちが自動的に行っているこうした単語の形の変化にも実はルールがあり、日本語を学ぶ外国人は、五段活用、未然形、連用形、終止形などと言った文法用語とともに学習しているかもしれません。
私たちは、日本語を話す時、たくさんの文法知識を知らず知らずのうちに使いこなしています。
英語も全く一緒です。きちんと意思疎通を図るためにも、文法を使いこなすことは大切です。
苦手な文法をどう学ぶか
まず、大前提として英語の文法書(ルールブック)は英語ができる人が書いています。
ものすごく英語が得意な人が、世の中の全ての人が自分と同じような基礎知識を持っている前提で文法書を書くと、例えばこんな文章が出来上がります。
「現在完了形(経験)は、過去から現在までの経験を表す。構文は主語+have+過去分詞で、頻度を表す言葉やbeforeと共に用いられることが多い。また、疑問文ではever、否定文ではneverが用いられることもある。」
英語を始めたばかりの方や苦手な方が、「現在完了」という言葉がわからないからと調べたときに、こんな文章が出てきてしまったら、どう感じるでしょうか?
「現在完了形」のような文法用語は、ルールによる働きをカテゴリー分けしたラベルです。
そのラベルがどういう意味かを理解している人にとっては、そのラベルを見た途端、説明をされなくても働きを理解できたり、グループ分けが出来て覚えやすくなったりします。
ただ、分からない人にしてみると、まずその文法用語が何を表すのかを学ぶ必要があり、さらに文法用語だけでなくその説明まで堅苦しくて拒否反応が出てしまうという弊害があります。
苦手な人へ向けた文法の学び方
Step1:できるだけ堅苦しくない教材を選ぶ
最近では、カラーだったり、イラストが多い教材や、マンガで学べる教材も多くあります。
そして、説明もわかりやすいものも増えてきています。
書店で手に取って、これならできる、というものを選びましょう。
できるだけ薄くて、説明が簡単で、イラストが多いものがおすすめ!
初めから張り切って分厚いテキストを買うと挫折しがち。
薄いものを最後までやり切った達成感を味わってから、次の本へ!
演習問題が少しついているものだと、理解の確認ができるのでなお良いですね。
Step2:ルールの本質を理解する
文法の説明を読んで、表面的に理解するのは危険です。
「どういう型なのか」
「どういう意味で使われるか」
「どういう場面で使われるか」
「どういう機能として使われるか」
をしっかり理解するようにしましょう。
例えば、「現在進行形」を、「進行中の動作は、主語+be動詞+現在分詞で表す」と覚えるのではなく、
型は「主語+be動詞+~ing」
意味は「~している」
これは、「話をしている最中に続いている動作」について話すために使う
電話で相手の行動が見えない時に「何してるの?」
相手の意図がわからない行動に対して「何してるの?」
行動は分かっても詳細がわからない時に「何読んでるの?」
その場にいない人が今している行動「お姉ちゃんは部屋で勉強してる」
第3者の説明をするとき「あそこで電話してる人は、私の上司です」
というような情報を入れていくと良いです。
Step3:ルールの定着
正しい型を使えるようになるために、まずは正しい文を真似して練習します。
声に出して読む「音読トレーニング」や、書き写す練習、ドリルなどで問題を解いたり、瞬間英作文を行ったりして、まずは正しい型がすぐに出せるようにしましょう。
Step4:自分が使う場面を想定して練習
テキストで学ぶ文章はあくまでも「例文」です。
最後は応用として、自分がそのルールを使うとしたらどんな場面で何について話すのか、を考え、実際に英語で文章を作ってみましょう。
日記などをつけて、覚えた文を意識して使ってみるのもお勧めです。
文章が作れたら、見ないでスラスラと言えるようになるまで、声に出して練習したり、書いて覚えたりしましょう。
英語学習はインプットとアウトプットのバランスが大切です。そして、アウトプットをするにしても、昔の教材のように、"This is a pen." という、一体どこで使う文章だかわからないものを呪文のように唱えても意味がありません。
コミュニケーションに活かすためには、まずは自分が使うであろう英文から覚えていくのが近道です。
最初はできるだけ短くシンプルな文章にして、間違いがないものを覚えていくようにしましょう。
身近に確認できる人がいない場合、インターネットの翻訳ツールで確認したり、Grammarlyのような確認ツールを使うのもおすすめです。
まとめ
昔の英語学習がトラウマだからと言って文法学習を避けていると、自然な英語を使えるようになるまでにものすごい量のインプットが必要になり、結果無駄な労力を費やすことになります。
日本語を習得したように、「どの言い回しが自然か判断できるくらい英語に触れ、使って試してみる場がある」のであれば、改めて文法を学ぶ必要はないかもしれません。ただし、それには相当の時間がかかってしまいます。
文法は英語上達を手助けしてくれるガイドラインなのです。
文法が苦手な方向けに作られた、イラストメインやマンガ付きのわかりやすい中学文法をカバーしたテキストもありますので、もう一度自分に合った教材で学び直してみましょう。
さらに音読トレーニングや、書いて覚えるトレーニング(音読筆写)などを行うと、より自分のものとして定着します。
最後は、実際に自分が使う場面を想像して文章を作り、それを話したり書いたりして覚えておくと、コミュニケーションに活かせますよ。
継続ありき!できるだけ負担と感じない方法で学習を続けていきましょう!