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交通事故のケガの治療費は通常より高い

病気やケガで治療を受けるときは、健康保険証を提示して窓口で支払います。
交通事故の被害者の場合、窓口で支払いをせず、相手の保険会社から直接支払われることが多いです。
よって治療費がいくらなのか実感が湧きませんが、これが通常より高いって知っていましたか?
今回は賠償における治療費について書いていきたいと思います。

健康保険料金と自賠責料金

健康保険証を提示して病院の窓口で支払う金額は、基本的に治療費の3割~1割です。
よって窓口で3,000円支払えば、本来の治療費は10,000円であることが想像できます。
交通事故でない捻挫・打撲で整形外科を受診すると、初診料は別としてリハビリに通うと1回当たり400円ぐらいでしょう。
すると本来の治療費は1,300円~1,400ぐらいと思われます。

交通事故では窓口で支払わないことが多い(保険会社が直接医療機関へ支払う)のですが、この健康保険証を使用した時の金額で1回1,400円で1日おきに行ったとして1,400円×15回=21,000円。初診料や再診料もあるので3万円ぐらいかな?と思うかもしれません。
そもそも、普通はここまで計算はしないで「被害者なんで無料なんだ」と思うぐらいでしょう。

ところが、交通事故のケガの治療では通常健康保険は使わないので「自由診療」として計算されます。
健康保険で治療するときには診療報酬の点数の付け方が決まっていますので、同じ治療をしたら病院によって金額が異なることはありません。
しかし、自由診療というのは点数あたり何円にするかは病院の「自由」なのです。

あまりにバラツキがでるのも問題なので、交通事故の場合は「自賠責金額」として多くの病院が統一基準か、それに近い金額にしていますが、治療の内容も異なるため病院ごとに治療費の差が出ます。

自賠責金額は健康保険料金の約1.5倍

細かい数字を出して説明すればキリが無いので単純化して説明しますが、
ザックリ言って、自賠責料金は健康保険料金の約1.5倍となります。
健康保険証を使って1ヶ月3万円(窓口支払いで9千円)とすると、交通事故の治療費では4万5千円ということになります。

しかし普通の病院は約1.5倍ですが、あくまで自由診療なので統一基準にしない病院もあります。
すると「うちは1点20円(2倍)」ですとか、「1点25円(2.5倍)」ですという病院もあります。
中には30円という病院もあり、ビックリすることもあります。
でも自由診療ですからね。

しかし、同じ基準(約1.5倍)で計算していたとしても治療内容が違えば全体の治療費も変わってくることになります。
保険会社は治療費を直接病院へ支払うわけですが、診断書・診療報酬明細書というものも発行してもらいます。
この金額も病院によってさまざまで、異常に高い病院もあります。


余談になりますが『訪日外国人(観光客)が日本の病院で治療をしたら「自己負担金 150%」という領収書をもらってびっくりした。この料金はおかしいんじゃないか?』という新聞記事がありました。
健康保険証を使わないで自由診療になるので、当然の料金なんですが、こういうことを新聞記者は知らないし、取材もしないで書いているのですね。
自動車損害保険の人間にとってはあたりまえのことです。

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整骨院はさらに自由

整形外科は医者ですが、そのほかに整骨院・接骨院というものがあります。
これは「柔道整復師」という免許をもった人が「痛い箇所を温めたり、電気刺激与えたり、手技で刺激したり対処療法をする」ところです。
整骨院は医者では無いので診察や治療はできないのですが、夜まで営業していたり、施術してもらうと気持ちがいいので人気があります。

ただし病院のように統一基準があるわけではないことと、医師会のような組織が無い(乱立している)ため料金がバラバラです。
本当に自由料金なので、何カ月も通うと「これは自分じゃ払えないなぁ」というビックリ金額となります。

整骨院は、当たりはずれが多いようで、良い先生に当たれば、あっという間に治ります。
悪い整骨院に当たれば、いろいろなデメリットがでてきます。
整骨院は怖いネタ、笑えるネタなどたくさんあるので、追々書いていきます。

治療費が高いことは被害者にとって影響あり

治療費が通常の健康保険料金より高く、病院によって違うわけですが、これは賠償を受ける人にとって何か影響があるのでしょうか?
自分で都度立て替えるわけでもありませんので、負担はありません。
しかし、賠償は自賠責保険の上に任意保険がある2階建て構造です。
自賠責保険の上限額120万円を超えると任意保険基準で計算されることになります。
任意保険基準は保険会社によって異なりますが、自賠責基準より低く算定されます。
さらに、被害者にも責任割合がある場合は、賠償金の総額から責任割合分を差し引かれるということになります。

自賠責保険上限額を超えたために、逆に受け取る賠償金が少なくなることもあり得ます。

その他、治療費が高くなることで120万円までのマージンが少なくなるため、任意保険を使用することになるため、保険金支払い担当者の対応も変わってくるはずです。
実際にムチウチの治療で120万円を超えることは少ないのですが、通院している病院や整骨院の治療費が他に比べて高い場合は、早く限度がやってくることになります。また、治療費が高い病院・整骨院は自賠責保険の基準からも問題があるところが多いので、担当者も気をつけているので、対応が変わる可能性があります。


今回は、治療費が健康保険の料金より高いこと、120万円の中に治療費は含まれるので、治療費が高いと賠償金の残りが少なくなる理屈がおわかりいただけたと思います。
一番は良い医者・整骨院に見てもらえれば、早く治るし、早く賠償してもらえますので、交通事故に限らず普段から情報収集して、かかりつけを持っておくと良いと思います。

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