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秋の幸

9月に入り京都研修のため本土へ。里帰りしたり、京都までの道中旅しながら向かう同期も。
私は実家に立ち寄り、父の知り合いの梨農家さんへ梨狩りに。待ちに待った梨の旬。
秋の果物を求めて毎年恒例の直売所はしご◎

研修のため京都へ。
寺子屋のみんなと嵐山「鳥米」さんで待ち合わせ。

京都嵐山「鳥米」さん。
店名のとおり、鳥とお米にこだわっていらっしゃる京都料亭。明治に鳥料理屋を営まれ、鳥の卸売店でもあることが由来とのこと。
現総料理長の田中良典さんの代からよりお米にこだわられ。毎年、1年間提供されるお米を見直されるそう。基準米を元に、食感や香り、お米のでき具合を見極められ3種のお米を厳選しブレンドされるこだわり。水が変わると御飯の味も変わってしまうそうで、嵐山の軟水を必ず使用される徹底ぶり。

昼食前に厨房にも入らせて頂きました。
料理人の方々は質問に答えて下さりながら、常に手を動かされており。流れるような手元に見入ってしまいました。厨房を少人数で切り盛りされていることにも驚かされ。

お料理は、留学弁当のヒントにもなるように作って下さったとのこと。紅葉麩など秋の到来を感じる炊き合わせ、向付にハモの刺身。天麩羅には香ばしいあられ塩。
食事を頂きながら田中さんに質問した際、真空調理の話題が。炊き合わせを作る際、食材に被るくらいのダシを入れ、鍋で加熱し味をしみこませていく調理法が一般的だが、一瞬にしてダシを染み混ませれる真空調理を導入されているとのお話。実際に、大根の煮物の真空調理を見せて頂き、生の大根を真空パックに入れ、ダシを具材の3分の1ほど入れ真空。
味見した大根にはダシが染みこんでおり。こんな調理方法があるのだと!時代に合わせて挑戦を惜しまれない姿勢、探究心を肌で感じられたことも学びでした。

京都宇治「辰巳屋」さん。
茶問屋として創業された京都宇治の料亭辰巳屋さん。
料亭は宇治川沿いに。窓からは夏の風物詩「鵜飼」もちょうど行われており。
抹茶豆腐から会席がはじまり、柿玉子や松茸御飯など秋らしい一品。鮮やかな器に盛り付けられ、目も楽しい。仲居さんの料理説明を聴きながらで頂く食事。料理だけでなく、接客やお部屋の装飾など和料亭ならではの空間作りの大切さも感じました。

辰巳屋総料理長の左さん、鳥米の田中さんのお話を聞きながら会席を頂き。
料理人のお二人が、「遊び心も大切。相手に料理で何を思わせたいか?」などお話されていて。料理を頂きながら料理人同士の会話が垣間見れたことも、貴重で贅沢な時間でした。

最終日に京都中央市場を見学。
左さん、田中さんが長年お付き合いのあるお店、海老ならこの仲買さん。野菜を買うならココなど各店舗仕入れの強みがあるとのこと。
早朝から仲買さんと料理人さんの活気あるやり取り。”生きた仕事”、ライブ感が。
集まる鮮魚の中には色味があれ?イカの皮目が白っぽく、質感にハリがないと思うことも。海士町に来てから、漁港で水揚げされたばかりの魚を見ていて。
どれだけ新鮮な魚を捌いているのか。海士町が海の幸に恵まれていることも同時に感じました。

9月後半はサステナブルシーフードレシピの試作。
崎漁港ではねられてしまった、ムロ鯵や小さな伊佐木などの未利用魚。定置網を破るなど厄介者のクラゲ。美味しい蜜柑を育てる上で、大切な摘果作業の際に収穫した蜜柑。
どれも美味しく食べれるが、小さくて捌くのに手間、大量に採れ行き場がなかったり。
レシピを考えながら、鳥米さんの田中さんが、もともと勿体ない精神を持ち合わせた和食。食品ロスは日本食が一番少ないのではという言葉が思い出され。和食でレシピ作り挑戦も意義があるのかなと。

試作中、先生から魚のエラも食べられるよと。今まで食べようとも思ったこともなかった部位にも目がいったり。砧巻き、秋らしく毬栗揚げ、海月の梅水晶和えを試作。摘果蜜柑の時期、未利用魚も季節によって違う魚が揚がる。和食らしい旬を感じるひと手間を掛けることでお客様にも特別感。生産者側に商品になる可能性、生かし方を提案できるのでは?と。方法は考え中ですが。未利用魚だけを使用したお寿司屋さんを離島キッチンで提供するのも面白いなと◎

もうすっかり秋らしく。
黄金色の稲穂も刈られ、穭田が広がる新米の季節に。9月最後にさつまいも掘りのお手伝いも。
10月も、沢山の秋の幸に出会えるのを楽しみに。

<文:島食の寺子屋生徒 橋本>