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好きこそ物の上手なれ

京都研修一日目。昼は松尾大社の近くにある鳥米さん、夜は宇治川沿いにある辰巳屋さんにお邪魔し、美味しく味わいながら研修させてもらった。

鳥米さんでは、私達がやっている留学弁当と同じ、松花堂弁当形式で料理を提供していただいた。松花堂弁当は、会席料理が一つの箱にぎゅっと盛り付けられ、手軽に楽しめるびっくり箱のような良さがあると女将さんが食前にお話してくださり、私も食べる人を驚かせられるような料理・お弁当が作れるように頑張りたいと思った。日本の四季を感じられる様な器選びや、箱に"詰める"のではなく空間を意識した"盛り付け"…どれを取っても一つひとつに、こだわりと技術が詰まっていてとても美味しかった。

ここでは、予約一組につき一つの献立を立てており、同じお客様に同じ献立を出さないよう、データ化して管理しているそう。また、注文された飲み物に合わせ、味付けもその都度しているとのこと。おもてなしの心と、それに対応できるだけのレベルの高さが凄いなと感じた。少人精鋭で調理している為、少量の出汁で味を含ませる事のできる真空調理など比較的新しい調理方法も採用しており、在庫管理などにしても無駄が少なく、働きやすいようにシステムが構築されていた。

店主の田中さんは、大の植物・野菜好きで野菜ソムリエの資格も持ち、調理から店の造園・庭木の手入れまで幅広くこなしている。食材全般に関しても、歴史的背景から調理器具・加熱温度による味の違い、野菜の良さを最大限に引き出す為の特徴に合わせた調理や、数ある塩の使い分け…など、多彩過ぎて舌を巻く程に雑学が豊富だ。食材や調理で知りたい事があれば、周りに居るそれぞれのスペシャリストと情報交換しているそうで、文化的な街京都でお店を構えている料理人同士の長年の繋がりがあってこそだなと感じた。

対外的な交流もされていている中で、これから先必要なのは、自分だけのスペシャリティを決めることだと教わった。これまでの経験や、現在寺子屋で学んでいるものの中から興味関心を広げてゆき、得意な事を見つけて突き詰めて、自分の強みが何なのかを探していきたいと思う。

夜は辰巳屋さんで会席料理をいただいた。

離島キッチンで会席料理を作りはしていたけど、今まで食べる機会は無かったので、初めてお客さんの立場で食べる事ができて良かったと思う。
昼の鳥米さんもだけれど、様々な食材がふんだんに使われていて、流石は本土で京都だなと感動した。高級な松茸や鱧は一生分食べたと思うくらいに贅沢な食事を堪能した。
一品ずつ、器に美しく盛り付けられて、盛り付けの勉強にもなった。右側に色の濃い緑色のものを置くと締まって見えるとか、季節に合わせた器のこだわりと選び方、お客さんに料理を食べてもらって、何を感じて欲しいのか。作り手としても楽しみ、遊び心を持って料理を作ることが大切だよなと改めて思った。また、器についてや歴史など食の文化的要素と、料理の理由的要素についてもセールストーク出来るだけの知識量を蓄えておく事も大切。店主の左さんも、好きなことしかしていないと仰っていたけれど、そこまで熱量を持って仕事にできたら素敵だよなと思った。

好きだからこそ努力できるし、アンテナも張って、それにまつわる知識・技術が自然と入って来て身についていくんだろうなと感じた。果たして自分が、そこまで熱を持てるかまだ自信がないけれど、あと半年で何か一つでも見つけられたら良いなと思う。

↑真夜中の大山
↑京都大原 三千院までの道中
↑夕焼けの平等院鳳凰堂

サステナブルシーフードレシピを考えていて気付いた事は、魚は捌いて骨を取り除かないと食べられないと思っている人が多いのではないかということ。スーパーに行くと、卸してない魚は売れ残っている印象が強い。私も、今まで手が伸びなかった。魚料理は面倒くさいというイメージを払拭するのが、圧力鍋を使った調理だと考える。三枚おろしが出来ずとも、ぶつ切り、霜降りして、圧力鍋にヒタヒタの水と大さじ1〜2杯のお酢を入れて蓋をして火にかけること40〜50分。煮汁ごと使った、味噌汁やカレーなら、頭から尻尾まで丸ごと食べることができる。生臭いゴミも出ないし、骨ごと食べる事で不足しがちなカルシウムも補える。家庭でも再現しやすいレシピを提案することで、国内の消費量UPに貢献できると考える。

(文:島食の寺子屋生徒 小澤)