卒業生インタビュー(野本さん)
1年間お疲れ様でした。1年間を終えてみた感想を、ひと言お願いします。
野本さん:
楽しかったです(笑)
島食の寺子屋に入塾した理由を改めて教えてください。
野本さん:
実際に生産現場に行ったりとか、生産者の方と一緒に活動したり、あとは海山とかが近くにあって、その環境のなかで学べるというのは、なかなかない学校だと思ったからです。
普通の東京の調理師学校とかには全然興味なくて、もしかすると料理というよりかは、寺子屋の活動そのものをメインで見ていたのかもしれないです。
この一年で自分自身で変わったことはありますか?
野本さん:
ひとつ思ったのは、食材って簡単にそこにあったんだって思いました。
ていうのは、蕗の薹とかでも場所を知っていれば自分で取りに行ける。
それって確かに想像できるんですけど、市場だと流通でやってくるもんだし、流通されてきたからこの時期なんだって思っていたし。
そうじゃなくって、鶯が鳴いているな~、蕗の薹があそこに咲いてるな〜とかって、それが自然本来の姿なんだって再認識というか再発見というか、それはすごく思いました。
あとは、料理に関していうと、こんなに私は雑だったんだって思いました(笑)
盛付はもちろん今まで気にしてきたことなかったし、丁寧に細やかにやることの大切さみたいなのをこの一年で感じて。もっと技術を含めて上手くなっていきたいなと思いました。
最初の習字の時にも書いたけど、結構自分は面倒くさがり屋で。でも真心もってやれば丁寧にやれるかなと思って、「真心」を一年の抱負にしたんですけど。今回の卒業制作弁当は真心を詰められたつもりです。
ただの単純作業になるんではなくて、「この日にこの人に届けるんだな」とか思いながら作れたかなと思いつつ、時間に追われるとなかなか意識ができなかったりして。そういう余裕とかもっと持てるようになりたいなと思いました。
この一年のなかで記憶に残っている料理は?
本当にぱっと思いつくのは、4月か5月にシェアハウスで食べた牡蠣フライサンドです。牡蠣をたくさんもらった時があって。パンに飢えているし、マヨネーズとかにも飢えているし。ちょうどムラーさんから頂いた食材でマヨネーズを自作して、タルタルと牡蠣と、その辺で摘んだ野蒜の根っこを玉葱代わりにして。もらったものだけで出来た中で、一番美味しかった昼ご飯でした。
あの時に、シェアメイトと一緒に食べながら幸せだねって。大根生活を経ての食事だったからかもしれない。入塾して1ヵ月は、大根とワカメと筍にまみれていた生活でしたからね。
離島キッチン海士の実践授業でお客様に接してみてどうだった?
野本さん:
焚き合わせの味の違いを分かってくれるお客様が、離島キッチン海士にいた時は感動しました。実践授業が始まって最初の頃の授業で。
煮物って家で作るとひとつの煮物じゃないですか。
それをこんなに一個一個丁寧に炊くんだっていうのは衝撃でした。「焚き合わせ」だから、それは当たり前かもしれないですけど。それに気付ける人がいるんだっていうのに感動しました。
私からすると、「あぁ、煮物がきたな」位にしか思わないんですけど、それをこの手間暇かけて作ったものが分かるってすごいなって思ったし。
あと、ツアーのお客さんであれば「料理は全ての島の食材なんだ」ってことに感動していましたし。接客するときは全てを細かく説明する必要はないとは思うけど、せっかく厨房で大事に仕込んでいる料理なんだから、もっと分かりやすく伝えられたらなって悔しい気持ちもあります。
でも、Entoのスタッフの方々が食べてくれた会席で、寿司カウンターをやったのは楽しかったです。
寿司を握っているところにみんな集まって見に来てくれて、めっちゃ楽しかった。
最後に。これから島食の寺子屋に入塾してくる方々にひと言。
野本さん:
本当に私は後回しにすることが多くて。
明日でいいや明日でいいやってしてるともったいないことが多いかも。
例えば採りたいと思っていた蕗の薹が、もうとうだちして採れなくなっちゃったり。気付いたら鰯の脂が落ちていたり。今だと思った時にやった方がいいなと思います!
ありがとうございました!
(収録:2024年3月14日 島食の寺子屋校舎前)