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留学弁当(2023/11/17)
離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」1年間コースに通う生徒たちが、自らお品書きを考えて提供する留学弁当。8月に実施して以来となる留学弁当。
離島キッチン海士で、数々の観光客の方々に料理を提供してきた9月10月を経て、成長した生徒たちのお弁当です!
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今回のお弁当のテーマは?
清水:「天麩羅御膳」です!
恒光:なぜ、そのテーマにしようと思ったのですか?
鈴木:
弁当でやってみたいことを聞かれて、自分自身の課題として感じているのが天麩羅だったからです。
天麩羅って、衣付けて揚げるだけっていう、作業としてはすごく単純なんですけど、これをカリっと美味しく揚げるが、すごく難しくて繊細な技術が必要だなと思っていて。
でも、自分はそういうことが好きだし、そういうことができるようになりたいんです。
前に賄いの時にやった天麩羅があまり上手くいかなかったので、今回の留学弁当を機会にもう一回挑戦したいなっていう気持ちです。
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恒光:仕出し弁当の場合、天婦羅が揚げたてではなくなるけど、そこは大丈夫なのかな?
鈴木:それでも美味しくなるように、なるべくカリっと揚げられる温度調整ができるように頑張りたいです。
作り手として、思い入れのある一品はありますか?
鈴木:
今回は水菓子を担当しているのですが、季節感があって和食っぽい水菓子を作りたいと思って、みかんと餡子の寒天寄せに挑戦しました。
それは、餡子の寒天の層とみかんと寒天の層に分けた見栄えの良いものに仕上げる予定なんですけど。けれど、これが試作段階ではけっこう難しくって。
寒天が常温で固まってしまうので、扱いがすごく難しくて四苦八苦しています。良い勉強になりながら試作を頑張っています!
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清水:
私は一品というよりかは、全体の味のバランスと、見栄えも含めた盛り付けにこだわりました。
前回に私が留学弁当を担当した時は、食べ手のことを意識しつつも自分が作ってみたいものを作っていたんですけど。
全部を食べた時のバランスってすごく大事だなって思い始めたので、それを意識したのと。
あと、見た目についても、以前は「味が美味しかったら、見た目はまあまあで良いかな」と思っていたけど、最近は見た目も大事だなって思う機会があって。そこを今回はこだわりました。
今回の食材仕入れはどうでした?
魚事情は、時化が続いたり、いつもお世話になっている定置網が網作業に入ったりで、どうしようどうしようって焦る日々でした。
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お品書きを考える段階で、自分のなかでイメージしている小魚があって。
小魚を圧力鍋にして骨まで食べられるようにするとかっていう、細かく決めていたつもりはなかったけど、ざっくり決めていたものがあって。だけど、そこに当てはまるような小さくて骨まで食べられそうな魚が入ってこなかったんです。
結局その小魚の料理は諦めるかってなると、他の品々と形が似通ってしまうから、あっちもこっちも変えていかないといけないなぁって、玉突き事故みたいになりながらも鈴木さんと打合せしながら全体を調整しました。
それこそ、同じ魚の種類で2品作るしかなくなったから、見た目では同じ魚だとは感じさせないようにしなきゃとか。今回は、魚の種類が被ってしまうとしても、形を酢締めの魚と焼き魚に分けるとか、工夫しました。
あと、スマガツオの仕入れのときに、取り置きをお願いしたんですけど、私のイメージしていたサイズと実際に入ってきたサイズが異なっていて。
私の頭の中では、未利用魚サイズの小さいスマガツオをイメージしていて、でも実際に取り置きされたのはまあまあ大きいサイズで。
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どうしようと思ったものの、もう取り置きしてしまったから、これをどうにかして使わなきゃって感じで。自分の目で確かめないで仕入れをするのって、誤差のところが難しいなって思いました。
食べ手の皆さんにひと言。
清水:すごい変化があったか分からないですけど、盛り付けは成長したかなと思います。どれだけ成長できたか、正直自分では分からないですけど。。
鈴木:
離島キッチン海士での実践の中で「意識づけられたもの」は沢山あります。
色んなものでのバランス。
見た目のバランスも、味付けのバランスもそう。
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以前の留学弁当よりかは色んなバランスを気にかけるようになりました。
結果として手に入る食材の制限と、自分たちのやりたいこととの兼ね合いで、そのバランスがとれているかは、皆さんに食べて頂いて判断したいただきたいんですけど。
ともかく、バランスをすごく気にかけられるように作れるようになったので。まずは、楽しんで食べて頂けたらと思います。よろしくお願いします!
(収録:2023年11月15日 島食の寺子屋校舎 放課後)