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結びの月

12月。今年の終わりが近づく。
恐る恐る包丁を使い始めた春4月の入塾時から、もう8ヶ月経ちます。
海士町の漁港、野菜の生産者さんから仕入れをし、出刃、柳刃、薄刃を使い分けて料理して、お客様に提供する。使い終わった包丁を砥石で研ぐ。
非日常だった日々も、今はこの生活が通常運転に。

海士町で新生活を始めた、2024年の4月。
島食の寺子屋が始まる当初の気持ちを習字でしたためる機会に、選んだ言葉は”新米”。
趣味だった料理を、和食を通じて学ぶ。前職とは全く別の領域の料理の道への第一歩、やっと足を踏み入れることができた嬉しさと、初心を忘れずに新しいまっさらな気持ちで料理を学んでいきたいという想いで書いた漢字。
同時に考えたのが、2024年1年間を通してどうなっていたいか?を表す言葉。浮かんだのは、”心”。
誰かの思い出、心に残るような料理を作り届けたいという思いから、したためました。
海士町で和食を学びながら、離島キッチンでの箱膳や会席、留学弁当等で沢山の方に私たちの料理を届ける機会に恵まれた1年。

1年間を振り返ってみると、本当にあっという間で。
留学弁当も、寺子屋メンバー全員で考える、節目のFINAL弁当のお届けが終わりました。
この1年、鞍谷先生から和食の基礎を教わり、海士町の食材を生産者さんや地域の方から学んだことをベースに、自分達で1から考えるお弁当。
4マスあるお弁当を2人ずつに分かれて考案し、鞍谷先生に相談しながら、旬の食材を使って、習ったことをベースに1品1品をかたちにしていく。
「醤油味ばかり?柚が被ってない?」「色合いが同じだよね、酸味のあるおかずが多すぎかな?」と味や彩りの偏りを気にしたり。12月にいらっしゃった、寺子屋卒業生の武田さんの授業で学んだ、食材の味を底上げする昆布だしのみで、こじょう油和えの里芋を炊いてみたり。
日々、学んでいることを少しずつ取り入れられているのかな?と。料理をする上で、心配りたいと思うことが要所要所に出てきて。引き出しが少し増えたように感じています。

先日の12月17日には、ひと足早くクリスマスケーキをお届け🎅🎄
海士町の小中学校へ届けるクリスマスケーキには、法蓮草、南瓜、檸檬の豆腐クリーム。上には淡いピンクの山茶花クリームを。おまけにきな粉クッキーを添えて。海士町が詰め込まれたデザートに。
海士町産のみを使用するという、島食の寺子屋ならではの縛りの中で料理をする。悩みはつきものだけど、これもまた味わい、ここでしか学べない醍醐味だとに感じています。

この1年、料理を学ぶスタート位置に立てたこと、協力して下さる方や海士町の恵まれた環境で学べていることに、改めて感謝の気持ちを持たないとなと。当たり前になりつつある日々の生活。慣れが出てきてしまっているのが正直なところです。本当に”慣れ”は禁物。
noteを書きながら、改めて思い返すこと、気づかされることが沢山あって。今年最後のnoteを書きながら、引き締まる思いに。

2024年の締めくくりは、京都の嵐山にある鳥よねさんでの、お節作り。今回は作り手のほうに。京料亭でお節作りに携われる貴重な機会。焦らず、まずは1つずつ丁寧に、しっかりこなしていくこと。確認しながら、進めていくこと。体調万全で臨むこと!
気を引き締めて、1年の学びをしっかりと結べるように。気持ちよく終えられるように努めたいです。

では、いざ京都へ!

ps.年末の京都研修前に隠岐神社にお参りへ。
離島キッチンで営業がある度に目にしていた隠岐神社の紅葉。色づいていた木々はもうすっかり冬木になり、銀杏が一面に。今年を無事に過ごせたことへの感謝と、お節作り体調万全で臨めるように祈願◎

(文:島食の寺子屋生徒 橋本)