京都研修から帰ってきて
京都研修では、嵐山にある「京料理 とりよね」さんで会席料理を頂き、
鶏がとにかく美味しい。食べたことないくらいぎゅっと旨味が詰まってた。
次の日の早朝から仕入れに同行させて頂き市場見学をし、宇治にある「辰巳屋」さんで宇治丸弁当。その後は、接客・マナー講座をして頂き、離島キッチンでの接客の疑問などを聞くことができた。
鳥米の田中さん、辰巳屋の左さんの料理に対する姿勢がとてもかっこよかった。それぞれ考え方は違うけど、楽しんでて、もっともっとって次のやりたいことに向かっていた。こんなお2人に話を聞けて、現場を見れて、美味しい料理を頂けて贅沢すぎる時間。ありがとうございました。
そんなお2人が
「生産者と関われる、取れたところから見させてもらえて、体験できる寺子屋は料理する上で入れたい1年である」と話してくれた。
「鮮度は獲れた瞬間から落ちていくから、獲れたものをみてどう料理しようかな。そこから料理が始まる」と。
わたし自身も生産者と関われて、取れるまでの過程を知り、島でとれた食材を使って料理することを魅力に感じ寺子屋にきた。
確かに9月までの5ヶ月で色んな経験をさせてもらっている。ありがたいことに。
船に乗せてもらって定置網の見学、イカ釣り、野菜の収穫、畑など、関わり新たに知れたことが沢山あった。
けど、実際に鳥米さんや辰巳屋さんで食事をしてから言われると、こんなにすごい方達がいいと言ってくれる場所に自分がいて、
だからより一層そこに注力して関わった方がいいんだぞ、できる環境があるんだから、今できること、やることはそれだぞって言われてる気がした。そう思ってざわざわした。
ちゃんと食材自体をわかってあげないとな、
季節で変わる魚や野菜をじっくりみて触って食べて。先生にも今の魚や野菜の味、色、厚みなど覚えておくんだぞって言われてるのに。
久しぶりに島外に出ると、畑を見てあ、あの野菜だ!ってなったり、これなんだろと思ったり、こうやって育てるんだって外の景色を見るのが楽しい。
日々の生活で学びはいっぱい落ちてるなって気付いてないだけで、スルーしちゃっているだけなのかもと思い知らされる。
研修終わってからの離島キッチンはなんだか緊張した。研修で、接客やマナー講座をしていただいたから頑張ろっと挑んだけど。
あれ、じゃあこれはどうするんだっけって、わかったことと新たに生まれた疑問で頭がぐるぐるしてしまった。
「お客様が喜ぶ工夫や心配りを常に考えてることが大切」と言ってたなと思いながら。
最近は復習で炊き合わせの練習をした。
だしを1人ずつ取ってみる。
材料と量は同じなのに、温度や時間によって味が全然違う。
「これが良い、悪いじゃなくて、だしをそのあとの料理に、どう使うかによって濃さ、薄さが調整できればいい」と先生が言ってた。
その後各自の出汁でかぼちゃ、茄子を炊いた。調味料の割合は自分で決めていいので、味見すると面白いくらい違う。
私は育った環境も影響しているのか、甘いよりしょっぱい派で。南瓜は濃口を使うけど、
・色を鮮やかにしたい
・甘さを控えめに
・砂糖の後の塩は醤油を薄口にしたらどうか
と思い炊いてみた
*確かにみんなより甘さ控えめで塩感
塩っぽさの後にほのかに甘さがくる感じ
なんだか変な味だった。思ってたのと違う
先生からの意見では、
◯濃口でも色はそこまでとばない
◯砂糖の後に塩を入れることで塩が活きる
◯甘さ加減は好みになってくる
私は先生にどうしますかばかり聞いてたな。自分の考えを言ってから聞いてみようと思った。自分なりの考えを持たないと先生はどうしてこう考えるのかって見えてこないよな。
とりよねの田中さんは野菜ソムリエの資格も持っていて、
「野菜は基本同じ味付け。フラットな味でも食材が違えば食材の味で変化する。」
と言っていた。
辰巳屋の左さんは
「京料理で最も大切で根本となるのが"だし"そして"旨味"。その時に、だしを飲んで"心がほっこり"するこの感覚を大切に」と言っていた。
私にはとてもささった、言葉。
出汁の旨味と野菜それぞれの旨味で味が変わるって面白いなって、楽しいなって。
だから野菜の採れる時期や育て方でも変わってくるんだなって思ったら楽しませ方は無限にあるんだな〜と感じた。
そうこうしてるともう9月になっていた。
もっともっと、と焦ってしまう。
日々に追われながらも見逃さないように食材と向き合っていきたい。
(文:島食の寺子屋生徒 髙田)