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桜餅を待つ

世の中の騒ぎは、島根県の北に浮かぶ離島でも他人事ではない。観光ツアーはキャンセルになるし、本土への特産品出荷が激減しているそう。離島といえど、経済は外界と相互依存していることを思い知らされた。

そのような中で、島食の寺子屋の2020年度が無事に始まってくれた。これは本当に有難いこと。改めての説明になるけど、その日に島でとれた食材で料理を学ぶのが、島食の寺子屋の特徴である。

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そして、4月に開講してから、わりと慌ただしい日々が続いている。
海に入れば海藻を拾い、山に入れば土筆、蕨、三つ葉、筍、木の芽がにょきにょき。1度取りにいっても、ほんの少し経てば、他の場所から顔を出していたり、味が変わっていったり、もう姿を消していたり。自然の移ろいと追いかけっこする日々だ。

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授業で使いきれなかった自然の幸は、各自シェアハウスに持ち帰り、各々でまた料理をしているようだ。生徒たちの間では、早くも体重がどうのこうのと喜々と情報交換をしているのを見て、この悩みは毎年同じなんだな、とほほえましく思う。

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校舎の前にある桜は、そろそろ葉桜に。鞍谷先生が、桜の蕾を梅酢に漬けて桜餅の準備をしているのを見て、「あぁ、梅酢があって桜餅ができるのか。」と時系列に納得した。次は、八重桜の若い葉っぱが出てくるまで、少し待機。人間が待つ時間はゆっくりと流れる。

それにしても、なぜ綺麗な花を咲かせてから、葉を出しはじめるのだろう。
開花まで半年以上も蕾のまま力を蓄えている。桜には桜のやり方があるみたい。

(文:島食の寺子屋 受入担当 恒光)